秋になると、年金を受け取っている方のもとに「扶養親族等申告書」という書類が届くことがあります。名前は難しいのですが、提出するかどうかで受け取る年金の手取りが変わる場合がある、大切な書類です。
今回は、まず今の時期に届くこの申告書のポイントをおさえたうえで、そもそも年金の「額面」と「手取り」がなぜ違うのか、何が天引きされるのかまで整理します。
なお、公的年金の手取りや天引きに関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。
- 扶養親族等申告書は毎年9月ごろ、源泉徴収の対象となる年金受給者に翌年分が届く
- 配偶者・扶養・障害者などの控除がある人は、提出すると年金の所得税が軽くなり手取りが増えることも。該当がない人・対象でない人は提出不要
- 年金は「額面」から税金・社会保険料が天引きされ、手取りは少なくなる。控除を反映させることでその差を抑えられる
1. 毎年9月ごろ、秋に届く「扶養親族等申告書」対象者とは?出す人・出さなくてよい人
まず、今の時期に届くこの書類から確認しておきましょう。国税庁によると、扶養親族等申告書は、公的年金を受け取る人がその年の年金について扶養控除などの諸控除を受けるための手続きです。日本年金機構は、源泉徴収の対象となる方へ、翌年分を毎年9月ごろから順次送っています。
申告できるのは、配偶者控除や扶養控除、障害者控除などです。
対象になる家族がいる人が提出すると、年金から源泉徴収される所得税にこれらの控除が反映され、税が軽くなって手取りが増えることがあります。反対に、該当する控除がない人や源泉徴収の対象でない人には届かず、提出も不要です。
提出期限は記載されていますので、その期限までに提出をおこないましょう。届いた用紙を返送する紙の方法のほか、スマートフォンやパソコンからの電子申請もできます。もし出しそびれても、翌年の確定申告で納めすぎた所得税を取り戻せる場合があります。
2. 年金の「額面」と「手取り」はなぜ違う?かかる税金の基本
ここからは、そもそもの年金の手取りのしくみを整理します。
2026年度の年金額は、国民年金が前年度比1.9%増、厚生年金(報酬比例部分)が同2.0%増の増額改定となりました。国民年金(満額・1人分)は月額7万608円、厚生年金(モデル夫婦世帯・2人分)は月額23万7279円です。ただし「ねんきん定期便」などに記載された金額は税金や社会保険料が引かれる前の「額面」であるため、実際の手取り額はこれより少なくなります。
出所:【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?
ポイントは、平均額などで公表される年金額は「額面」だということです。老齢年金は所得税法上「雑所得」として所得税・住民税の課税対象になり、さらに医療や介護の保険料も基本的には差し引かれます。
一方で、同じ年金でも障害年金や遺族年金は非課税で、これらの税金はかかりません。扶養親族等申告書で控除を反映させることは、この「額面と手取りの差」を小さくする手立ての一つといえます。
3. 【年金一覧表】厚生年金の平均的な年金月額はいくら?
では、今のシニアが平均でうけとっている年金額を厚生労働省年金局が発表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに確認しましょう。まずは厚生年金です。
3.1 【60歳代(60〜69歳)】厚生年金の年金月額一覧表
60歳:9万9664円
61歳:10万4455円
62歳:10万9323円
63歳:6万8758円
64歳:8万3901円
65歳:14万9862円
66歳:15万2378円
67歳:15万2356円
68歳:15万2709円
69歳:15万1284円
※65歳未満の厚生年金受給者は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢が引き上げられたため、報酬比例部分のみ受給している方も含む。
3.2 【70歳代(70〜79歳)】厚生年金の年金月額一覧表
70歳:15万455円
71歳:14万8371円
72歳:14万6858円
73歳:14万5583円
74歳:14万7774円
75歳:15万1410円
76歳:15万1241円
77歳:15万962円
78歳:15万862円
79歳:15万3115円
3.3 【80歳代(80〜89歳)】厚生年金の年金月額一覧表
80歳:15万3729円
81歳:15万5460円
82歳:15万7744円
83歳:15万9994円
84歳:16万2555円
85歳:16万3947円
86歳:16万5577円
87歳:16万5557円
88歳:16万6200円
89歳:16万6767円
3.4 【90歳以上】厚生年金の年金月額一覧表
90歳以上:16万4027円
標準的な年金受給開始年齢は65歳となっています。65歳以降の各年齢で受け取れる厚生年金の平均年金月額は、14万円~16万円台でした。
4. 【年金一覧表】国民年金の平均的な年金月額はいくら?
続いて、国民年金(老齢基礎年金)について、各年齢で受給できる平均年金月額を見ていきます。
4.1 【60歳代(60〜69歳)】国民年金の年金月額一覧表
60歳:4万5186円
61歳:4万6371円
62歳:4万7784円
63歳:4万7258円
64歳:4万7896円
65歳:6万1240円
66歳:6万1369円
67歳:6万1345円
68歳:6万1293円
69歳:6万978円
※65歳未満の国民年金(老齢基礎年金)受給者は繰上げ受給を選択した方。
4.2 【70歳代(70〜79歳)】国民年金の年金月額一覧表
70歳:6万1011円
71歳:6万770円
72歳:6万234円
73歳:6万32円
74歳:5万9813円
75歳:5万9659円
76歳:5万9555円
77歳:5万9349円
78歳:5万9124円
79歳:5万8676円
4.3 【80歳代(80〜89歳)】国民年金の年金月額一覧表
80歳:5万8623円
81歳:5万8269円
82歳:5万8003円
83歳:5万7857円
84歳:5万9675円
85歳:5万9425円
86歳:5万9228円
87歳:5万9204円
88歳:5万8756円
89歳:5万8572円
4.4 【90歳以上】国民年金の年金月額一覧表
90歳以上:5万5633円
65歳以降の人が受給できる国民年金(老齢基礎年金)の平均年金月額は、5万円~6万円台となっています。
5. 60歳~90歳以上のすべての受給権者における「平均年金月額」とは
60歳~90歳以上のすべての受給権者の平均年金月額も確認しましょう。
5.1 「厚生年金」男女別平均年金月額
〈全体〉平均年金月額:15万289円
〈男性〉平均年金月額:16万9967円
〈女性〉平均年金月額:11万1413円
5.2 「国民年金」男女別平均年金月額
〈全体〉平均年金月額:5万9310円
〈男性〉平均年金月額:6万1595円
〈女性〉平均年金月額:5万7582円
国民年金は全体で約6万円近く、厚生年金は15万円台となりました。厚生年金には国民年金部分も含まれるため、厚生年金部分のみだと約9万円ほど。しかしこの部分は厚生年金への加入期間や収入に応じて納めた保険料により個人差が非常に大きく出るところです。
だからこそ、現役時代から自身の年金見込み額に興味を持ち、ねんきんネットやねんきん定期便は年に一度はみるようにしましょう。そこから天引き額をひいたものが老後の生活費で使える金額の目安となります。













