伊藤忠商事(8001)の株価は2026年8月20日の東証終値で、前日比+27円(+1.37%)の2,004円となりました。

同社の株価は13日の終値2,078円から19日の終値1,977円まで4.9%下落する軟調な展開が続いていましたが、この日は反発。

きっかけとなったのは、同日付の日本経済新聞電子版が報じた、伊藤忠商事のデータセンター開発事業への参入です。

なお、この日は東京市場全体も反発し、日経平均株価は前日比890円37銭高の6万6216円79銭で取引を終えています。

伊藤忠商事の株価の値動きの背景には、8月3日の大引け後に発表された2027年3月期第1四半期決算と、同時に決議された上限3,000億円の自己株式取得もあります。まずは決算と自己株式取得の中身を整理していきましょう。

記事後半では年間チャートの動きもチェックしていきます。

ココがポイント
  • 伊藤忠商事はデータセンター開発参入の報道を受け、8月20日は前日比+1.37%高で反発
  • 2027年3月期第1四半期は増収増益も、税引前四半期利益は前年同期の株式売却益の反動でわずかに減益
  • 上限3,000億円・1億9,000万株の自己株式取得を決議、うち1,500億円は損害保険会社4社からのTOBで実施

1. 2027年3月期第1四半期決算:増収増益も税引前利益はわずかに減益

伊藤忠商事が3日に発表した2027年3月期第1四半期(2026年4月〜6月)決算は、次のような内容でした。

  • 収益:3兆8,758億6,100万円(前年同期比+8.9%)
  • 営業利益:2,054億5,500万円(同+20.3%)
  • 税引前四半期利益:3,699億9,900万円(同▲1.3%)
  • 最終利益(当社株主に帰属する四半期純利益):2,937億6,300万円(同+3.5%)

税引前四半期利益だけがわずかに減益となったのは、有価証券損益が前年同期の1,305億円から381億円へと924億円減少したためです。前年同期に、食品・農業大手C.P. Pokphandの株式売却益や、フランスPROVENCE HUILES株式の売却益という一時的な利益が計上されており、今回はその反動が出た形です。

一方で、機械や金属、食料、住生活などの持分法による投資損益は639億円から1,116億円へと478億円増加し、有価証券損益の落ち込みを一定程度相殺しています。

2. 伊藤忠商事の事業モデル:資源と非資源の両輪で稼ぐ商社

伊藤忠商事は、食料・繊維・情報金融などの生活消費に近い「非資源分野」に強みを持つ総合商社として知られていますが、今回の決算では金属やエネルギー・化学品といった資源分野の伸びが際立ちました。金属セグメントは営業利益が前年同期比31.7%増の429億2,300万円、エネルギー・化学品セグメントは同47.2%増の423億6,700万円と、いずれも大幅な増益となっています。

一方、非資源分野でも繊維セグメントの営業利益が前年同期比92.2%増の65億1,700万円となりました。同社は「利は川下にあり」を掲げ、デサントやエドウイン、アンダーアーマーといった消費者に近いブランドを多く傘下に持ちますが、今回はその繊維事業が金額としては小さいながらも大きな伸び率を記録しています。情報・金融セグメントも同22.8%増の218億2,100万円と堅調でした。

3. 事業セグメント別の動向:資源分野の伸びが目立つ

2027年3月期第1四半期の事業セグメント別の収益・営業利益(前年同期比)は以下の通りです。

セグメント:収益(前年同期比)/営業利益(前年同期比)

  • 食料:1兆4,193億9,500万円(+0.2%)/営業利益:579億5,700万円(+2.7%)
  • エネルギー・化学品:8,735億2,300万円(+21.3%)/営業利益:423億6,700万円(+47.2%)
  • 住生活:3,945億3,700万円(+6.8%)/営業利益:194億5,400万円(▲0.7%)
  • 機械:3,703億2,900万円(+7.5%)/営業利益:208億1,100万円(+10.7%)
  • 金属:3,412億5,800万円(+17.9%)/営業利益:429億2,300万円(+31.7%)
  • 情報・金融:2,780億6,100万円(+16.7%)/営業利益:218億2,100万円(+22.8%)
  • 繊維:1,642億2,000万円(+8.5%)/営業利益:65億1,700万円(+92.2%)
  • 第8:34億1,700万円(+80.1%)/営業利益:▲7億6,800万円(前年同期▲12億3,100万円から損失縮小)

エネルギー・化学品と金属という資源関連の2セグメントが、営業利益で30〜47%台という大幅な増益を記録し、全体の増益を牽引しました。

繊維は金額こそ65億円台と小さいものの、伸び率では92.2%増と全セグメント中で最も高い水準です。

一方、食料は前年同期比2.7%増、住生活はほぼ横ばい(0.7%減)にとどまっており、セグメントごとの明暗が分かれる決算だったと言えます。