平成27年度「なでしこ銘柄」が発表された
2016年3月16日、経済産業省と東京証券取引所の共同企画として平成24年度から実施されている、女性活躍推進に優れている企業の選定結果が発表されました。名付けて平成27年版「なでしこ銘柄」、45銘柄です。
その全銘柄の顔触れはこちらで確認してみてください。
経済産業省ニュースリリース:平成27年度「なでしこ銘柄」を発表しました
なでしこ銘柄の選定基準
選定基準は、全上場企業(約3,500社)の中で女性管理職比率を開示している企業を母集団に、公開データで女性の活躍に関するスコアリングを実施してスクリーニングし、さらにROEが8%以上あるいは業界平均以上のものを選ぶというものです。
スコアリングは、「女性のキャリア促進」と「仕事と家庭との両立サポート」の2つの側面で経営のコミットと実績を測るというものです。
株式投資の指針になるか
定性的に考えると、なでしこ銘柄の選定基準はなかなか良い基準だと思います。事業戦略の柔軟化、リスク対応力の向上、優秀な人材の確保、証券市場からの評価というメリットが考えられるでしょう。
発表資料にはなでしこ銘柄で構成されたポートフォリオはTOPIXよりも高パフォーマンスだと示されていますが、ここはTOPIXではなくJPX日経インデックス400と比較すべきです。
また、ここにも鶏と卵の議論があります。儲かっているので女性の登用が進んでいるのか、女性の登用が進んでいるから財務パフォーマンスが良いのか、この因果関係を正確に評価するには何年もの追跡調査が必要です
とはいえ、「業績が良くて、女性の登用も進んでいる」というのは良い会社に違いありません。45社の中からお気に入りを選ぶというのは、銘柄選択の方法として個人投資家の方には有益ではないでしょうか。
連勝を続ける「なでしこ銘柄」とは
今回で4回目になる選定企業リストですが、4回連続選出されたのはわずか3社、日産自動車(7201)、東京急行(9005)、KDDI(9433)になります。
3回連続はカルビー(2229)、日立製作所(6501)、ブリヂストン(5108)、トッパン・フォームズ(7862)、大阪ガス(9532)、ローソン(2651)の6社です。
意外な気づきも
今回初選出となったのは18社に上ります。このなかで、筆者が大変興味深く思ったのはワコールホールディングス(3591)です。事業内容を考えるともっと早くから選ばれていても不思議はなかったので、大変意外でした。
382社から回収したアンケートの集計結果を見ても、女性の登用には積極的になっていることがうかがえるものの、女性管理職の比率は8%、女性社内取締役比率は3%にとどまっており、本格的なダイバーシティの進展には長い道のりになりそうです。
投資だけでなく就職先を検討する参考にもなる
日本企業は、女性に限らず、若年化やプロ経営者の経営層への登用、海外人材の活用などに課題を抱えています。ぜひ人材の多様化を進めて、しなやかで伸びのある企業に変貌し世界で勝負してほしいと思います。
なお、このなでしこ銘柄発表資料は、特に女性の就職活動の参考にもなると思います。最近女性の管理職への新規登用を活発化している企業を「プレなでしこ銘柄」として紹介しています。ぜひご覧になってください。
【2016年3月18日 投信1編集部】
■参考記事■
>>失敗しない投資信託の選び方:おさえるべき3つのNGと6つのポイント
LIMO編集部