3. 給付金が多い=受取総額が多い、ではない
ここからは、数字の受け止め方を整理していきます。まず確認しておきたいのが、いま見たパターン④の意味です。
給付金だけを比べると、夫婦とも全期間全額免除だったパターン④が最も多くなります。ただし、これは「保険料を納めなかったほうが得だった」という話ではありません。
老齢基礎年金そのものは、保険料を納めた期間に応じて計算されます。令和8年度の満額は年84万7300円、月にすると7万608円です。全期間を納付済で満たしていれば満額になりますが、全額免除の期間は年金額への反映が一部にとどまります。
つまり、給付金の単価が高く設定されているのは、年金本体が少なくなる分を一定程度補うためです。年金と給付金を合わせた受取総額で見れば、納付済期間が長いほうが多くなります。
3.1 免除期間の単価は年齢によっても変わる
免除期間の単価1万1768円は、昭和31年4月2日以後に生まれた方の金額です。昭和31年4月1日以前に生まれた方は1万1734円になります。
また、保険料の4分の1免除を受けていた期間は単価が変わり、昭和31年4月2日以後生まれで5884円、それ以前の生まれで5867円です。ご自身の免除の種類がどれに当たるかは、ねんきん定期便やねんきんネットで納付記録を確認してみてください。
4. 世帯全員の市町村民税が非課税であることが要件になる
夫婦2人がともに受け取れるかどうかは、金額の計算以前に要件で決まります。日本年金機構は支給要件として3つを挙げています。
1つ目が「65歳以上で、老齢基礎年金を受けている」こと、2つ目が「請求する方の世帯全員の市町村民税が非課税となっている」こと、3つ目が前年の年金収入金額とその他の所得の合計が基準額以下であることです。
4.1 2つ目は世帯の要件、3つ目は本人の要件
ここは主語が変わるので注意が必要です。2つ目は請求する方の世帯全員が対象なので、夫婦が同じ世帯であれば、どちらか一方の課税状況によって2人とも対象外になることがあります。
3つ目は請求する本人の所得です。基準額は10月から変わり、昭和31年4月2日以後に生まれた方で82万6500円以下、昭和31年4月1日以前に生まれた方で82万4100円です
この基準をわずかに超える場合の扱いについては、LIMOの記事「年金生活者支援給付金とは?2026年最新の対象者・いくらもらえるか・ハガキが届かない理由を徹底解説」から要点を引用して確認しておきましょう。
老齢基礎年金受給者のうち、所得要件の基準をわずかに上回ってしまった方に対しては、所得の逆転現象を防ぐために金額が調整された「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される救済措置が用意されています。
出所:年金生活者支援給付金とは?2026年最新の対象者・いくらもらえるか・ハガキが届かない理由を徹底解説
補足的老齢年金生活者支援給付金の計算式は「5620円×保険料納付済期間÷480月×調整支給率」で、所得に応じた調整支給率が掛けられます。夫婦のうち一方だけが基準を少し超えている、という場合もあり得ます。
5. 夫婦で確認しておきたい3つのこと
実際に自分たちがいくら受け取れるのかを知るには、何を見ればよいのでしょうか。3つに絞って挙げます。
5.1 2人それぞれの納付記録を確認する
給付金の額は、納付済期間と免除期間の月数で決まります。ねんきん定期便やねんきんネットで、2人それぞれの記録を確認してみてください。免除の種類が全額免除なのか4分の1免除なのかで単価が変わります。
5.2 世帯の課税状況を確認する
世帯全員の市町村民税が非課税であることが要件のひとつです。同居している家族の課税状況によって結果が変わるため、お住まいの市区町村の税の担当窓口で確認できます。
5.3 請求の手続きが済んでいるかを確かめる
要件を満たしていても、請求の手続きをしなければ支給は始まりません。対象になる可能性がある方には日本年金機構から請求書が送られますが、届いているかどうか、返送が済んでいるかどうかは確認しておきたいところです。
なお、要件の判定や金額の計算は個々の記録によって変わります。ご自身のケースについては、年金事務所やねんきんダイヤルに問い合わせるのが確実です。制度の内容は改正で変わることもあるため、最新の取り扱いもあわせて確認してください。
6. まとめにかえて
年金生活者支援給付金は、偶数月の中旬に2か月分がまとめて、年金とは別途振り込まれます。夫婦2人がともに全期間納付済であれば、1回の振込は2万2480円です。
免除期間の単価は月1万1768円と納付済期間の5620円より高いため、免除期間があるほうが給付金の額は大きくなります。夫婦とも全期間が全額免除であれば、1回の振込は4万7072円になる計算です。
ただし、これは給付金だけを切り取った比較です。年金本体は納めた期間に応じて計算されるため、受取総額で見れば納付済期間が長いほうが多くなります。まずは2人の納付記録と世帯の課税状況を確認するところから始めてみてはいかがでしょうか。
参考資料
宮野 茉莉子