ゆうちょ銀行(7182)は20日、前日終値3,173円に対し53円安(▲1.67%)の3,120円で取引を終えました。12日に3,142円だった終値は5日続伸で18日には3,332円まで上昇していましたが、19日に4.8%反落し、20日も続落する展開となりました。

同行は7日に2027年3月期第1四半期の決算を発表しており、大幅増益となったものの、その後の株価は3,300円台への上昇と3,100円台への反落を繰り返すレンジ相場が続いています。

ココがポイント
  • 8月20日は続落、18日につけた直近の高値圏から一服
  • 2027年3月期第1四半期は大幅増益、通期予想への進捗率も堅調
  • 収益の核は「貸出」ではなく「資金運用」、業務粗利益の約9割をマーケットビジネスが占める独自の構造

1. 2027年3月期第1四半期は大幅増益、進捗率も堅調

7日に発表された2027年3月期1Q決算は、経常収益が前年同期比27.1%増の8,481億8,000万円、経常利益が同64.7%増の2,535億2,800万円、四半期純利益が同69.3%増の1,775億7,300万円となりました。経常利益は通期予想9,550億円に対して進捗率26.5%、純利益は通期予想6,600億円に対して進捗率26.9%と、いずれも堅調な滑り出しです。

利益の伸びを牽引したのは連結業務純益で、前年同期の222億円から1,874億円へと大きく拡大(+1,652億円)。資金利益が1,748億円増加したためです。資産売却などの一過性の利益ではなく、本業の儲けを示す「連結業務純益」が大きく伸びており、これは銀行としての基本的な「稼ぐエンジン」が桁違いに強くなったことを意味しています。

2. なぜ「貸出をしない銀行」で稼げるのか

ゆうちょ銀行のビジネスモデルには、大手銀行と大きく異なる特徴があります。全国の郵便局窓口や通帳アプリを通じて集めた貯金の多くを、企業向け融資ではなく、国内外の有価証券などで運用する「マーケットビジネス」に振り向けている点です。同行が公表する収益構造によると、2026年3月末時点で業務粗利益に占めるマーケットビジネス由来の収益(資金利益+特定取引利益+その他業務利益)の割合は約88%に達し、メガバンク平均(約63%)を大きく上回ります。

今回の1Qも、資金運用収益が外国証券利息の増加(+1,506億円)や、国内金利上昇に伴う国債利息の増加(+304億円)によって大きく伸び、増益をけん引しました。

3. 強みを支える顧客基盤と自己資本の厚さ

同行は本邦最大級の顧客基盤を持ちます。通常貯金口座数は約1.2億口座、貯金残高は186兆2,558億円(2026年6月末)に上り、家計部門の預貯金の約2割を占めます。通帳アプリの登録口座数も1,749万口座(2026年6月末)まで拡大しました。

自己資本の厚さも際立ちます。自己資本比率(国内基準、連結)は2026年6月末時点で15.15%と、規制上の最低水準(4%以上)を大きく上回りました。国際統一基準のCET1比率(完全適用ベース)も10.09%まで改善しています。

ここまで見てきたように、2027年3月期第1四半期のゆうちょ銀行は、資金運用収益の伸びを主因に大幅増益となり、通期予想に対する進捗率も堅調に推移しています。融資ではなく運用で稼ぐという独自のビジネスモデルと、それを支える顧客基盤・自己資本の厚さが、好業績の背景にあります。

2ページ目では、20日の終値をもとにしたバリュエーション評価と、株主優待制度の概要に触れます。