決算で利益が前の年を下回ったのに、株価はむしろ大きく上がる。そんな一見ちぐはぐな動きに戸惑う人もいるだろう。
ソフトウェアの品質保証を軸に伸びてきたSHIFT(3697)が、いままさにその局面にある。売上は伸び続ける一方で、足元の利益は前年に届かない。
株価と業績のどちらを信じればよいのか。数字の中身から順に見ていきたい。
※本記事中の株価は、過去の株式分割の影響を調整した値を使用しています。
この記事の3つのポイント
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①2026年8月期3Q累計は売上高が前年同期比21.4%増と伸びる一方、営業利益は4.3%減、純利益は36.6%減と後退した。 -
②利益が伸び悩んだ主因は、採用費の増加や稼働率の一時的な低下など、人材への先行投資である。 -
③株価は直近1カ月で3割を超えて上昇しており、目先の減益より生成AIを軸とした先の成長を織り込む展開となっている。
増収でも利益が足踏み、それでも上昇した株価
SHIFTの株価は、直近1カ月で大きく水準を切り上げた。7月中旬に700円を割り込む場面があった後、8月14日の終値は956円まで戻している。1カ月で3割を超える上昇だ。
とくに8月14日は前日から7%あまり上げた。この日は主力株に買いが広がった地合いも支えになったとみられる。
株価純資産倍率(PBR、株価が1株当たり純資産の何倍かを示す指標)は直近時点で6.4倍と高い。利益がいったん伸び悩むなかでこの水準を保つのは、市場が先の成長を織り込んでいるからだと考えられる。
2026年8月期3Q累計、売上21%増でも営業利益は減った
2026年8月期3Q累計の売上高は1,158億円で、前年同期比21.4%増と二桁の伸びを保った。一方で営業利益は113億円と、前年同期を4.3%下回った。純利益にいたっては39億円で、36.6%の減益である。
なぜ増収なのに利益が縮んだのか。会社の説明によると、前の期に戦略的に抑えていた採用活動を正常化させ、採用費が増えたことが響いた。加えて大型案件の獲得に向けて営業の人員を厚くした結果、稼働率が一時的に下がったという。
実際、売上総利益が前年同期比16.1%増だったのに対し、販管費は27.6%増と伸びが上回った。人材への先行投資が、目先の利益を削っている構図だ。
純利益の落ち込みがさらに大きいのは、持分法による投資損失を38億円計上したことなどが加わったためである。
筆者コメント
増収と減益が同時に起きるとき、私はまず「稼ぐ力が落ちたのか、先に払っているだけなのか」を分けて考えるようにしている。
SHIFTの場合、売上と粗利は伸び続けており、利益の重しは採用費という人への投資だ。将来の案件をこなす人手を先に確保している、という読み方ができる。
もっとも、投資が実を結ぶかは稼働率が戻るかどうかにかかる。増収の勢いと利益率の回復を、あわせて見ていきたい局面だ。
