「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、通称「オルカン」は、設定来これまで良好なパフォーマンスを積み重ねてきた人気のインデックスファンドです。

ただし、2026年7月は基準価額がマイナスとなり、月末には日米協調と見られる為替介入によって1ドル156円台までドル安・円高が進む場面がありました。

その後、足元では1ドル160円を割り込む水準まで再び円高が進んでおり、SNS上ではオルカンを保有する人たちから不安の声も見られます。

今回は、7月の月次レポートから基準価額のマイナス要因を確認したうえで、長期投資という視点に立ち返り、いま何を意識しておくべきかを整理していきます。

この記事の3つのポイント

  •  7月のオルカンの基準価額は▲496円、主因は新興国株式と為替のマイナス
  •  為替は月末に1ドル156円台をつける場面も…ただし短期的な変動は長期投資では想定内
  •  積立投資なら、下落局面はドルコスト平均法が効くタイミングでもある

オルカンとは?投資対象を確認

オルカンは、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み・円換算)に連動し、日本・先進国・新興国の株式に広く投資するインデックスファンドです。2026年7月末の資産構成は次の通りです。

  • 先進国株式(除く日本):83.7%
  • 新興国株式:11.2%
  • 国内株式:5.1%

オルカン 組入上位10ヵ国・地域(2026年7月末)1/4

オルカン 組入上位10ヵ国・地域

出所:三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」月次レポート(2026年7月)をもとにLIMO編集部作成

「全世界に分散」という響きから受けるイメージとは裏腹に、組入国トップはアメリカで63.1%を占め、2位以下は日本(5.0%)、イギリス(3.2%)、カナダ(3.0%)、台湾(2.8%)と続きます。分散を掲げていても、実質的には米国株の動きに強く引き寄せられるファンドだと言えます。

オルカン 組入上位10銘柄(2026年7月末)2/4

オルカン 組入上位10銘柄

出所:三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」月次レポート(2026年7月)をもとにLIMO編集部作成

上位はAPPLE(4.8%)、NVIDIA(4.4%)と続きますが、比較的分散された比率になっており、台湾のTAIWAN SEMICONDUCTOR(TSMC)が7位に入っている点も特徴です。

オルカンのトータルリターンを確認(2026年7月末時点)

2026年7月31日時点の月次レポートをもとに、各期間のトータルリターンを確認します。

オルカン トータルリターン比較(2026年7月末時点)3/4

オルカン トータルリターン比較

出所:三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」月次レポート(2026年7月)をもとにLIMO編集部作成

  • 過去1カ月:▲1.3%
  • 過去3カ月:+4.5%
  • 過去6カ月:+11.2%
  • 過去1年:+29.5%
  • 過去3年:+87.5%
  • 設定来:+275.2%

直近1カ月はマイナスとなったものの、過去1年では+29.5%、設定来では+275.2%と、短期的な下落を含めても中長期では大きく資産が増えている実績が確認できます。なお、月次レポートには指数そのもの(ベンチマーク)の値も掲載されており、設定来ではファンドの実績+275.2%に対し、ベンチマークは+273.2%となっています。低コストで指数に忠実に追随することを目指す設計でありながら、ファンドの実績がベンチマークをわずかに上回っている点も興味深いところです。

年平均利回りに換算すると、設定来(約7年9カ月)で約18.6%、過去3年では約23.3%となります(概算)。あくまで過去の実績をならした数字であり、「今後も同じペースで続く」とは限らない点には注意が必要です。

7月のオルカンはなぜマイナスになった?変動要因を確認

月次レポートには、基準価額がどの要因でどれだけ動いたかを示す「変動要因」が掲載されています。2026年7月の内訳は次の通りです。

オルカン 2026年7月の変動要因4/4

オルカン 2026年7月の変動要因

出所:三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」月次レポート(2026年7月)をもとにLIMO編集部作成

  • 国内株式:▲20円
  • 先進国株式(除く日本):+183円
  • 新興国株式:▲419円
  • 為替要因:▲237円
  • その他(信託報酬等):▲3円
  • 合計:▲496円
和田直子

7月のオルカンは、先進国株式がプラス(+183円)となったものの、新興国株式の下落(▲419円)と為替要因のマイナス(▲237円)が重なり、全体としては基準価額を落とす結果となりました。

