「年金、今月からまた振込額が減っている気がする」と感じたことはありませんか。
日本年金機構は令和8年8月5日から、年金の「支給額変更通知書」と「振込通知書」を対象者に順次発送しました。8月分の支給日は8月14日(金)でしたが、この通知書では支給額が変わる場合の理由と金額を事前に確認できるしくみです。
この記事では、8月に届いた2種類の通知書の違いと、年金の額面から差し引かれる項目の内訳を、日本年金機構の一次資料をもとに整理していきます。
- 「支給額変更通知書」(8月5日発送分)は、介護保険料改定や在職定時改定などで年金額が変わった人に届く
- 「振込通知書」(6月中旬発送)は年6回分の振込予定額と天引き内訳を1年分まとめて示す書類
- 年金額面から引かれる主な項目は介護保険料・国保/後期高齢者医療・所得税・住民税の4つ。合計で額面の10〜20%程度になるケースが多い
1. 「支給額変更通知書」と「振込通知書」の役割の違い
日本年金機構が発送する年金関連の通知書は複数種類あり、届くタイミングと内容が異なります。8月5日発送分は、額面の変動に関わる情報が中心でした。
1.1 支給額変更通知書は「変わる人だけ」に届く
「支給額変更通知書」(8月5日発送分)は、介護保険料の天引き額変更など、年度の途中で年金からの控除額(天引き額)や受給額に変更が生じた人に届きます。
金額の変更が反映される支給月と、変更前・変更後の金額が両方記載されているため、通帳に振り込まれた額との照合ができます。
※働く高齢者の年金額を再計算する「在職定時改定」による変更は、毎年10月分(12月支給分)から適用され、これについての変更通知書は11月に届くことになっています。
1.2 振込通知書は年1回、全受給者に届く
一方の振込通知書は、原則として6月中旬に全ての年金受給者へ発送されるものです。6月の支給日以降の1年分について、6回分の振込予定額と、介護保険料・所得税・住民税などの天引き内訳が一覧で確認できます。
8月に額面が変わった場合など、途中で内訳が更新される人には8月5日発送のタイミングで改めて通知書が届いています。
8月5日発送の支給額変更通知書と、6月発送の振込通知書の役割・対象・タイミングを比較しています1/2
出所:日本年金機構「年金決定通知書・支給額変更通知書」日本年金機構「年金振込通知書」をもとにLIMO編集部作成
2. 年金の額面から差し引かれる項目
年金の手取り額は、額面から複数の項目が差し引かれた金額です。通知書を読み解くには、まず内訳の項目を押さえておくと理解しやすくなります。
2.1 介護保険料は原則「特別徴収」
65歳以上で年金額が年18万円以上の人は、原則として介護保険料が年金から特別徴収されます。市町村ごとに保険料率が異なり、令和8年度は前年度から改定された自治体もあったため、8月支給分から額が変わった人がいました。
2.2 国民健康保険料・後期高齢者医療保険料
75歳未満は国民健康保険料、75歳以上は後期高齢者医療保険料が対象です。
年金の年額が18万円以上で、介護保険料と合算した額が年金額の2分の1を超えない場合、こちらも原則として特別徴収されます。
2.3 所得税・住民税
年金の額面が一定額を超える場合、所得税と個人住民税も天引きの対象になります。
所得税は「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を毎年提出することで、控除を受けた後の金額が源泉徴収されるしくみです。
3. 通知書が届いたら確認したいポイント
実際に通知書を受け取ったら、次の3点を優先的に確認するとムダな不安を避けやすくなります。
3.1 変更前と変更後の金額
金額の変更幅が想定より大きい場合は、市区町村の保険料改定通知や、勤務先経由の給与情報などと突き合わせて要因を特定します。
3.2 変更理由の記載欄
介護保険料改定・在職定時改定・税額変更など、変更の理由は通知書に明記されています。理由がわからない場合は、日本年金機構の年金事務所や街角の年金相談センターに問い合わせるのが確実です。
3.3 次回以降の振込予定額
振込通知書は年6回分の予定額をあらかじめ知る資料でもあります。生活費の見通しを立てる際の基準として活用しやすい書類です。
