物価高が続くいま、「将来いくら年金を受け取れるのか」「いまの働き方のままで老後は大丈夫なのか」と感じる方は少なくないでしょう。
2026年度は国民年金・厚生年金がそれぞれ引き上げられ、4年連続のプラス改定となりました。
本記事では最新の年金額や高齢者世帯の家計収支データをもとに、老後生活費のひとつの目安とされる「月15万円」に届く人がどれほどいるのかを確認します。
あわせて、2026年に進む社会保険制度の見直しや、NISA・iDeCoを活用した資産形成の最新動向もご紹介します。
※公的年金のしくみや受給額についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
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2026年度は国民年金1.9%、厚生年金2.0%引き上げられ4年連続の増額となったが、高齢単身世帯の家計は月約3万円の赤字が続いている。
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厚生年金受給権者のうち月15万円以上を受け取っているのは全体の49.8%にとどまり、受給額には加入期間や収入による大きな個人差がある。
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2026年以降「年収の壁」の要件見直しが段階的に進む一方、NISA・iDeCoを使って自ら年金を上乗せしていく動きも広がっている。
1. 年金は「2階建て」構造、2026年度は4年連続の増額に
日本の公的年金は、20歳から60歳未満のすべての人が加入する「国民年金(基礎年金)」を1階部分とし、会社員や公務員などが上乗せで加入する「厚生年金」を2階部分とする2階建て構造になっています。
国民年金の保険料は全員定額で、2026年度の月額は1万7920円。
保険料を全期間(480カ月)納めれば、65歳から満額の老齢基礎年金を受け取れる仕組みで、2026年度の満額は月7万608円です。
一方の厚生年金は収入に応じて保険料が決まり、加入期間や納付額によって受給額に個人差が出るのが特徴です。
公的年金は物価や現役世代の賃金動向を踏まえて毎年度見直されており、2026年度は前年度比で国民年金が1.9%、厚生年金が2.0%引き上げられ、4年連続のプラス改定となりました。
厚生年金は、夫婦2人分(平均的収入で40年就業したモデル世帯)で月23万7279円となっています。
2. 65歳以上「ふつうの単身シニア世帯」でも約3万円の赤字に
総務省「家計調査報告(家計収支編)2025年平均結果」によると、65歳以上の単身無職世帯の実収入は月平均13万1456円で、その大半にあたる12万212円が年金などの社会保障給付です。
一方で消費支出は月14万8445円、税金や社会保険料などの非消費支出は1万2990円かかるため、収支は月およそ2万9980円の赤字となっています。
支出のうち最も大きな割合を占めるのは食料で、全体の28.7%です。
国民年金のみを受け取る世帯では、満額でも月7万円程度にとどまるため、この赤字幅はさらに広がることになります。
2.1 月15万円に届く人は半数以下
老後生活費の目安としてよく挙げられるのが「月15万円」という水準です。
厚生労働省「令和6年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金受給権者(基礎年金を含む)の平均受給額は月15万289円で、目安に届いているようにも見えます。
しかし内訳を見ると、受給額には大きな個人差があります。受給権者数は「5万円未満」が約24万人、「5万円以上10万円未満」が約282万人、「10万円以上15万円未満」が約502万人、「15万円以上20万円未満」が約499万人、「20万円以上」が約303万人。
月15万円以上を受け取っているのは全体の49.8%にとどまり、半数には届いていません。
厚生年金に加入していない人まで含めれば、年金だけで暮らしを賄える人はさらに少ないとみられます。
3. 筆者からのコメント
ここで気になるのは、月々の赤字分を実際にはどう埋めているのかという点です。
総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)2025年平均結果」によると、高齢無職世帯の貯蓄現在高は2494万円で、前年から66万円(2.6%)減少し、6年ぶりの減少となりました。
年間収入の伸び率が1.5%にとどまる一方、物価上昇率は3.2%に達しており、年金額の改定率(1.9%)だけでは生活費の増加分を吸収しきれていない実態がうかがえます。
つまり毎月の赤字は、これまで蓄えてきた預貯金を取り崩しながら補っている世帯が少なくないことの裏返しともいえそうです。
老後資金を考えるうえでは、年金額そのものだけでなく、こうした「取り崩しのペース」にも目を向けておく必要があるでしょう。
特に厚生年金の受給額が少ない世帯ほど取り崩しは速くなりやすいため、家計の状況を定期的に見直しておきたいところです。




