10月15日は、今年で5回目の年金支給日です。支給を心待ちにしている方も多いことでしょう。

本記事では、厚生労働省が公表している受給権者1608万人分の分布データから、月15万円以上を受け取っている人が実際に何%いるのかを男女別に算出します。

そのうえで、額面15万円の年金が手取りでいくらになるのかを、全国平均の保険料率をもとに試算します。

加藤 聖人
年金の記事で「平均は15万円台」と書かれているのを見て、自分もそのあたりだろうと考える方は多いと思います。ただ、平均という1つの数字は、分布の形を教えてくれません。今回は1万円刻みの分布表まで下りて、月15万円以上の人が何%なのかを男女別に数えました。そのうえで、その15万円が手元にいくら残るのかまで見ていきます。

なお、年金にかかる税金と手取りの考え方については、下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。

【国民年金+厚生年金】月15万円(年180万円)以上もらう人は何%?平均受給額を一覧で確認!私的年金の見直しで押さえておきたいポイント
【国民年金+厚生年金】月15万円(年180万円)以上もらう人は何%?平均受給額を一覧で確認!私的年金の見直しで押さえておきたいポイント

1. 【データで確認】「厚生年金+国民年金」月15万円以上は何%?

厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」には、老齢年金の受給権者を年金月額1万円刻みで区切った分布表が掲載されています。

ここから、月15万円以上の人数を積み上げてみました。もとになる数字は、【国民年金+厚生年金】月15万円(年180万円)以上もらう人は何%?平均受給額を一覧で確認!私的年金の見直しで押さえておきたいポイントに整理されています。

【年金一覧表】厚生年金+国民年金「男女別」受給月額1/3

厚生年金+国民年金の男女別平均月額と、受給額ごとの受給権者数を示した表

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

【平均年金月額】

  • 全体 15万289円
  • 男性 16万9967円
  • 女性 11万1413円

※国民年金部分を含む

【受給額ごとの受給権者数】

  • ~1万円:4万3399人
  • 1万円以上~2万円未満:1万4137人
  • 2万円以上~3万円未満:3万5397人
  • 3万円以上~4万円未満:6万8210人
  • 4万円以上~5万円未満:7万6692人
  • 5万円以上~6万円未満:10万8447人
  • 6万円以上~7万円未満:31万5106人
  • 7万円以上~8万円未満:57万8950人
  • 8万円以上~9万円未満:80万2179人
  • 9万円以上~10万円未満:101万1457人
  • 10万円以上~11万円未満:111万2828人
  • 11万円以上~12万円未満:107万1485人
  • 12万円以上~13万円未満:97万9155人
  • 13万円以上~14万円未満:92万3506人
  • 14万円以上~15万円未満:92万9264人
  • 15万円以上~16万円未満:96万5035人
  • 16万円以上~17万円未満:100万1322人
  • 17万円以上~18万円未満:103万1951人
  • 18万円以上~19万円未満:102万6888人
  • 19万円以上~20万円未満:96万2615人
  • 20万円以上~21万円未満:85万3591人
  • 21万円以上~22万円未満:70万4633人
  • 22万円以上~23万円未満:52万3958人
  • 23万円以上~24万円未満:35万4人
  • 24万円以上~25万円未満:23万211人
  • 25万円以上~26万円未満:15万796人
  • 26万円以上~27万円未満:9万4667人
  • 27万円以上~28万円未満:5万5083人
  • 28万円以上~29万円未満:3万289人
  • 29万円以上~30万円未満:1万5158人
  • 30万円以上~:1万9283人

出所:【国民年金+厚生年金】月15万円(年180万円)以上もらう人は何%?平均受給額を一覧で確認!私的年金の見直しで押さえておきたいポイント

1.1 全体では49.8%、およそ2人に1人

2024年度末時点の受給権者は1608万5696人です。このうち月15万円以上の階級を合計すると801万5484人となり、全体の49.8%にあたります。

平均年金月額は15万289円ですから、平均のすぐ上に半数のラインがある形です。おおまかに言えば、およそ2人に1人が月15万円以上を受け取っている計算になります。

なお、この金額には併給する老齢基礎年金が含まれています。

1.2 男女で分けると68.8%と12.3%

ただし、この49.8%という数字だけを見て自分に当てはめるのは危険だと筆者は考えています。同じ分布表を男女別に集計し直すと、景色が変わるためです。

  • 総数:受給権者数1608万5696人、月15万円以上の割合49.8%、平均年金月額15万289円
  • 男性:受給権者数1067万9944人、月15万円以上の割合68.8%、平均年金月額16万9967円
  • 女性:受給権者数540万5752人、月15万円以上の割合12.3%、平均年金月額11万1413円

