7. 「第3号被保険者制度」の見直し議論、当事者の本音は?

女性の厚生年金受給額が男性よりも低くなる背景には、結婚や出産、育児などを理由に仕事を辞めたり、配偶者の扶養内でパートタイマー(第3号被保険者)として働いたりする期間が発生しやすいという事情があります。

この「第3号被保険者制度」は、共働き世帯の増加といった社会の変化を受けて、現在、縮小や廃止を含めた見直しの議論が進んでいます。

制度変更の影響を直接受けることになる主婦や主夫の方々は、この議論をどのように捉えているのでしょうか。

7.1 第3号被保険者制度の見直し、賛成?反対?

第3号被保険者制度についてどう思う?5/5

第3号被保険者制度についてどう思う?

出所:ビースタイルグループ 第3号被保険者制度、当事者の7割が「縮小も廃止もしない」を支持

株式会社ビースタイル ホールディングスが運営する、しゅふJOB総研が2026年6月に公表した調査結果によれば、第3号被保険者制度について「縮小も廃止もしない方が良い」と回答した人は、全体の52.8%を占めました。

特に、制度の当事者である第3号被保険者に限定すると、その割合は約7割(69.3%)に達し、現状維持を求める声が強いことが明らかになりました。

自由回答欄には、「子どもが小さい間は思うように働けない」「介護や育児、自身の体調の問題で、まとまった労働時間を確保できない人も多い」など、働きたい意思はあっても働けないという切実な事情を訴える声が多数寄せられています。

その一方で、「個人事業主などの第1号被保険者は配偶者を扶養に入れられず、会社員だけの優遇措置で不公平だ」「共働きが主流の現代社会に合わせて縮小すべき」といった、制度見直しを支持する意見もあり、賛成と反対の両方の意見が存在する状況が浮き彫りになっています。

家事や育児といった家庭内での貢献を評価すべきだという意見がある一方で、時代の変化とともに制度のあり方そのものが問われているといえます。

このような社会保険制度が将来変わる可能性も考慮し、ご自身の年金見込額を早期に把握しておくことの重要性が増しているといえるでしょう。

8. まとめ:将来を見据え、今からできる準備を

今回は、老後の生活基盤となる公的年金について、最新データをもとに女性の厚生年金受給額の実態を中心にお伝えしました。全体の平均受給額は約15万円ですが、月15万円以上を受け取っている女性はわずか12.3%にとどまり、男女間で大きな差が生じているのが現実です。

女性は結婚や出産、育児といったライフイベントで働き方が変わりやすく、それが将来の年金額に直結しています。さらに、「第3号被保険者制度」の見直し議論も進んでおり、私たちを取り巻く社会保険の仕組みは今後変化していく可能性があります。

「もっと早くから備えていれば」と後悔しないために、まずは「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」でご自身の受給見込額を正しく把握しましょう。単身世帯はもちろん、ご夫婦の場合は「世帯全体」でいくら受け取れるのかを確認する視点が重要です。

物価上昇や制度の変更など、不確実なことが多い時代だからこそ、新NISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)といった制度を上手に活用し、ご自身に合った方法で計画的に資産形成を始めてみてはいかがでしょうか。

9. 監修者からのコメント

熊谷 良子

女性の働き方が多様化する一方で、将来の年金に対する不安の声は少なくありません。

特に第3号被保険者制度の行方は、今後のライフプランに大きな影響を与える可能性があります。

制度の変化に備えるためにも、まずは現状を正しく知ることが大切です。

「ねんきんネット」でこまめに確認する習慣をつけ、新NISAやiDeCoといった税制優遇制度を上手に活用しながら、ご自身に合ったペースで老後の安心を育てていきましょう。

参考資料

池上 翠