「厚生年金は、現役時代に納めた分に応じて受け取るもの」ー基本はそのとおりですが、実は家族手当のような上乗せがあるのをご存じでしょうか。それが「加給年金」です。厚生年金に20年以上加入した人に年下の配偶者がいると、令和8年度は家族構成にもよりますが年最大42万円超が上乗せされることもあります。
8月は2か月に一度の年金支給月。2026年は8月15日が土曜日にあたるため、8月の年金は8月14日に支給されました。通帳の金額を見て老後のお金を考えたこの時期に、意外と知られていない加給年金と、その後を引き継ぐ「振替加算」のしくみを、公的な情報をもとに整理していきましょう。
※本記事は一部、【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアルを引用のもと執筆しています。
- 加給年金は厚生年金の“家族手当”。20年以上加入+生計維持の配偶者・子がいると上乗せ
- 令和8年度は配偶者分で年最大42万3700円(特別加算込)。月あたり約3万5000円の上乗せに
- 配偶者が65歳になると終了し『振替加算』へ。昭和41年4月2日以後生まれは対象外
1. まずは基本から—公的年金は「2階建て」
加給年金の話に入る前に、土台となる年金の仕組みを整理しておきましょう。日本の公的年金は、1階の国民年金(基礎年金)の上に、会社員や公務員などが加入する2階の厚生年金が乗る「2階建て」です。加給年金は、この2階部分(老齢厚生年金)に関わる上乗せなので、まずは全体像をつかんでおくと理解しやすくなります。
【1階部分】国民年金(基礎年金)の概要
- 加入対象:原則として日本国内に居住する20歳以上60歳未満のすべての人
- 受給額:保険料を40年間(480カ月)すべて納付すると、満額を受け取ることができます(2026年度は月額7万608円)
【2階部分】厚生年金の概要
- 加入対象:会社員や公務員のほか、パートタイマーなどで特定適用事業所に勤務し、一定の要件を満たす人が国民年金に上乗せして加入
- 受給額:加入していた期間や納付した保険料額によって個人差が生じます
ポイントは、厚生年金が「加入期間」と「納めた保険料」で決まるという点です。加給年金の要件にも「厚生年金20年以上」という加入期間の条件が出てきます。まずは、自分がどれくらい厚生年金に加入してきたかを思い浮かべながら読み進めてみてください。
2. 厚生年金・国民年金、平均年金月額はいくら受け取っている?
次に、実際の受給額の目安を見ておきましょう。最新の公的データである厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、平均年金月額を男女別に確認します。
厚生年金の平均額(全年齢)
- 〈全体〉平均年金月額:15万289円
- 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
- 〈女性〉平均年金月額:11万1413円 ※国民年金の金額を含みます。
国民年金の平均額(全年齢)
- 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
厚生年金は全体で月15万円台ですが、男性16万9967円に対し女性は11万1413円と、約6万円の差があります。国民年金だけの場合は平均で月5万9310円です。
こうしてみると、老後の年金は「基本の受給額」だけで決まるわけではなく、そこに加給年金のような上乗せがあるかどうかで、家計の余裕は変わってきます。次から、その上乗せの中身を具体的に見ていきましょう。
3. 【厚生年金】加給年金とは?対象となる人とは
ここからが本題です。厚生年金には、扶養している家族がいる人への“家族手当”のような上乗せ=『加給年金』があります。金額が小さくないわりに、意外と知られていない制度です。日本年金機構によると、加給年金額は次のような場合に加算されます。
3.1 加給年金の対象者
- 厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある方が、65歳に到達した時点(または定額部分支給開始年齢に到達した時点)
- 上記の方に生計を維持されている「65歳未満の配偶者」または「18歳到達年度末までの子(1級・2級の障害がある場合は20歳未満の子)」がいるとき
気になる金額は、令和8年度で次のとおりです。
3.2 【2026年度】加給年金の金額
- 配偶者:24万3800円(年額)
- 1人目・2人目の子:各24万3800円(年額)
- 3人目以降の子:各8万1300円(年額)
さらに配偶者分には、老齢厚生年金を受ける方の生年月日に応じて3万6000円〜17万9900円の特別加算が上乗せされます。昭和18年4月2日以後に生まれた方なら特別加算は17万9900円で、配偶者分は合計42万3700円(年額)に。月あたり約3万5000円の上乗せになる計算です。年下の配偶者がいる会社員・公務員の方にとっては、見逃せない金額といえるでしょう。




