ひと昔前までは、結婚したら専業主婦になって子育てと家事をしながら夫や家族を支えるのが一般的だった日本人女性。しかし今では、政府までもが女性活躍をうたい、結婚してからも働く女性が増えてきましたよね。しかし、実際に現場ではどうでしょうか。女性活躍が進んでいると言えるのでしょうか。
今回は、働く男女に現場での女性活躍について聞いてみました。
女性の4割以上が「生涯働き続けたい」
人材サービス会社である株式会社VSNが20~50代の女性を対象に行った「女性キャリアに関する意識調査」(注1)では、実に興味深い結果が得られました。「生涯働きたいか」という問いに対して、44.3%の女性が「はい」と回答したのです。実に4割以上の女性が結婚や出産を経ても働きたいと考えていることになります。
これは意外な結果だったのではないでしょうか。また、別のアンケート調査になりますが、転職サイト「女の転職@type」がサイト会員を対象に行った調査(注2)では、働くことが好きかという質問に対して80.6%の女性が「はい」と回答しています。やはり、いまの日本の女性は働くことに高い意欲があるのですね。
もちろん理由は様々だと思います。収入がないと生きていけないから、というのもありますよね。消極的だと思うかもしれませんが、これはきっと男性も同じことでしょう。お金がないと生きていけない、お金がないと豊かな生活が送れないというのは当然のことです。
ほかにも、生活にメリハリが出るとか、色々な人と出会えるとか、自分自身の成長につながるという理由もあるでしょう。そういう気持ちで仕事を楽しんでいる人も少なくないものです。しかし、そういう前向きな気持ちで働こうとしている女性の前に立ちはだかるのが職場でのさまざまなトラブル。次項では現場の声を紹介します。
注1:「女性キャリアに関する意識調査」(株式会社VSN)
注2:「『お給料』よりも実は大事!? 働く女性が仕事を愛する理由」(女の転職@type)
女性活躍推進を現場の男性はどう感じている?
政府は、女性活躍を掲げてさまざまなポジティブ・アクションを推進しています。たとえば、厚生労働省が公表しているポジティブ・アクションの取組事例集(注3)を見てみると、女性管理職の登用や女性社員の採用拡大、女子大学や地方大学での女子学生向けセミナーや説明会の実施などが実際に行われています。
それにより、女性社員の比率がアップしている会社も確かにあり、政府の掲げるポジティブ・アクションによる効果は出てきているようです。しかし、その一方で現場としてはそういったポジティブ・アクションに懐疑的であったり、反発する声があったりするのも珍しくないという現実も。
たとえば、今回話を聞いた男性の中には「ポジティブ・アクションがかえって男女差別を生んでいるのでは」と話す人もいました。
ポジティブ・アクションとは、そもそも過去の女性差別の経緯を認め、そのうえでマイナスになっていた部分をゼロに戻すというアクションなので、アクションだけを切り出すと女性優遇のようにも見えるでしょう。
彼は「無能な女性が管理職に登用された」と不満を漏らします。また、会社が意図して「女性の採用人数を増やす」ことに対しては、他の男性からも不満げな声があがっていました。「男女で採用基準が違うということ?」という思いがあるようです。
さらに育休の活用についても、男性社員が認められることは「例がない」として不満に感じていると答えた人もいました。
注3:「ポジティブ・アクションの取組事例集」(厚生労働省)