1Qは増益でも、通期は減益予想という構図
1Qの好調とは裏腹に、会社が示す通期の見通しは慎重だ。2027年2月期の通期予想は、売上高440億円で前期比3.7%減、営業利益は18億円で同31.7%減と、減益を見込んでいる。
1Qの営業利益6.6億円は、この通期予想の4割近くをすでに稼いだ計算になる。数字だけ見れば通期予想は保守的にも映るが、会社は先行きの不透明感を強く意識している。
前期にあたる2026年2月期も、営業利益が前の期を4割下回る減益だった。会社は、免税売上高の高額品消費に一服感が出たことや、中国政府が日本への渡航自粛を呼びかけた影響で、東京地区の百貨店売上高が前年を下回ったと説明している。
コロナ後回復のピークアウトと、銀座の資産価値
時系列で見ると、松屋の業績はコロナ後の回復局面を一巡した位置にある。営業利益は2025年2月期に44億円台まで回復したが、翌期は26億円へと減り、今期予想はさらに低い。回復の勢いが、いったん止まったかたちだ。
一方で、この会社には数字に表れにくい強みもある。銀座と浅草という一等地に店舗を構え、その土地は簿価だけでも大きい。
PBRが3.9倍と、百貨店としては高めに評価されている背景には、こうした資産価値への意識もあると読み取れる。業績の回復一服と、立地が生む資産価値。この二つが、株価の綱引きの材料になっている。
筆者コメント
松屋という銘柄を見ていると、「百貨店株」という括りだけでは捉えきれない二面性に行き当たる。
一つは、業績の面だ。コロナ後の回復で利益は一度大きく戻したが、免税需要の変化を受けて、足元は減益局面に入っている。通期予想が減益なのは、その現実を映している。
もう一つは、資産の面だ。銀座と浅草の一等地という立地は、損益計算書には表れにくい価値を持つ。PBRの高さは、市場がその価値を意識していることの表れだろう。
今回の株価急騰は、インバウンドという業績のテーマと、銀座という資産のテーマが、同時に意識された結果だと考えている。だが当日の急反落が示すように、その期待は移ろいやすい。
目先の株価の荒さに振り回されるより、免税需要が今後どう推移し、松屋が回復の一服からどう抜け出すのか。その本筋を、静かに追っていきたいと考えている。
参考資料
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石津 大希