3. 好決算でも売られたTOWA株、直近の値動きとバリュエーション水準

TOWA株は今回の決算発表を挟んで、好決算と株価の動きが逆方向という展開になりました。

株価は3月31日につけた年初来安値2,181円から、AI関連の半導体投資への期待を背景に上昇基調をたどり、7月1日には年初来高値3,735円をつけていました。これは年初来安値から約71%の上昇です。

決算発表前日の5日終値は3,010円、6日の終値は2,860円でした。決算は大引けと同時刻(15時30分)の開示だったため、同日の取引にはほぼ反映されず、株価が本格的に反応したのは翌営業日の7日から。この日は前日比▲328円(▲11.47%)安の2,532円まで急落しました。大幅な増収・黒字転換を発表した翌営業日にこれだけ売られたのは、投資家にとって戸惑う値動きだったのではないでしょうか。

その後も上値の重い展開が続き、21日には2,274円まで値を下げました。

4. なぜ好決算でも売られたのか

IFIS株予報(アイフィスジャパン提供のコンセンサス)で確認すると、今回の第1四半期の経常利益23億3,200万円は、四半期ベースのコンセンサス予想18億6,000万円を上回る水準でした。単純に市場予想を下回ったために売られた、というわけではなさそうです。

一方で目を引くのは、通期の会社予想とコンセンサスの開きです。TOWAが示す2027年3月期の経常利益予想は102億4,000万円ですが、同じくIFISコンセンサスの通期経常利益予想は125億2,500万円と、会社予想を約22%上回っています。IFIS株予報でもアナリスト予想は「対会社予想:強気」に分類されており、会社側が示す通期計画は市場の期待よりも保守的だとみられていることがうかがえます。

四半期の好決算そのものは市場予想を上回って評価されつつも、通期の会社予想がこの保守的な水準のまま据え置かれたこと、また年初来安値から7月高値まで約71%上昇していた反動で利益確定売りが出やすい地合いだったことなどが重なり、株価は決算発表翌営業日に大きく売られた、という見方ができそうです。半導体関連株全体の地合いが軟調だった可能性も否定はできません。

5. バリュエーション面では、高値からは調整も安値圏からは距離がある水準

8月25日終値2,337円を基準にすると、主な指標は次の通りです。

  • PER(会社予想):25.05倍
  • PBR(実績):2.32倍
  • 配当利回り(会社予想):1.03%(1株配当24円)
  • 時価総額:1,756億6,800万円

TOWA株の12カ月チャート1/1

TOWA株の12カ月チャート

出所:各データより筆者作成

年初来高値(3,735円)からは約37%下落した一方、年初来安値(2,181円)からは約7%高い水準にあります。7月につけた高値圏からは大きく調整したものの、PER25倍という水準は、直近の急落を経てもなお割安と言い切れる水準ではなさそうです。

6. 記者コメント

TOWAの2027年3月期第1四半期は、AI・データセンター向け半導体の設備投資拡大という追い風を受け、稼ぎ頭の半導体製造装置事業が全社の増収・黒字転換を牽引する、わかりやすい決算内容でした。四半期の実績が市場のコンセンサス予想を上回った点も、内容面でのポジティブな材料といえます。

それでも株価が決算発表翌営業日に大きく売られた背景には、通期の会社予想がコンセンサスより保守的な水準に据え置かれていることや、大幅上昇後の利益確定売りなど複数の要因が重なった可能性があります。次回の第2四半期決算(2026年11月発表予定)で、通期予想の修正があるかどうかにも注目したいところです。

【免責事項】

  • 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。

参考資料

高原 祥子