3. 株主優待はどう変わる?牛カツ京都勝牛など10業態が新たに割引対象に

サンマルクHDの株主優待制度は、毎年3月31日時点で100株以上を保有する株主を対象に、株主様ご優待カードを年1回贈呈するというものです。

優待カードを提示することで、自社グループの直営店・フランチャイズ店の全店で飲食料金の割引(ベーカリーレストラン・サンマルクやサンマルクカフェなど主要業態は20%、すし処函館市場などは10%)を受けられます。カードは6月中旬に株主総会招集通知に同封して発送され、有効期間は毎年7月1日から翌年6月30日までです。

5日、同社はこの優待カードの利用可能業態を拡大すると発表しました。10月1日から、以下の10業態が新たに割引対象に加わります(いずれも割引率10%で、既存の主要業態の20%よりは抑えめの設定です)。

  • 牛カツ京都勝牛
  • NICK STOCK
  • Gottie's BEEF
  • Hamburg Conel
  • 牛かつもと村
  • 牛かつ 壱弐参
  • 浅草 牛かつ
  • 牛かつ いろは
  • 喫茶マドラグ(社員食堂店を除く)
  • 喫茶ガボール

※海外店舗では利用できません。

これまで優待カードの対象は「ベーカリーレストラン・サンマルク」「サンマルクカフェ」「生麺専門鎌倉パスタ」といった業態が中心でしたが、今回の拡充で牛カツ業態や、喫茶のマドラグ・ガボールもカバーされることになります。

牛カツ京都勝牛や牛かつもと村は、いずれも同社がM&Aによってグループに加えた業態で、既存の優待カード1枚でこれらの店も使えるようになる点は、日常的に利用している株主にとって実利のある変更といえそうです。

4. 2027年3月の優待を受け取るには?「半年以上の継続保有」の新ルール

一方で、同時に発表されたのが株主優待の対象条件変更です。同社は株主様ご優待カードの配布に「半年以上の継続保有」の継続保有要件を新設しました。継続保有状況の確認は、毎年3月31日を基準日とし、同日および前年9月30日の株主名簿において、同一の株主番号で連続して記載・記録されていることによって行われます。

権利確定日の前後だけ株式を保有する、いわゆる「優待クロス(つなぎ売り)」による短期的な優待取得を抑制し、中長期で株式を保有する株主への還元を重視する狙いがあるとみられます。

この条件変更が適用されるのは2027年3月31日の基準日からです。つまり、2027年3月の優待カードを受け取るには、2026年9月30日と2027年3月31日の両方の基準日で、同一の株主番号として株主名簿に記載されている必要があります。

これからサンマルクHD株を新規に購入して2027年3月の優待を得たいと考えている場合、2027年3月末だけでなく、2026年9月30日時点でも100株以上を保有していることが条件になる点に注意が必要です。

2026年9月30日を基準日とする権利を得るための権利付き最終日は2営業日前の28日、権利落ち日は29日です。

5. バリュエーション:決算発表後の急落から戻りを試す株価水準

8月28日終値2,518円をもとにした主な指標は、PER(会社予想)18.61倍、PBR(実績)1.73倍です。通期の配当予想は1株54円で、8月28日終値ベースの配当利回りは2.14%になります。年初来高値は3月11日につけた3,195円、年初来安値は6日の決算・優待発表翌営業日につけた2,290円で、現在の株価はその中間からやや安値寄りの水準で推移しています。

決算発表翌営業日に年初来安値をつけた後、株価は8月中旬以降じりじりと切り返しており、8月28日時点では安値から228円(+10.0%)ほど戻す展開となっています。

もっとも、通期予想に対する利益進捗率が1割前後にとどまっている点を踏まえると、次の四半期以降の収益動向次第では、株価が再び不安定になる可能性もある点には留意しておきたいところです。

サンマルクHDの年間チャート1/1

サンマルクHDの年間チャート

出所:各データより筆者作成

6. 記者コメント

サンマルクHDは牛カツ業態を軸にレストラン事業を拡大させてきましたが、直近の四半期では原材料費・人件費の上昇が利益面に重くのしかかっています。

外食業界全体で値上げが進むなか、価格転嫁がどこまで既存店の客数に影響するかは、同社に限らず注視すべき一般的な論点です。

一方で、その牛カツ業態自体が株主優待の対象に加わったことは、優待を目的に同社株を保有する個人投資家にとっては歓迎材料といえそうです。

ただし、継続保有要件の新設によって、これから優待目的で株式を購入する場合は「いつまでに買うべきか」の見極めがこれまで以上に重要になります。次の第2四半期(中間期)決算の発表時期も含め、業績と優待制度の両面から同社の動向を注視していきたいところです。

【免責事項】

  • 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。

参考資料

高原 祥子