9月30日を権利確定日とする株主優待の中には、プロ野球のオフィシャルファンクラブへの無料入会権など、ユニークな内容の銘柄があります。

今回はそうした9月末権利確定銘柄の一つとして、ヤクルト本社<2267>を取り上げます。

同社は乳酸菌飲料「ヤクルト」を軸とした乳製品・清涼飲料事業に加え、化粧品事業やプロ野球興行など幅広い事業を手がけています。

4月23日、米アクティビストファンドのダルトン・インベストメンツが、社外取締役2人の選任などを求める株主提案を行いました。この提案が伝わったことなどを受けて、株価は5月1日に節目の3,000円台を回復し、年初来高値3,092円をつけています。しかし6月24日の定時株主総会では、ダルトンの提案はすべて否決されました。

足元では3,000円台を回復していないものの、堅調な値動きが続いています。8月26日終値は2,875円(前日比▲44円、▲1.51%)でした。

こうした株価の動きに加えて、同社は7月31日に2027年3月期第1四半期(2026年4月〜6月)の決算を発表しています。

ココがポイント
  • ヤクルト本社の2027年3月期第1四半期決算は増収も営業・経常減益、特別利益の計上で最終利益は17.2%増
  • 海外3地域(米州・アジア/オセアニア・ヨーロッパ)が増収をけん引する一方、国内は物価高の影響で前年割れ
  • 9月30日を権利確定日とする株主優待(スワローズクルー無料入会権)の権利付き最終日は9月28日

1. 純利益17.2%増の中身と、伸び悩む国内事業

同社が7月31日に発表した2027年3月期第1四半期決算では、連結売上高は1,204億6,300万円(前年同期比3.3%増)となった一方、営業利益は100億8,800万円(同7.5%減)、経常利益は156億4,700万円(同9.0%減)と減益でした。ただし、最終利益は135億9,100万円(同17.2%増)と大幅な伸びを見せています。本業が減益となる中で、なぜ最終利益だけが2ケタ増益となったのでしょうか。

最終利益の伸びは、特別利益に投資有価証券売却益52億9,200万円(前年同期14億1,900万円)や固定資産売却益12億4,300万円(前年同期6,300万円)を計上したことが押し上げ要因となっています。

一方で特別損失には、前年同期にはなかった子会社株式売却損7億8,800万円を計上しました。特別利益合計は66億4,200万円(前年同期14億8,300万円)にのぼり、これが営業・経常減益にもかかわらず最終増益となった理由です。

事業部門別にみると、明暗が分かれています。

飲料および食品製造販売事業部門(国内)の売上高は553億6,800万円(前年同期比7.2%減)となりました。同社単体の品目別売上高でも、乳製品は289億400万円(前年同期比9.6%減)、清涼飲料等は59億6,700万円(同4.2%減)といずれも前年を下回っており、物価上昇等による厳しい市場環境が影響しています。

一方、海外は米州18.7%増、アジア・オセアニア14.4%増、ヨーロッパ14.2%増と、いずれも実績ベースでは2ケタの伸びとなりました。ただし、この伸びには為替が影響しています。

「前期と同じ為替レートを用いた場合」の試算によると、為替の影響を除いたベースでの前年同期比は、海外事業計で+4.8%(実績+16.1%)、米州で+1.7%(実績+18.7%)、アジア・オセアニアで+7.5%(実績+14.4%)、ヨーロッパで+0.6%(実績+14.2%)にとどまります。

連結売上高全体でみても、為替一定ベースでは1,143億1,400万円で前年同期比▲1.9%となり、実績の+3.3%増収は円安効果が大きく寄与した結果であることがわかります。

通期の連結業績予想は、売上高5,270億円(前期比8.3%増)、営業利益440億円(同2.6%減)、経常利益575億円(同5.9%減)、純利益465億円(同5.1%増)、1株当たり当期純利益174.21円で、5月12日の公表時と変わらず。年間配当予想も1株72.00円(中間36.00円、期末36.00円)で据え置かれており、前期(2026年3月期)実績の70.00円(中間33.00円、期末37.00円)から修正はありません。