特に気になっている方も多いのが「為替の動き」ではないでしょうか。7月末には日米協調介入と見られる動きによって急激な円高が進み、一時1ドル=156円台まで押し戻される場面がありました。その後は値を戻していますが、足元では再び160円を割り込む水準で推移しており、月内の為替の動き自体が変動要因のマイナスにつながっています。

外国資産に分散投資しているオルカン。為替の影響を完全に避けることはできません。しかし、こうした短期的な変動は、長期投資の過程において十分に起こり得るものです。

設定来の変動要因を見ると、先進国株式+17,121円、為替要因+7,201円、新興国株式+1,971円、国内株式+1,338円(設定来合計:+27,521円)となっています。単月では為替がマイナスに働いていますが、設定来で見れば為替要因もしっかりプラスに寄与しており、短期の動きと長期の実績は分けて捉える必要があることが分かります。

為替が1ドル160円台を割り込み、不安の声も——長期投資の原点に立ち返る

7月末の為替介入をきっかけに一時156円台まで円高が進んだ後、一旦値を戻したものの、足元では再び160円を割り込む円高水準で推移しています。

SNSなどでは「このまま下がり続けるのでは」といった不安の声も見られますが、まずは長期投資としてオルカンを保有している、という当初の目的を思い出すことが大切です。

長期投資には、短期的な値動きの影響を時間の経過とともに薄めていく効果や、世界経済の成長を取り込みながら資産を育てていく効果が期待できます。実際、オルカンの過去1年のリターンは+29.5%、設定来では+275.2%と、短期的な下落を挟みながらも右肩上がりの実績を積み重ねてきました。

和田直子
たしかに、1ドル160円を割り込むといった動きを目にすると、不安になってしまうのも当然だと思います。ですが、思い出していただきたいのは、オルカンも今年3月に基準価額が大きく下落した場面があり、その後4月には素早く値を戻しているということです。市場は短期的に上下を繰り返しながら、長期的には経済成長を取り込んで右肩上がりに推移してきました。特に積立投資をしている方にとっては、基準価額が下がっている今は、同じ金額でより多くの口数を買えるタイミングでもあります。これが「ドルコスト平均法」の効果であり、下落局面も含めて淡々と積み立てを続けることが、結果的に平均購入単価を下げることにつながります。目先の値動きに一喜一憂せず、長期投資という当初の目的を思い出すことが今は大切です。

これから投資を始める・追加投資を考えている人へ——資産の分散も検討を

オルカンはすでに全世界の株式に分散投資する設計ですが、実際の内訳を見るとアメリカが63.1%を占めており、「全世界」という名前のイメージよりも米国株への依存度が高い点は覚えておきたいポイントです。

和田直子
オルカンはすでに全世界の株式に分散投資していますが、実際の内訳を見るとアメリカが63.1%を占めており、「全世界」とはいっても実質的には米国株の動向に強く影響される構造です。これから新たに投資を始める方や、追加投資を検討している方は、オルカン1本に絞るだけでなく、株式以外の資産(債券など)を組み合わせることも選択肢の一つです。資産の種類を分けておくことで、株式市場全体が大きく下落するような場面でも、資産全体への影響を和らげやすくなります。オルカンを中心に据えつつ、自分に合ったリスクの取り方を考えてみるとよいでしょう。

まとめ

2026年7月のオルカンは、新興国株式の下落と為替のマイナスが重なり、基準価額は▲496円となりました。足元では為替が1ドル160円を割り込む場面もあり、不安を感じている方もいるかもしれませんが、オルカンはこれまでも短期的な下落と回復を繰り返しながら、設定来+275.2%という実績を積み重ねてきています。

短期的な値動きに振り回されず、積立であればドルコスト平均法の効果も活かしながら、長期的な視点でじっくり保有を続けることが大切です。これから投資を始める方、追加投資を検討している方は、資産クラスの分散も含めて自分に合ったリスクの取り方を考えてみましょう。

【投資に関するご注意】

  • 本記事は特定の金融商品の勧誘や売買の推奨を目的としたものではありません。
  • 投資には元本を割り込むリスクが伴います。最終的な投資判断は、ご自身の責任において行われるようお願いいたします。

参考資料

和田 直子