通知書は数字の羅列に見えますが、天引き項目の内訳を毎年8月に確認しておくと、翌年度の家計計画に活かせます。
あわせて「ねんきんネット」で加入履歴と控除内容も照合しておくと安心です。
4. 【一次資料で照合する】通知書の数字を家計簿に落とし込む
通知書が届いたら、まず「額面のうち何割が実際に手元に残るか」を家計簿レベルで押さえておきましょう。
天引き項目の合計割合を毎年8月に更新しておくと、翌年度の家計計画にそのまま反映できます。
4.1 天引き4項目の合計は額面のおよそ1〜2割
額面の年金月額が18万円のケースでは、介護保険料が月6000円〜1万円、国民健康保険料または後期高齢者医療保険料が月5000円〜1万2000円、所得税が月0円〜5000円、住民税が月3000円〜8000円が目安です。
合算すると月1万4000円〜3万5000円ほどで、額面の10〜20%程度になるケースが多くみられます。
この割合は世帯構成・前年所得・自治体によって上下します。自分のケースの実額は、通知書の「介護保険料」「所得税」等の各欄をそのまま家計簿に写しておくのが早道です。
4.2 ねんきんネットで加入履歴と控除内容を照合
通知書の額面が想定と違う場合は、日本年金機構の「ねんきんネット」で加入履歴と支給明細を照合できます。
過去の月別支給額や源泉徴収額の履歴が一覧で表示されるため、通知書との突き合わせが手早く終わります。
扶養親族等申告書の提出漏れがあると、所得税の天引き額が想定より大きく出ることがあります。
ねんきんネットの控除内容欄を年1回チェックしておくと、こうした漏れを早い段階で拾えます。
5. 【落とし穴】通知書だけでは見えない項目
支給額変更通知書と振込通知書に載っていない情報もあります。特に住民税と介護保険料は、通知書の数字だけで理由を読み解こうとすると背景が見えにくい項目です。
5.1 住民税は前年所得ベースで動く
個人住民税は前年の所得をもとに計算されます。年金額そのものが変わっていなくても、前年に給与所得や退職金・一時所得があると、翌年の住民税が動くことになります。
通知書で「住民税の天引き額が増えた」と感じた場合は、市区町村から送られる住民税決定通知書と併読すると原因が特定しやすくなります。
5.2 介護保険料は自治体ごとに水準が違う
介護保険料は市区町村ごとの第9期保険料改定(令和8年度)で水準が変わりました。
同じ年金額でも、居住地の自治体によって天引き額が上下します。
引っ越しを検討している場合や、単身赴任などで住民票を移した場合は、居住地変更が反映されるまでの端境期に旧自治体の保険料で徴収されるケースもあります。
市区町村の介護保険担当窓口で最新の水準を確認しておくと安心です。
6. 【対応策】家族と共有する場を設ける
通知書は個人宛に届く書類ですが、天引きの内訳は家族の生活設計にも直結します。
夫婦・親子で情報を共有しておくと、将来の相続や医療費控除の準備にもつながります。
6.1 変更内容は家計簿や共有メモに残す
通知書のコピーやスキャンを家計簿ファイルに保管しておくと、翌年度以降の変動と比べやすくなります。
紙で残す場合はクリアファイル、デジタルで残す場合は共有ドライブや家族LINEに1枚ずつまとめておくと再確認が簡単です。
6.2 相続や医療費控除の準備にもつながる
通知書は源泉徴収税額の記録にもなります。
医療費控除や高額療養費の申告時、確定申告の年金収入欄を書くとき、相続時の年金過払い分の還付手続きなど、後から必要になる場面がある書類です。
保管期間の目安は最低5年、可能であれば10年です。家族と保管場所を共有しておくと、いざというときの手続きがスムーズに進みます。
7. まとめにかえて
8月に届いた通知書は、年金額の変動を把握して家計を組み直す機会でもあります。
額面が変わっていなくても、天引きの内訳が変わることで手取りが動いたケースもあったため、封を切ってすぐに廃棄せず一度目を通しておくとよいでしょう。
疑問点があれば、日本年金機構の各種窓口や市区町村の保険料担当窓口に相談することで、通知書の見方から具体的な変更理由まで確認できます。
書面と一次資料を照合しながら、家族と共有できる家計データとして残しておくことをおすすめします。

