4. バリュエーション評価:直近の株価はどんな水準にあるのか

8月20日の終値3,120円をもとに算出すると、PER(会社予想、連結)は16.84倍、PBR(実績、連結)は1.20倍、配当利回り(会社予想)は2.98%です。年初来高値(3,465円、7月24日)からは約10%低い水準、年初来安値(2,238円、1月5日)からは約39%高い水準にあり、年初来レンジのなかでは依然として上寄りの水準にあります。

7日発表の第1四半期決算が大幅増益だった点や足元の金利上昇を踏まえると、株価がボックス圏で推移しているということは、決算内容がすでに一定程度織り込まれたことや、金利上昇に伴う保有有価証券の評価損(2026年6月末時点で△1兆807億円、税効果前)への警戒感などが背景にあるとみられます。

4.1 ゆうちょ銀行の年間チャート

ゆうちょ銀行の年間チャート1/1

ゆうちょ銀行の年間チャート

出所:各データより筆者作成

5. 株主優待はカタログギフト

同行は、2026年3月31日時点の株主名簿に記録された500株(5単元)以上の株主を対象に、年1回、3,000円相当のオリジナルカタログギフトを株主優待として贈呈しています。2027年度からはこの制度を拡充し、3年以上継続保有するなど一定の条件を満たす株主を対象に、5,000円相当のカタログギフトを贈呈する「長期保有優遇」を新設する予定です。

6. 【記者コメント】運用主導の成長に潜む「金利上昇」の諸刃の剣

一般的な銀行と異なり、貸出ではなく資産運用を収益の柱とするゆうちょ銀行は、市場金利や為替、保有有価証券の評価損益に業績が揺さぶられやすい構造的特徴を持ちます。実際、2026年6月末時点の評価損益は1兆807億円の含み損(その他有価証券・税効果前)を抱えた状態です。今回の好決算は運用収益の伸びに支えられた面が大きく、この高ペースを維持できるかは、今後の内外金利の動向と同行の運用手腕にかかっています。

今後の株価を左右する最大の変数は「金利」です。日本の長期金利は18日に一時2.945%と約30年ぶりの高値を更新したのち、足元は2.8%台前半で落ち着きを見せています。金利上昇は将来の運用利回りを改善させる一方、保有国債の評価損を膨らませる「諸刃の剣」となります。市場が含み損リスクを過度に意識する局面では売り圧力が強まりやすく、当面は値動きの荒い展開に注意が必要です。

【免責事項】

  • 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
  • 株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください

参考資料

高原 祥子