男性はおよそ7割が月15万円以上に届いている一方、女性は8人に1人ほどにとどまります。全体の49.8%という数字は、この2つを合わせた結果として生まれたものです。

現在の受給世代では、男女間の賃金水準や厚生年金への加入期間、雇用形態などの違いが年金額の差に表れています。

1.3 最も多いのは月10万円台前半

もうひとつ押さえておきたいのが、最も人数の多い階級です。総数で見ると月10万円以上11万円未満が111万2828人で最多となっており、平均の15万289円とはかなり離れています。

男女別に見ると、男性の最頻階級は月18万円以上19万円未満、女性は月10万円以上11万円未満です。分布の形が男女でまったく違うということです。

平均額は、高い層に引っ張られて上振れします。将来の生活設計を立てるときは、平均ではなく自分の見込み額、つまりねんきん定期便やねんきんネットで確認できる数字を出発点にしましょう。

加藤 聖人
分布表を見るときに大事なのは、平均と最頻値が別物だという点です。この表では平均が15万289円なのに対し、いちばん人数が多いのは月10万円台前半。差はおよそ4万円あります。証券会社で商品の説明をしていた頃から感じているのですが、平均という言葉は安心材料にも不安材料にもなりやすく、そのどちらでもない「自分の位置」を確かめる作業が抜けがちです。まずはねんきん定期便の見込み額を、この分布表のどの行に置けるかを確かめてみてください。

2. 【10月15日は年金支給日】2026年度の年金額と制度の基本

分布を確認したところで、制度の基本と今年度の金額を整理しておきます。年金は年6回に分けて振り込まれ、その日が10月15日です。

2.1 支給は偶数月の15日、10月は8月分と9月分

公的年金は偶数月の15日に、前月までの2カ月分がまとめて支払われます。2026年10月15日は木曜日で、この日に8月分と9月分が振り込まれます。

15日が土日祝日にあたる場合は、直前の平日に繰り上げて支払われます。2026年度でいえば、8月15日は土曜日だったため前倒しになりました。10月は木曜日ですので、暦どおりの支給です。

2.2 公的年金制度の仕組みと2026年度の改定率

日本の公的年金制度の仕組み2/3

国民年金を1階、厚生年金を2階とする公的年金の2階建て構造を示した図

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」等を参考にLIMO編集部作成

日本の公的年金は2階建て構造となっています。1階部分の国民年金は20歳以上60歳未満のすべての人が加入し、保険料は2026年度で月額1万7920円の一律です。

40年間納めると満額で月額7万608円(2026年度基準)になります。

2階部分の厚生年金は会社員や公務員が加入し、現役時代の収入と加入期間に応じて上乗せされます。

なお、2026年度の年金額は4月分から改定されました。改定率は国民年金(基礎年金)が1.9%の引き上げ、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%の引き上げです。

  • 国民年金(老齢基礎年金・満額):月額7万608円(1人分 ※1)
  • 厚生年金(夫婦2人分のモデルケース):月額23万7279円(夫婦2人分 ※2)

※1 昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額7万408円(前年度比+1300円)となります。
※2 平均的な収入(賞与込みで月額換算45万5000円)の男性が40年間就業した場合に受け取り始める年金額(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金満額)の給付水準です。

厚生労働省が示すモデルケースでは、夫婦2人分の標準的な年金額が月額23万7279円となっています。

ただし、改定の根拠となった数字も見ておく必要があります。同じ資料によると、2026年度の物価変動率は3.2%、名目手取り賃金変動率は2.1%で、そこからマクロ経済スライドによって基礎年金は0.2%、厚生年金の報酬比例部分は0.1%調整されました。

物価の伸びよりも年金の伸びが小さいということです。増額改定ではあるものの、実質的な購買力という点では目減りしている点は押さえておきたいところです。

加藤 聖人
増額改定という言葉だけを受け取ると、去年より暮らしが楽になったように聞こえます。ただ、物価変動率3.2%に対して年金の伸びは1.9%と2.0%ですから、買えるものの量という意味では前年を下回っています。この差はマクロ経済スライドによる調整で、制度として意図された仕組みです。金額が増えたかどうかではなく、増え方が物価に追いついているかどうかで見る癖をつけておくと、来年度以降の改定も落ち着いて受け止められます。