2. 「貯蓄がある人・ない人」を分ける3つの習慣

2.1 貯蓄ゼロは約3割、一方で2000万円以上も—二極化のいま

年代別の平均・中央値をみてきましたが、同じ年代の中でも、蓄えには大きな幅があります。J-FLECの調査から、貯蓄のない人(金融資産非保有)と、2000万円以上を持つ人の割合をみてみましょう。

貯蓄のない人は、30歳代32.3%、40歳代32.1%、50歳代35.2%、60歳代30.4%。どの年代でも、およそ3人に1人が貯蓄ゼロという水準です。一方で2000万円以上を持つ人は、30歳代5.9%、40歳代12.7%、50歳代15.9%、60歳代21.1%と、年代が上がるにつれて増えていきます。

おひとりさまの貯蓄は「ある人」と「ない人」に分かれやすいということです。平均額はこの一部の多い人に引き上げられるため、実態に近いのは中央値のほう。まずは自分がどのあたりにいるかを、中央値と見比べ、さらに金額帯ごとの割合を見て自身の現在地もつかんでおきたいところです。

2.2 貯まる人に共通する3つの習慣

では、その差はどこから生まれるのでしょうか。収入の多さも一因ではありますが、それだけでなく日々の「習慣」の差も大きいと感じます。お金が貯まっている人には、共通する3つの習慣が見られます。

一つ目は、「貯める順番」が逆であることです。残ったら貯めるのではなく、収入が入った時点で先に貯蓄へ回す「先取り」が習慣になっています。まず先に貯めることを重視し、残りでどう生活するかを考えること。それにより、無駄遣いも防ぎやすくなります。

二つ目は、固定費を定期的に見直していることです。固定費の見直しのメリットは一度変えれば節約がほっておいても続くこと。通信や保険、光熱費といった固定費などのムダを長く放置せず、定期的に見直すことで節約が続きます。

また、固定費を見直す機会を作ることで、変動費も見直す意識も保ちやすいものでしょう。

三つ目は、使わないお金を「時間」で育てていることです。当面使う予定のないお金を預貯金だけでなく、資産運用により長期・分散でコツコツ運用に回す方もいます。

もちろん資産運用は損をするリスクがあります。しかし、インフレの時代では預貯金だけにするのも価値が目減りするといったデメリットもあるもの。メリット・デメリットをしっかりと挙げた上で自身に合ったお金を育てる方法を選ぶのも一つでしょう。

いずれも特別な才能はいらず、仕組みにしてしまえば、収入が同じでも結果は変わってくることでしょう。ただし資産運用はリスクがありますから、余剰資金でしっかりと情報収集した上で納得のいく運用を心がけてください。

3. 元証券会社員からのアドバイス

前ページでみた3つの習慣を、おひとりさまが今日から仕組みにするための実践を、元証券会社員の視点でお伝えします。

まず、生活防衛資金を先に確保しましょう。病気やケガで働けないとき頼れるのは自分の蓄えなので、半年〜1年分の生活費は、すぐ動かせる預貯金で持っておきましょう。

次は、先取りを「自動」にすることです。給与が入ったら一定額が自動で別口座や積立に回る設定にすれば、意志の力に頼らず続けられます。

そして、使える制度を味方につけることです。新NISAでの少額積立やふるさと納税などを無理のない範囲で活用すると、同じ収入でも手元に残るお金が変わります。ただし投資には元本割れのリスクがある点は押さえておきましょう。

宮野 茉莉子

老後資金を貯める場合、数十年先のことですから、意志だけの力に頼るのは難しいもの。先取り貯金や先取りで積立投資をするなど、仕組化を取り入れるとよいでしょう。金額などは基本的に途中でも変更できるので、リスクはあるものでも取り入れやすいでしょう。おひとりさまは、家計のすべてを自分で決められる強みがあります。今日、先取りの金額をひとつ決めるところから、差は縮められます。焦らず、自分のペースで整えていきましょう。

4. まとめにかえて

今回は、30〜60歳代おひとりさまの平均貯蓄額(501万〜1364万円)と中央値(100万〜300万円)を確認しました。どの年代も平均が中央値を大きく上回り、実感に近いのは中央値のほうです。

あわせて、貯蓄のない人が約3割いる一方、2000万円以上を持つ人もいる「二極化」をみました。差を分けるのは収入の多さよりも、日々のお金の習慣でした。

今日からできることは3つです。はじめに、収入が入ったら先に貯蓄へ回す「先取り」を自動化すること。つぎに、通信・保険・住居などの固定費を一度しっかり見直すこと。さいごに、生活防衛資金を確保したうえで、少額でも長く積み立てを続けること。

投資には元本割れのリスクがある点も踏まえ、無理のない範囲で。特別な才能はいりません。習慣を仕組みに変えれば、収入が同じでも、これからの蓄えは着実に変わっていきます。

参考資料

宮野 茉莉子