年金の振込額を見て、思っていたより少ないと感じたことはないでしょうか。

公的年金等の収入とその他の所得が一定の基準以下の方には、年金に上乗せして年金生活者支援給付金が支給されます。日本年金機構によると、2026年度(令和8年度)の給付基準額は月5620円です。

筆者は元自治体職員として、住民税の課税情報を見ながら保険料を計算する仕事をしていました。この記事では、この給付金の額と3つの要件、そして受け取っていた方が亡くなったあとの手続きまで確認していきましょう。

ココがポイント
  • 2026年度の給付基準額は月5620円。前年度から3.2%の引き上げ
  • 老齢は「65歳以上」「世帯全員が非課税」「所得80万9000円以下」の3つを満たす必要がある
  • 受け取っていた方が亡くなったときは、死亡月分までを遺族が請求できる

なお、年金生活者支援給付金の全体像は、下記の記事より一部を引用・参照しています。

年金生活者支援給付金とは?2026年最新の対象者・いくらもらえるか・ハガキが届かない理由を徹底解説
年金生活者支援給付金とは?2026年最新の対象者・いくらもらえるか・ハガキが届かない理由を徹底解説

1. 【年金生活者支援給付金】2026年度の給付基準額は月5620円

まず、年金生活者支援給付金いくら受け取れる制度なのかを押さえておきます。

1.1 3種類あり、それぞれに基準額がある

年金生活者支援給付金は、2019年10月に始まった制度です。受給している年金に応じて、老齢・障害・遺族の3種類があります。

日本年金機構によると、2026年度の給付基準額は、老齢年金生活者支援給付金が月5620円です。障害年金生活者支援給付金は1級が月7025円、2級が月5620円、遺族年金生活者支援給付金は月5620円となっています。

この額は、令和7年の物価変動率が3.2%の上昇だったことを受けて、令和7年度から3.2%引き上げられたものです。支払いは原則として偶数月の中旬に、2カ月分がまとめて年金に上乗せされます。

1.2 老齢は基準額どおりに受け取れるとは限らない

ここで気をつけたいのが、老齢年金生活者支援給付金の額です。全員が月5620円を受け取れるわけではありません。

実際の額は、保険料を納めた期間の長さに応じて計算されます。保険料納付済期間に基づく額は「5620円×保険料納付済期間÷480月」、保険料免除期間に基づく額は「1万1768円×保険料免除期間÷480月」で、この2つを合計した額が支給されます。

480月は40年分にあたります。つまり納めた期間が短ければ、その分だけ受け取れる額も小さくなるという仕組みです。

3種類の基準額と、老齢の給付額の決まり方です1/2

3種類の基準額と、老齢の給付額の決まり方です

出所:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」をもとにLIMO編集部作成

2. 老齢の給付金を受け取るための3つの要件

次に、対象になる方の条件を見ていきます。

2.1 65歳以上・世帯全員が非課税・所得の合計額

老齢年金生活者支援給付金の対象になるのは、次の3つをすべて満たす方です。

1つ目は、65歳以上の老齢基礎年金の受給者であることです。2つ目は、同一世帯の全員が市町村民税非課税であること。3つ目は、前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が、昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円以下であることです。

2つ目が本人ではなく世帯単位である点は、見落とされやすいところです。本人の年金が少なくても、同居している家族に課税されていれば対象になりません。

2.2 わずかに超えた方には補足的な給付金がある

3つ目の線をわずかに超えた場合、すぐに0円になるわけではありません。

昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下であれば、補足的老齢年金生活者支援給付金が支給されます。昭和31年4月1日以前に生まれた方は、80万6700円を超え90万6700円以下が対象です。

額は「5620円×保険料納付済期間÷480月×調整支給率」で計算され、調整支給率は「(90万9000円-前年の年金収入金額とその他の所得の合計)÷10万円」で求めます。所得が基準に近づくほど、給付額は少なくなっていきます。

なお、この判定に使う所得に、障害年金や遺族年金などの非課税の収入は含まれません。

3. 請求書は毎年9月から順次届く

要件を満たしていても、手続きをしなければ支給は始まりません。

3.1 はがき型の請求書を提出する

すでに年金を受給している方で、所得が下がって新たに対象となった場合は、毎年9月の第1営業日から順次、はがき型の請求書が送られます。これから65歳を迎える方には、老齢基礎年金の請求書に同封されて届きます。

この点について、LIMOの記事「年金生活者支援給付金とは?2026年最新の対象者・いくらもらえるか・ハガキが届かない理由を徹底解説」から要点を引用しておきます。

しかし、この給付金を始めてもらう場合は「条件を満たしていれば勝手に口座へ振り込まれる」というものではありません。対象者へ送られるハガキ(請求書)を自ら返送し、「申請」を行わなければ1円も受け取ることができないのです。

出所:年金生活者支援給付金とは?2026年最新の対象者・いくらもらえるか・ハガキが届かない理由を徹底解説

3.2 2年目以降の手続きはいらない

一度請求書を提出すれば、支給要件を満たしている限り、翌年以降の手続きは不要です。所得の情報は市区町村から日本年金機構へ連携される仕組みになっています。

継続して支給されるかどうかの判定は前年の所得に基づき、毎年10月分(12月支給分)から1年間反映されます。対象外となった場合は「年金生活者支援給付金不該当通知書」が届きます。

太田 彩子

世帯全員が非課税かどうかという条件は、同居している家族の状況で結果が変わります。ご自身の年金額だけでは判断できないところです。