介護保険サービスをほとんど使わずに、要介護4・5などの重度、または認知症のご家族を在宅で介護している方には、自治体から年10万円程度の家族介護慰労金が支給される制度があります。
北九州市・世田谷区・静岡市など多くの自治体で実施されていますが、対象要件は自治体ごとに違い、「同じ要介護度でも自分の街ではもらえない」というケースも起こりえます。
この記事では、家族介護慰労金の「もらえる人・もらえない人の違い」を、元後期高齢担当の視点から3自治体の要件を比較して整理していきます。
1. 家族介護慰労金「もらえる人・もらえない人の違い」この記事の3つのポイント
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家族介護慰労金は自治体独自の給付制度で、年10万円が典型 -
対象要件は自治体ごとに違い、住む地域で「もらえる・もらえない」が変わる -
「介護保険サービスを利用していない」ことが基本要件ですが、福祉用具の貸与や住宅改修などは例外として認められる自治体もあります
2. 【家族介護慰労金】自治体独自の給付制度で「年10万円」が典型
まずは家族介護慰労金の全体像を見ていきましょう。
家族介護慰労金は、要介護度の高いご家族を、介護保険サービスをほとんど使わずに在宅で介護している家族の負担を軽くするための給付金です。
国の一律の制度ではなく、市区町村が独自に設計している「自治体独自の給付制度」で、多くの自治体で年10万円の支給を基本にしています。
制度そのものの存在を知らないまま、対象になり得る条件を満たしている方も少なくありません。要件を満たしていても、自分から申請しないと受け取れない仕組みのため、まずは「こういう制度がある」と知ることから始まる給付金です。
詳細を見ていきましょう。
3. 【もらえる人】要介護度・介護期間・世帯所得の3つの基本条件
ここでは家族介護慰労金の対象になり得る3つの基本条件を解説します。多くの自治体で、次の3つが柱になっています。
3.1 要介護度
要介護4または5を対象とする自治体が多いですが、世田谷区のように要介護3以上(認知症で日常生活自立度2以上に該当する場合は要介護2から)を対象とする自治体もあります。
「うちは要介護3だから対象外」と決めつけずに、お住まいの自治体の要件を確認してみるのが確実です。
3.2 介護期間
1年以上の継続した在宅介護を要件とする自治体が多いです。世田谷区のように「要介護認定から1年以上経過」と定めている自治体もあり、期間の起点も自治体ごとに違います。
3.3 世帯所得
対象者(要介護者)の世帯が住民税非課税であることが基本ですが、世田谷区のように『介護する家族の世帯』も非課税であることを求める自治体もあります。
一方で、静岡市のように生活保護世帯も対象に含めるなど、所得制限の基準も地域によって異なります。
4. 【もらえない人】介護保険サービスの利用状況と入院日数の壁
一方、家族介護慰労金の要件で最も判断が分かれるのが「介護保険サービスを利用していないこと」の解釈です。ここが「もらえる人・もらえない人」を分ける大きなポイントになります。
4.1 ショートステイの日数
北九州市は7日以内、世田谷区は年10日以内、静岡市は年1週間程度と、各自治体で許容範囲が異なります。1日でも超えると対象外になる場合もあれば、日数のカウント方法が違う場合もあり、事前確認が必要な部分です。
4.2 入院日数
年90日以上の入院で対象外となる自治体が多く、90日ぎりぎりで悩むケースもあります。90日のカウントも「通算」なのか「連続」なのかで解釈が変わるため、こちらも確認が必要です。
4.3 福祉用具貸与や住宅改修は例外扱いの自治体も
世田谷区のように、福祉用具貸与や特定福祉用具販売、住宅改修の利用は「介護保険サービスを利用した」に含めない自治体もあります。ベッドのレンタルや手すりの設置を利用していても、対象になり得るケースがあるということです。
5. 【3自治体比較】北九州市・世田谷区・静岡市で要件はこう違う
ここまでの内容を整理するかたちで、北九州市・世田谷区・静岡市の3自治体の要件を並べて比較してみます。
年10万円という金額は3自治体で共通ですが、要介護度・同居要件・介護保険サービスの許容範囲は異なることがわかります。
特に北九州市の「別居も可」は、遠方の親族が介護に通っているケースでも実態を認めてくれる可能性がある、独自性の高い設計ですね。
家族介護慰労金は、要件を満たしていても申請しないと受け取れません。高齢福祉課や介護保険担当窓口、地域包括支援センターに相談すると、自治体の運用のこまかい部分まで教えてもらえます。

