2025年に成立した年金制度改正は、すべてが同時に始まるわけではありません。
加入対象の拡大や賃金の上限の引き上げなど、項目ごとに時期が分かれて進みます。
本記事では改正の全体像を確認したうえで、額面月20万円の人の手取りを試算します。
なお、年金制度改正の内容や2026年度の年金額については、下記の記事から一部を引用・参照しています。
- 2025年に成立した改正法は、項目ごとに段階的に施行されます
- 企業規模要件の撤廃は10年かけて進み、賃金の上限も段階的に引き上げられます
- 額面月20万円で手取り率80%なら手取りは月16万円、差は月4万円です
1. 年金制度改正はいつから効いてくるのか
改正法が成立したのは2025年6月13日です。名称は国民年金法等の一部を改正する法律で、年金制度の機能強化を目的としています。
働き方や家族構成の多様化に制度を合わせる内容ですが、実施は項目ごとに時期が分かれます。
全体像を確認しておきます。iDeCoなど私的年金の見直しも含まれています。
1.1 段階的に進む改正の項目
1.2 加入対象の拡大は時間をかけて進む
- 中小企業において短時間で働く人などが、厚生年金や健康保険に加入し、年金増額などのメリットを受けられるようにする
1.3 在職老齢年金は2026年4月から
- 年金を受け取りながら働くシニアが、年金を減額されにくくなり、より多く働けるようにする
1.4 遺族年金も順次見直される
- 遺族厚生年金の男女差を解消。子どもが遺族基礎年金を受給しやすくする
1.5 賃金の上限は複数年かけて上がる
- 月収が一定以上となる人が、賃金に応じた年金保険料を負担し、現役時代の賃金に見合った年金を受給しやすくする
1.6 そのほかの項目も個別に進む
- 子どもの加算などの見直し、脱退一時金の見直し
- 私的年金の見直し:iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)加入年齢の上限引き上げなど
これらを見れば、公的年金が老後の受給額だけの話ではないことが分かります。現役世代にも関わる内容です。
長寿の時代では、施行のタイミングを追いながら自分への影響を見ていく必要があります。
2. 年金の仕組み。改正の影響を読むために
基本の仕組みは、「【国民年金+厚生年金】厚生年金は月額いくら?男女別・年齢別の平均受給額と将来の年金額を増やす方法」から引用して押さえます。
日本の公的年金は、よく「建物の階層」に例えられます。1階部分の国民年金は、日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入を義務付けられ、自営業者、フリーランス、学生、無職の人などが「第1号被保険者」として一律の保険料を納めます。会社員に扶養されている配偶者(年収130万円未満など)は「第3号被保険者」となり、個別の保険料負担はありません。2階部分の厚生年金は、厚生年金保険の適用事業所に勤務する会社員や公務員が加入し(第2号被保険者)、国民年金に上乗せされる形で加入するため、将来は「基礎年金+厚生年金(報酬比例部分)」の2階建てで年金を受け取ることができます。保険料は給与額に応じて変動し、会社と従業員が半分ずつ負担する「労使折半」が大きな特徴です。
出所:【国民年金+厚生年金】月15万円(年180万円)以上もらう人は何%?平均受給額を一覧で確認!私的年金の見直しで押さえておきたいポイント
3. 年金2026年度の額。毎年度の改定は別の動き
今年度の改定は、「【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?」から引用して確かめます。
2026年度の年金額は、国民年金が前年度比1.9%増、厚生年金(報酬比例部分)が同2.0%増の増額改定となりました。国民年金(満額・1人分)は月額7万608円、厚生年金(モデル夫婦世帯・2人分)は月額23万7279円です。ただし「ねんきん定期便」などに記載された金額は税金や社会保険料が引かれる前の「額面」であるため、実際の手取り額はこれより少なくなります。
出所:【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?
4. 年金の平均月額。改正前のいまの水準
厚生労働省が2025年12月に公表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、現状の水準を確認します。
4.1 国民年金のいまの平均
- 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
- 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
- 〈女性〉平均年金月額:5万7582円
出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
4.2 厚生年金のいまの平均
- 〈全体〉平均年金月額:15万289円
- 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
- 〈女性〉平均年金月額:11万1413円
出所:【国民年金+厚生年金】月15万円(年180万円)以上もらう人は何%?平均受給額を一覧で確認!私的年金の見直しで押さえておきたいポイント
※国民年金の金額を含む
国民年金の平均は男女ともに月5〜6万円台、厚生年金は全体平均15万円台です。改正の効果は、これから加入する人ほど大きくなります。
厚生年金の金額が現役時代の賃金水準と加入期間で決まるためです。
いまのシニア世代では、出産や育児などで就業形態を変えた女性が多く、その差が金額に残っています。



