2026年8月14日の東京株式市場は4日続伸。SQ(特別清算指数)算出日で振れやすい地合いのなか、前日13日の米国株高を受けてAI・半導体関連株中心に買いが先行し、日経平均株価は前日比405円21銭高の6万8,713円80銭で取引を終えました。

そのなかでトライアルホールディングス(141A)は、8月13日の取引終了後に発表した2026年6月期決算を受けて翌14日に大幅高となり、前日終値3,330円から一時3,880円まで買われる場面もありました。終値は3,680円(前日比+350円、+10.51%)となりました。

一見、最終利益は前年比70.0%減の「大幅減益」です。それでも株価が大きく上昇したのはなぜか、決算の中身を見ていきましょう。

1. この記事を読むとわかる3つのポイント

  • 2026年6月期は西友の完全子会社化で売上高67.6%増、営業利益43.9%増も純利益は70.0%減
  • 前年比では大幅減益に見えるが、会社の直近計画(5月公表)比では純利益604.4%増の上振れ着地
  •  期末配当は16円から17円に増配、2027年6月期は純利益203.8%増の見通し

2. 決算は増収増益も、純利益は70%減

2026年6月期の連結決算は、売上高1兆3,471億900万円(+67.6%)、営業利益303億7,100万円(+43.9%)、経常利益201億8,600万円(▲9.1%)、純利益35億2,200万円(▲70.0%)となりました。

増収増益の原動力は、2025年7月1日に完全子会社化した西友です。西友の245店舗が新たに連結対象となり、グループ店舗数は621店舗に拡大、売上高1兆円超の流通グループとなりました。もっとも、西友買収に伴う借入金の増加で支払利息などの営業外費用や法人税等が膨らみ、経常利益・純利益はいずれも減益となりました。

事業は、トライアル・西友の店舗運営を担う流通小売事業、決済機能付きレジカート「Skip Cart」などを手がけるリテールAI事業、その他事業の3本柱です。トライアルと西友はPB商品の相互展開や店舗フォーマットの融合を進めており、Skip Cartは2026年6月末時点で288店舗・2万4,031台まで導入が広がっています。

前年比だけを見ると大幅減益の決算ですが、この数字だけでは株価急伸の理由は見えてきません。会社自身の直近予想との比較、増配の中身、株価水準を見ていきます。

3. 会社計画との差異で見えてくる、決算の本当の中身

この純利益予想5億円は、2025年8月の期初から据え置かれていたものです。同社は西友買収に伴う特別損失の計上を保守的に織り込んでいましたが、実際の特別損失は19億1,900万円にとどまり、想定を下回りました。実績と比べると、様相は一変します。

項目:前回予想(5月14日公表)→今回実績(増減率)

  • 売上高:1兆3,425億円→1兆3,471億900万円(+0.3%)
  • 営業利益:280億円→303億7,100万円(+8.5%)
  • 経常利益:173億円→201億8,600万円(+16.7%)
  • 純利益:5億円→35億2,200万円(+604.4%)

同社は差異の理由について「売上高及び売上総利益が想定以上に堅調に推移したことに加え、特別損失が想定を下回った」と説明しています。

前年比では減益に見えても、会社が保守的に織り込んでいたリスクが顕在化しなかったことが、株価急伸の一因とみられます。

決算にあわせ、期末配当は直近予想の16円から17円に増配することも発表されました。年間配当も17円となり、配当性向(連結)は59.1%(前期16.6%)に上昇しています。