老後の生活費がどれくらいかかるのかは、多くの方が気にされるところです。ただ「65歳以上」とひとくくりにした平均だけでは、実感とずれることがあります。
総務省統計局が2026年2月に公表した「家計調査報告 家計収支編 2025年平均結果の概要」によると、65歳以上の無職夫婦世帯は月4万2434円、単身世帯は月2万9980円の赤字でした。さらに年齢を3つに分けて見ると、支出は60歳代後半の34万円台から75歳以上の28万円台まで下がっていきます。
この記事では、65歳以上の家計収支を夫婦と単身で確認したうえで、年齢による支出の変化と、年金への依存度を順に見ていきます。
- 65歳以上の無職夫婦世帯は月4万2434円、単身世帯は月2万9980円の赤字
- 支出は60歳代後半34万1397円、70歳代前半32万4971円、75歳以上28万23円と下がる
- 公的年金を受給している世帯のうち、収入のすべてが年金という世帯が41.3%
なお、高齢世帯の家計と貯蓄については、下記の記事より一部を引用・参照しています。
1. 65歳以上の無職世帯の月の生活費
まずは65歳以上の平均的な生活費を確認していきます。夫婦世帯と単身世帯に分けて見ていきましょう。
1.1 65歳以上の無職夫婦世帯は月4万2434円の赤字
実収入の月額平均は25万4395円で、このうち社会保障給付が22万8614円を占めます。
支出は合計29万6829円です。内訳は消費支出が26万3979円、非消費支出が3万2850円となっています。非消費支出の内訳は直接税1万2547円、社会保険料2万296円です。
消費支出の主な費目は、食料7万8964円、住居1万7739円、光熱・水道2万3540円、保健医療1万7941円、交通・通信3万1325円、教養娯楽2万6538円でした。
実収入25万4395円に対して支出が29万6829円なので、月の家計収支は4万2434円の赤字になります。
1.2 65歳以上の無職単身世帯は月2万9980円の赤字
単身世帯の実収入の月額平均は13万1456円で、うち社会保障給付が12万212円です。
支出は合計16万1435円で、消費支出が14万8445円、非消費支出が1万2990円となっています。消費支出の内訳は食料4万2545円、住居1万1416円、光熱・水道1万5565円などです。
こちらは実収入13万1456円に対して支出が16万1435円で、月2万9980円の赤字となります。
65歳以上の無職世帯における1か月の家計収支1/2
出所:総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」をもとにLIMO編集部作成
2. 年齢を3つに分けると支出は6万円下がる
ここまでは65歳以上をひとまとめにした数字でした。ただ一口に65歳以上といっても、年代によって生活費は変わります。
2.1 実収入はどの年代も年金が21万円前後
二人以上の無職世帯を年齢で分けると、実収入は65歳から69歳が29万110円、70歳から74歳が28万7725円、75歳以上が25万2798円でした。
このうち社会保障給付は、65歳から69歳が20万6222円、70歳から74歳が22万4980円、75歳以上が21万1289円です。どの年代も年金は21万円前後で大きくは変わりません。
ただし年金は加入状況によって個人差が大きいものです。ご自身の見込み額は、ねんきんネットなどで確認しておくことをおすすめします。
2.2 支出は60歳代後半から75歳以上で6万円以上減る
支出の合計は、65歳から69歳が34万1397円、70歳から74歳が32万4971円、75歳以上が28万23円でした。
内訳を見ると、非消費支出は65歳から69歳が4万4400円、70歳から74歳が3万9127円、75歳以上が3万1563円です。消費支出は同じ順に29万6997円、28万5844円、24万8460円となっています。
60歳代後半は34万円台、70歳代前半は32万円台、75歳以上は28万円台と、年齢が上がるにつれて支出は減っていきます。60歳代後半と75歳以上では6万1374円の差があります。
理由はさまざまですが、一般には年齢とともに活動量が減ることが影響していると考えられます。ただし実際には家庭の状況によって差があります。
年齢階級別にみた無職世帯の実収入と支出合計2/2
出所:総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」をもとにLIMO編集部作成
家計相談では、老後の生活費を「65歳以上の平均」ひとつで見積もっている方にお会いすることがあります。ただ実際には、60歳代後半と75歳以上では支出が6万円以上変わります。
取り崩しの計画を立てるときは、年代ごとに違う金額を置いてみると見通しが立てやすくなります。


