4. 【元自治体職員が教える】かたり詐欺の見分け方
日本年金機構は、機構をかたる不審な電話や訪問について、以前から公式に注意を呼びかけています。意向確認書の発送が始まったこの時期こそ、あらためて確認しておきたい内容です。
4.1 機構が示す2つの公式基準があります
日本年金機構の公式ページで示されている「本物との見分け方」は、大きく2つに整理できます。
1つは「電話、SMS、メールで口座番号等の提供を求めることはない」という点です。もう1つは、職員や委託事業者が訪問する際は「日本年金機構が発行した写真付き身分証明書を携行し、お客様に提示する」という点です。
裏を返すと、突然電話やメッセージで口座番号や暗証番号を聞かれた時点で、本物ではない可能性が高いと考えて差し支えありません。
4.2 オプトアウト方式を利用した手口にも注意です
今回の意向確認書は、登録を希望する場合は返送不要のオプトアウト方式です。この点を悪用した手口にも注意が必要です。
「登録を止めるための代行手続き」「不同意申出書をこちらで返送する」と称して、口座番号や暗証番号を聞き出そうとする電話やメッセージがあった場合、その時点で本物ではないと考えてよいでしょう。不同意の手続きは、あくまで本人が同封の書類を返送する形で行うものです。
4.3 後期高齢者医療の窓口で聞いた不安の声
後期高齢者医療の担当をしていたころ、「役所を名乗る電話があった」「知らない書留が届いた」と相談に見える方がいらっしゃいました。
お話を伺うと、書類自体は本物のこともあれば、単なる詐欺のこともありました。共通していたのは、「わからないから、とりあえず一番身近な窓口に行こう」と思って役所を訪ねた点です。
今回の意向確認書は、その「一番身近な窓口」でも対応できない書類です。だからこそ、届いた本人だけでなく、離れて暮らす家族が「どこに問い合わせればよいか」を先に確認しておく意味は大きいと考えています。
5. 万一のときのための「年金の10日ルール」
親が亡くなったあとの3つの期限
お盆の帰省中は、親と将来のことを話す機会にもなります。ここでは、年金受給者が亡くなったときに必要な手続きの期限を整理してお伝えします。
「年金の10日ルール」という言葉は聞いたことがあっても、正確な内容は意外と知られていません。3つの期限をわけて確認しましょう。
5.1 戸籍法の死亡届は「7日以内」です
まず、市区町村役場に提出する死亡届の期限は、戸籍法86条で「死亡の事実を知った日から7日以内」と定められています。年金の手続きとは別の制度である点に注意が必要です。
この死亡届を出す段階で、葬祭費(国民健康保険・後期高齢者医療制度)や、埋葬料(健康保険)の申請案内を受けることも多い流れになっています。
5.2 年金機構への死亡届は厚生年金10日・国民年金14日以内
日本年金機構への「年金受給権者死亡届」は、厚生年金の場合は「10日以内」、国民年金の場合は「14日以内」とされています。
ただし、日本年金機構にマイナンバーが収録されている受給者は、この死亡届が原則として不要となっている場合があります。手続きの要否は日本年金機構の公式ページかフリーダイヤルで確認するのが確実です。
5.3 未支給年金の請求権は「5年以内」に
年金受給者が亡くなったあと、まだ受け取っていない年金がある場合は、遺族が「未支給年金」として請求できます。この請求権は、支払日の翌月初日から5年以内であれば有効です。
ここが混同されやすい点です。10日や14日の期限はあくまで「死亡届」であって、未支給年金の請求そのものではありません。
期限が違う3つの手続きを混ぜて考えると、家族が焦って対応を誤ることもあるでしょう。落ち着いて1つずつ確認していくことが大切です。
6. まずは公式窓口に相談を
意向確認書は本物の書類ですが、登録を希望する場合は返送が不要な「オプトアウト方式」が採られています。だからこそ、届いた書類をすぐに片付けるのではなく、まずは中身を確認する時間を取ることが、詐欺被害を避ける第一歩になります。
届いた書類の見た目や記載内容に不安がある場合は、市区町村役場や年金事務所の窓口ではなく、「意向確認書照会専用フリーダイヤル 0120-74-0011」に直接連絡するのが確実です。マイナポータルの登録状況に関する疑問は、マイナポータル公式FAQで確認できます。
お盆に親元へ帰省したときや、離れて暮らす家族と電話で話すときに、この記事の内容を一度共有していただければ幸いです。
7. 【元自治体職員から一言】
意向確認書は本物ですが、電話やSMSでの問い合わせを装う詐欺は増えています。届いた書類の見た目に不安があれば、市区町村や年金事務所ではなく専用ダイヤルに直接ご連絡ください。
今回の書類は、登録を希望する場合は返送不要のオプトアウト方式です。だからこそ、届いた本人と家族の両方で中身を確認し、詐欺の手口に踏み込まれない習慣を持つことが大切だと考えています。
後期高齢者医療を担当していたころも、書類の真偽をたずねる相談は年々増えていました。あわてず、公式資料を1つずつ確認する習慣が身を守ることにつながります。
参考資料
太田 彩子

