再来月10月は、偶数月に支払われる公的年金の支給月です。年金の話題に触れる機会が増える秋は、老後がまだ遠い現役世代にとっても、年金のしくみを知る良いきっかけになります。
30歳代は、家計の土台づくりと資産形成のスタート期です。まずは同じ世代がどれくらい蓄えているのかを、平均と中央値の両方で確かめておきましょう。
そこで今回は、30歳代・二人以上世帯の平均貯蓄額と中央値を確認します。あわせて、将来の年金の土台となる「公的年金の2階建て」のしくみを、元銀行員の視点で整理していきます。
銀行の窓口で、延べ1万名以上のお客様と預金や資産運用のお話をしてきました。振り返って印象に残っているのは、まとまった額を一度に動かす方よりも、少額でもコツコツ続けている方のほうが、着実に残高を伸ばしていたことです。
まずは同世代の平均と中央値を、わが家のものさしにしてみましょう。
なお、年代別の貯蓄額や公的年金のしくみに関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。
- 30歳代・二人以上世帯の貯蓄額は平均1096万円・中央値311万円。金融資産非保有が17.6%、2000万円以上が12.5%で、すでに差が開き始めている
- 会社員は「1階=国民年金」に「2階=厚生年金」が上乗せされる2階建て。自営業やフリーランスは原則として1階のみ
- 厚生年金の保険料は会社と本人が半分ずつ負担する「労使折半」。納めた分は将来の2階部分に反映される
1. 【30歳代・二人以上世帯】貯蓄額の平均は1096万円、中央値は311万円
金融経済教育推進機構(J-FLEC)が2025年に公表した「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、30歳代・二人以上世帯の金融資産保有額は次のとおりです。
※金融資産保有額とは、預貯金だけでなく株式、投資信託、生命保険などを含んだ金額です。ただし、日常的に使う普通預金の残高は含まれていません。
1.1 30歳代二人以上世帯の貯蓄額(平均・中央値)
金額帯ごとの割合は、「【全世代(20~70歳代)比較】貯蓄額の平均・中央値はいくら?単身・二人以上世帯で比較すると見えた「お金がある人・ない人の差」 差が生まれる3つの要因を確認」から要点を引用して確認してみます。
- 金融資産非保有:17.6%
- 100万円未満:12.7%
- 100~200万円未満:9.1%
- 200~300万円未満:6.0%
- 300~400万円未満:6.0%
- 400~500万円未満:4.5%
- 500~700万円未満:8.3%
- 700~1000万円未満:7.4%
- 1000~1500万円未満:9.4%
- 1500~2000万円未満:3.9%
- 2000~3000万円未満:4.6%
- 3000万円以上:7.9%
- 無回答:2.6%
- 平均が1096万円、中央値が311万円
出所:【全世代(20~70歳代)比較】貯蓄額の平均・中央値はいくら?単身・二人以上世帯で比較すると見えた「お金がある人・ない人の差」 差が生まれる3つの要因を確認
平均は1096万円、中央値は311万円です。2000万円以上の世帯が12.5%(2000〜3000万円未満4.6%+3000万円以上7.9%)ある一方、金融資産を保有していない世帯も17.6%あり、この年代からすでに差が生まれ始めています。
平均が中央値を大きく上回るのは、蓄えの厚い一部の世帯が全体を引き上げているためです。平均額だけをみて安心したり落ち込んだりせず、実感に近い中央値もあわせて、わが家の位置を確かめておきたいところです。
1.2 【試算】毎月いくら貯めれば、中央値311万円・平均1096万円に届くか
2つの数字を「貯めるのにかかる期間」に置き換えてみます。前提は「毎月一定額を積み立て、運用による増減は考えない(利息ゼロ)」というシンプルな試算です。
- 月3万円の場合:中央値311万円まで約8年8カ月/平均1096万円まで約30年5カ月
- 月5万円の場合:中央値311万円まで約5年2カ月/平均1096万円まで約18年3カ月
月3万円でも、中央値の水準には10年かからずに到達する計算です。一方で平均の1096万円は、運用を一切考えない前提だと30年かかります。ここから読み取れるのは、中央値は「続ければ届く」現実的な目安であり、平均に近づくには積立額を増やすか、運用を組み合わせる必要があるということです。
2. 将来の土台となる「公的年金の2階建て」
老後の暮らしを支える公的年金は、「2階建て」とよく表現されます。しくみを知っておくと、将来いくら受け取れそうか、いま何をしておけばよいかが見えてきます。30歳代のうちに土台を理解しておきましょう。
2階建ての基本については、「【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説」から要点を引用して確認してみます。
公的年金制度は、しばしば「2階建て構造」に例えられます。これは、日本の年金制度が「1階」の国民年金(基礎年金)と、「2階」の厚生年金という2つの制度で構成されているためです。
出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
2.1 会社員は国民年金+厚生年金の2階建て
1階部分は、20歳以上のすべての人が加入する「国民年金(基礎年金)」です。会社員や公務員は、これに上乗せして「厚生年金」に加入します。この2階部分があるのが、いわゆる2階建てです。
会社に勤めると、原則として自動的に厚生年金に加入し、同時に国民年金にも加入した扱いになります。一方、自営業やフリーランスの方は、原則として1階の国民年金だけです。将来の年金額は、この階層の違いで大きく変わってきます。
2.2 厚生年金の保険料は会社と折半で負担する
厚生年金の保険料は、給与などをもとにした「標準報酬月額」に保険料率をかけて計算されます。特徴は、この保険料を会社と本人が半分ずつ負担する「労使折半」だという点です。
毎月の給与から天引きされている厚生年金保険料は、会社も同額を負担してくれています。そして納めた分は、将来受け取る2階部分の年金に反映されます。天引きされる金額の意味を知っておくと、働き方を考えるときの参考になります。


