5. 家計防衛の基本!給付金制度は「申請主義」に要注意

厚生労働省の「2025(令和7)年 国民生活基礎調査」によると、公的年金を受給している高齢者世帯のうち、収入のすべてを年金に依存している世帯は41.3%にとどまりました。

言い換えれば、半数以上の世帯は年金だけでは生活費を賄えず、預貯金の取り崩しや資産運用、就労による収入、家族からの援助などを組み合わせてやり繰りしているということです。

早い段階から将来の収支を見据え、対策を練ることが求められます。

将来への不安から、無理に食費を切り詰めたり、不慣れな投資に手を出したりする前に、まずは公的な優遇制度を確実に利用することが、優先すべき家計防衛策といえます。

年金生活者支援給付金:2026年度の給付額2/3

年金生活者支援給付金:2026年度の給付額

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」をもとにLIMO編集部作成

その代表的な例が「老齢年金生活者支援給付金」です。この給付金は、65歳以上で老齢基礎年金を受給している非課税世帯などが対象となります。2026年(令和8年)4月分からは、物価高を反映して基準額が月額5620円(年額6万7440円)に引き上げられました。

夫婦ともに受給資格があれば、年間で約13万円の収入増につながります。

しかし、日本の公的支援の多くは「申請主義」を採用しています。条件を満たしていても、自分から申請手続きをしなければ制度は適用されず、給付金などを受け取ることはできません。

日本年金機構や自治体から届く案内書類を見過ごさず、必ず中身を確認して手続きを行うことが大切です。

年金生活者支援給付金の「対象者・金額・手続き」については「年金生活者支援給付金とは?2026年最新の対象者・いくらもらえるか・ハガキが届かない理由を徹底解説」で詳しく解説しています。支給要件の3条件、給付基準額の計算、申請方法から支給日(振込スケジュール)まで、手続きの落とし穴を完全網羅した記事を、ぜひご参考になさってください。

6. 監修者のコメント

 

熊谷 良子

 

8月以降、年金受給中の人ののもとへ「公金受取口座の登録に関する意向確認書」という書類が簡易書留で届くケースがあります。

これは、現在年金を受け取っている銀行口座を、今後の給付金などを迅速に受け取るための「公金受取口座」として国(マイナポータル等)に登録してよいかを確認するものです。

公金受取口座が登録されると、今後の緊急給付金などを受け取る際に、面倒な口座情報の記入や通帳のコピーの提出が不要になるという大きなメリットがあります。

年金受取口座をそのまま給付金受け取りに使って問題ない方は、特に手続きをしなくても不利益はありません。

しかし、「給付金は別の口座で管理したい」「勝手に登録されるのは不安」という場合は、必ず期限内に同封の手順に従って「登録の辞退」または「別口座の登録」の手続きを行う必要があります。

届いた書類は無視せず、自分の意向に合わせて正しく対処しましょう。

なお、「公金受取口座の意向確認書」については、こちらの記事で詳しく解説しています。→【年金】8月から送付開始「意向確認書」の簡易書留《届く人・届かない人》の条件とは?公金受取口座の登録手続きと注意点を解説

 

7. 「自分は騙されない」その油断が隙になる。被害額1500億円突破。前年比2.5倍の「SNS型投資詐欺」など全世代を狙う「特殊詐欺」の手口とは

警察庁のデータによると、特殊詐欺全体の被害額は1514億円を超え、極めて深刻な状況です。

中でも前年同期比で激増しているのが「SNS型投資詐欺」(認知件数+2843件、被害額+426.3億円)。シニア層だけでなく現役世代も広く標的となっています。

一方で、高齢者の生活資金を狙う「還付金がある」「手続きしないと年金が止まる」といった詐欺も依然として多発しています。

公的機関が電話やメールでATMの操作を指示したり、手数料の振込を要求したり、口座番号を直接聞いたりすることは絶対にありません。

詐欺の手口は日々巧妙化しており、「自分は大丈夫」という油断は禁物です。

老若男女を問わず、少しでも怪しいと感じたらその場で指示に従わず、すぐに家族や最寄りの年金事務所、警察の相談専用窓口(#9110)へ相談し、大切な資産を守りましょう。

8. まとめ:公的支援を賢く活用して家計を守る

物価高から家計を守るためには、日々の節約だけでなく、「住民税非課税世帯」向けの優遇措置や給付金といった公的支援を賢く活用することが不可欠です。

少しでも「対象になるかも」と思ったら、自治体のホームページや窓口で要件を確認し、自ら申請手続きを行う「家計防衛」の一歩を踏み出しましょう。

同時に、給付金や年金の手続きに便乗した「還付金詐欺」には十分な警戒が必要です。

「未受け取りの給付金がある」「今日中にATMで手続きを」といった電話は典型的な詐欺の手口です。

役所や年金事務所の職員が、電話でATMの操作を指示したり、暗証番号を聞き出したりすることは絶対にありません。

少しでも不審に感じたらすぐに電話を切り、家族や警察(#9110)へ相談してください。

公的支援という「権利」をしっかりと行使しつつ、防犯意識を高く保つことが、安心できる老後の暮らしを守る最大の鍵となります。

参考資料

池上 翠