ヤマハ発動機(7272)の株価は2026年8月18日、前日比18円安(0.93%安)の1,918.5円で取引を終えました。
前日17日には一時1,987円まで買われて年初来高値を更新したばかりの高値圏からは値を下げたものの、依然としてその近辺にとどまっています。
4日に発表した中間決算をきっかけに大きく水準を切り上げた株価は、このまま新しい居所に定着できるのでしょうか。決算発表前、8月3日終値の1,332.5円と比べると、8月18日終値はなお約44%高い水準にあり、急騰分の大半を維持したまま高値圏で推移しているといえそうです。
この株価の居所を大きく変えるきっかけとなった中間決算の中身を、改めて振り返っていきましょう。
記事後半では年間チャートの動きもチェックしていきます。
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中間決算は営業利益88.6%増、通期予想も売上収益・営業利益・純利益の3項目そろって上方修正
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二輪車中心のランドモビリティ事業とマリン事業が増収増益を牽引
- アウトドアランドビークル(OLV)事業は赤字が続き、約300人規模の人員調整を含む構造改革を実施
1. 中間決算の中身をおさらい
まずは2026年12月期中間決算(2026年1〜6月、IFRS)の数字を確認していきましょう。売上収益は1兆4,980億円(前年同期比17.2%増加)、営業利益は1,585億円(同88.6%増加)、最終利益(親会社の所有者に帰属する中間利益)は1,139億円(同114.7%増加)と、いずれも大幅な増収増益となりました。
なお、当期の為替換算レートは1ドル158円(前年同期比10円の円安)、1ユーロ185円(同23円の円安)で、円安も増収要因の一つとなっています。
セグメント別に見ると、主力のランドモビリティ事業は売上収益9,846億円(前年同期比21.8%増加)、営業利益1,127億円(同89.8%増加)。二輪車は日本国内こそ販売が減ったものの、欧米の需要伸長に加え、インドやASEANといった新興国での販売が大きく伸びました。原材料コストの上昇はあったものの、販売台数の増加や価格転嫁、為替の影響で増益となっています。
マリン事業は売上収益3,007億円(同7.4%増加)、営業利益460億円(同18.3%増加)。主力の船外機は米国市場でやや需要が減った一方、アジアや中南米といった新興国での需要が伸長し、全体では前年を上回りました。米国関税の影響を受けながらも、販管費の削減や為替の追い風で増益を確保しています。
ロボティクス事業は売上収益601億円(同24.5%増加)、営業利益37億円(前年同期は営業損失15億円)と黒字転換しました。
一方、アウトドアランドビークル(OLV)事業は売上収益803億円(同3.3%増加)にとどまり、営業損失120億円(前年同期は営業損失137億円)となりました。
ここまでを整理すると、ヤマハ発動機の中間決算は二輪車・船外機という既存事業の増収増益に加え、ロボティクス事業の黒字転換も加わり、通期の業績予想も上方修正されました。
一方でOLV事業は依然として赤字が続いており、同社はこのタイミングで踏み込んだ構造改革の実施を決めています。
2. アウトドアランドビークル事業、構造改革の中身とは
OLV事業は、四輪バギーやレクリエーショナル・オフハイウェイ・ビークル(ROV)を手掛けるRV事業と、ゴルフカーなどのLSM事業から構成されます。中間期は、ROVの苦戦が続く一方で四輪バギーが堅調だったRV事業に対し、LSM事業は米国市場を中心に販売が減少し、研究開発費の増加や米国関税の影響も重なって営業損失が拡大しました。
これを受けて同社は、OLV事業の構造改革を実施することを決定しました。まず、米国ジョージア州の自社工場(Yamaha Motor Manufacturing Corporation of America)でのROV生産を終了し、パートナー企業からのOEM供給を軸とした協業モデルへ移行します。これによって生まれる経営資源は、収益性の高いATV(四輪バギー)やゴルフカーに集中的に振り向ける方針です。
人員面では、正社員約200名の削減を含め、派遣人員の適正化などを合わせて計約300名規模の人員調整を計画しています。生産体制についても、ROVの自社生産終了で生じる工場スペースや余力をゴルフカー事業向けの組立・物流機能の効率化に振り向けるとしています。
2026年12月期の業績には、この構造改革に伴う一過性費用として約120億円を計上する見込みです。人員体制の見直し費用、生産終了に伴う追加的な販促費用、在庫処分費用、減損損失などが主な内訳です。同社はこの構造改革を通じて2027年に大幅な収益改善を実現し、2028年にはOLV事業の単年度黒字化を目指すとしています。
3. 通期予想も上方修正、3項目そろって増額
中間期の好調な実績とOLV事業の構造改革をあわせて、同社は2026年12月期の通期業績予想を上方修正しました。
売上収益予想は2兆7,000億円から2兆9,000億円へ(プラス2,000億円、7.4%増)、営業利益予想は1,800億円から2,600億円へ(同800億円、44.4%増)、純利益予想は1,000億円から1,700億円へ(同700億円、70.0%増)と、いずれも大幅な増額です。
中間期の実績が好調だったことに加え、OLV事業の一過性費用約120億円をあらかじめ織り込んだうえでの上方修正である点は、同社の見通しの自信のほどを示しているといえそうです。
4. 配当予想は据え置きに
株主還元については、2026年12月期の年間配当予想は1株50円(中間25円・期末25円)で、今回の業績予想の上方修正でも変更はありませんでした。前期(2025年12月期)の実績である35円と比べると、+15円の増配となる計画です。