3. 金属資源事業はなぜ3倍以上になったのか
金属資源事業の純利益は前年同期の275億1,200万円から865億8,200万円へと約3.15倍となり、収益も前年同期比+76.0%の1兆3,961億9,500万円に拡大しました。決算資料の投資キャッシュ・フローの内訳を見ると、金属資源事業では豪州原料炭事業について新規・更新投資と資産の売却・回収が同時に進んでおり、資産の入れ替えを伴う運用が続いていることがうかがえます。
この売却関連損益と資源市況の上昇、持分法による投資益の拡大(115億8,400万円→292億1,700万円)が重なったことが、大幅増益の主因です。
次に増加額が大きかったエネルギー&パワーソリューション事業は、純利益が前年同期比82.9%増の719億3,400万円となりました。こちらは資源市況の上昇を背景に売上総利益が628億4,100万円から1,097億900万円へ拡大したことが主因で、金属資源事業とは異なり持分法投資益はむしろ減少(417億7,700万円→368億2,900万円)しています。
三菱商事の株価は2026年8月24日、前日比▲1円(▲0.02%)の4,793円で取引を終えました。この日の値幅は安値4,731円(9時41分)から高値4,801円(14時23分)までで、始値は4,750円でした。出来高は351万6,800株、売買代金は167億5,133万6,000円でした。前営業日(8月21日)の終値4,794円からはほぼ変わらずの水準です。
4. バリュエーション評価:8月24日終値を踏まえた三菱商事株の水準
8月24日終値4,793円をもとに、会社予想の指標を確認すると以下のようになります。
- PER(会社予想):15.95倍(会社予想EPS300.41円に対して)
- PBR(実績):1.82倍(1株当たり四半期末純資産2,630.64円に対して)
- 配当利回り(会社予想):2.61%(会社予想配当125円に対して)
- 年初来高値:6,012円(5月15日)
- 年初来安値:3,610円(1月5日)
8月24日終値4,793円は、年初来高値6,012円からは約20%低い水準にあるものの、年初来安値3,610円からは約33%高い水準にあり、年初来のレンジで見ると中間よりやや上寄りの位置にあります。
5. 記者コメント
2027年3月期第1四半期の三菱商事は、純利益の増加額の約65%を金属資源事業1つが占めるという、かなり集中度の高い決算になりました。
エネルギー&パワーソリューションを合わせた2事業で増加額のほぼ全てをカバーしており、裏を返せば資源市況次第で業績が大きく振れやすいという同社の構造的な特徴を改めて示した決算でもあります。
同社は通期予想を5月時点の計画から変えておらず、今回のペースがそのまま続くとは限らない点には注意したいところです。
【免責事項】
- 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
参考資料
高原 祥子
