年金額が増えたと聞いて、少し安心した方もいたのではないでしょうか。
令和8年度は国民年金(老齢基礎年金)の満額が月額「7万608円」となり、令和7年度から4年連続の引き上げとなりました。厚生年金のモデル世帯(夫婦2人分)では月額「23万7279円」です。
一方で、実際に口座に振り込まれる手取り額は、この伸び率ほど増えていないと感じる方も少なくありません。個人住民税や国民健康保険料、介護保険料といった天引きの負担が、年金額の伸びを上回ることもあるためです。
この記事では、令和8年度の年金額改定の内容と、手取りの伸びが目減りしやすい仕組みについて確認します。
なお、年金額改定の内容に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。
- 令和8年度は国民年金・厚生年金がともに増額改定。国民年金の満額は月「7万608円」、厚生年金のモデル世帯は月「23万7279円」に
- 年金からは個人住民税・国民健康保険料(または後期高齢者医療保険料)・介護保険料が天引きされ、負担の増加が手取りの伸びを目減りさせることも
- 元銀行員の視点では、年金以外の収入源としてNISAなどの資産運用を検討しておく発想も役立つ
1. 令和8年度の年金額改定で、年金の手取りはどう変わった?
まず、令和8年度の年金額改定の中身を確認しておきます。
1.1 国民年金は月7万608円、厚生年金モデル世帯は月23万7279円に
厚生労働省と日本年金機構は、令和8年度(2026年度)の年金額改定を公表しています。
年代別の年金受給額の推移や、住民税非課税世帯の状況について、「6月15日の振込額から増額!60歳から89歳までの「平均年金月額一覧表」とシニア世帯で増える非課税化の実態 2026年度の改定額や通知書のチェック方法、年代別の平均受給額と住民税非課税世帯の割合を徹底解説」から要点を引用して確認してみます。
2026年度においては、国民年金(基礎年金)が前年度比で1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%の増額となりました。
国民年金(老齢基礎年金・満額・1人分):月額7万608円
昭和31年4月1日以前に生まれた方の老齢基礎年金(満額)は月額7万408円(前年度比+1300円)です。
厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む):月額23万7279円
この新しい改定率は、2026年6月に支給される4月・5月分から反映されます。
令和7年度と令和8年度の年金額(国民年金満額・厚生年金モデル世帯)の比較1/2
厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」/日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」をもとにLIMO編集部作成
1.2 4年連続のプラス改定でも、伸び率どおりに手取りが増えるとは限らない
年金額そのものは引き上げられました。
ただし、これがそのまま手取りの増加につながるとは限りません。
年金からは、個人住民税や国民健康保険料(または後期高齢者医療保険料)、介護保険料といった項目が天引きされる仕組みがあるためです。
2. 手取りの伸びを目減りさせる、年金からの天引き4項目とは
年金の手取り額を考えるうえでは、額面の金額だけでなく、天引きされる項目についても知っておくことが大切です。
2.1 個人住民税・国民健康保険料・後期高齢者医療保険料・介護保険料
日本年金機構によると、一定の要件を満たす年金受給者については、個人住民税、国民健康保険料(または後期高齢者医療保険料)、介護保険料が、お住まいの市区町村からの依頼に基づいて年金から特別徴収される仕組みになっています。
これらの金額は年金機構ではなく、お住まいの市区町村や後期高齢者医療広域連合が決定するものです。
そのため、同じ年金額改定であっても、天引きされる金額は住んでいる自治体や世帯の状況によって差が出ることもあります。
天引きの詳しい仕組みや通知書の見方については、本稿では概要にとどめます。
2.2 年金額の伸びより天引きの増加が大きいと、手取りは目減りする
年金額の改定率がプラスであっても、天引きされる保険料や税金の負担が同時に増えることもあるため、結果として手取りの伸びが目減りして感じられることがあります。
こうした状況だからこそ、年金以外の収入源をどう確保するかを考えておくことに意味があると感じています。
3. NISAを活用して、老後の年金以外の収入源をつくる
年金の手取りの伸びが目減りしやすい状況だからこそ、年金以外の収入源を持っておく発想が役立ちます。その代表的な選択肢のひとつがNISAです。
3.1 NISAは「所得控除」ではなく「運用益が非課税」になる制度
NISA(少額投資非課税制度)は、株式や投資信託などの運用益にかかる約20パーセントの税金が非課税になる制度です。
掛金が所得控除の対象になるiDeCo(個人型確定拠出年金)とは、この点が異なります。
NISAには、投資信託などを積み立てるNISAのつみたて投資枠(年間投資枠「120万円」)と、上場株式なども対象になる成長投資枠(年間投資枠「240万円」)があります。
非課税で保有できる限度額は、両方合わせて「1800万円」です。
新たな掛金の拠出がなくても、退職金や預金の一部を運用に回すといった使い方ができる点は、すでに現役を終えた方にとって扱いやすい面があると感じています。
3.2 メリットだけでなくデメリットも知っておく
一方で、NISAには元本保証がありません。
運用状況によっては、投資した金額を下回ることもあります。
始めるタイミングによって受け取る損益が変わることもあるため、一括で大きな金額を投じるのではなく、無理のない範囲で少しずつ取り組む考え方もあります。
50歳代のうちから少額で始めて、年金の受給開始後も引き続き保有しておくという進め方を選ぶ方もいました。


