2026年7月31日、総務省は「消費者物価指数東京都区部 2026年(令和8年)7月分(中旬速報値)※」を公表。

これによれば、総合指数は前年の同じ月と比べて2.0%上昇しました。

終わりの見えない物価上昇や光熱費の高騰など、家計を取り巻く状況は依然として厳しいものがあります。

これらのデータが示すように、物価の上昇は客観的な事実であり、特に年金収入を主な生活基盤とする高齢者世帯にとっては、非常に深刻な問題といえるでしょう。

このような状況では、単に支出を切り詰めるだけでなく、国や自治体が用意している支援制度を正しく理解し、活用していく姿勢が重要になります。

本記事では、統計データから明らかになるシニア世代の家計の実態をはじめ、生活の支えとなる「住民税非課税世帯」向けの負担軽減策や給付金制度について詳しくお伝えします。

※全国結果に先立ち、先行指標として東京都区部(中旬時点)のみの結果を速報として公表したもの。

1. この記事の3つのポイント

  •  住民税非課税の目安は単身で年金155万円以下(65歳以上)など、世帯状況で異なる
  •  医療費や介護費用の軽減、給付金の支給など、対象になれば家計負担が継続的に減る
  •  公的支援の多くは「申請主義」。対象であっても自ら手続きをしないと恩恵は受けられない

2. 住民税非課税世帯になる条件は?年収いくらからが対象になるのか解説

そもそも住民税は、所得にかかわらず一定額がかかる「均等割」と、所得の金額に応じて負担額が決まる「所得割」の2つで構成されています。

この均等割と所得割の両方が非課税となる世帯を「住民税非課税世帯」と呼びます。

住民税が非課税になるのは、主に次の3つのケースです。

住民税は「均等割」と「所得割」の2層構造1/3

住民税は「均等割」と「所得割」の2層構造

出所:総務省「個人住民税」

  1. 生活保護法による生活扶助を受けている世帯
  2. 前年の合計所得金額が135万円以下の、障害者、未成年者、ひとり親(寡婦を含む)の方
  3. 前年の合計所得金額が、お住まいの市区町村が定める基準額を下回る世帯

上記の「3」で示された基準額は自治体ごとに異なります。たとえば単身世帯の場合、収入が給与のみであれば年収100万円以下、65歳以上で年金収入のみなら155万円以下が目安とされています。

配偶者を扶養している夫婦二人世帯などでは基準額が上がり、65歳以上で年金収入のみのケースでは、約211万円以下までが非課税の対象となることがあります。

※上記の年収目安は東京23区などを例にしたものです。お住まいの地域によっては、基準となる年収額がこれより低くなることもあるうえ、税金の負担額は家族構成や収入の種類によって変わります。ご自身の正確な状況については、お住まいの自治体にご確認ください。

住民税非課税世帯の「給与・年金の収入基準」については「【住民税非課税世帯】給与・年金の収入基準《ボーダーラインはいくら?》知っておきたい5つの優遇制度!制度の基本とファクトを網羅した完全ガイド」で詳しく解説しています。年金・パート収入の目安から、退職直後のタイムラグまで、給付金以外の恒久的な支援までを「まるっと」整理してお届けします。ぜひ参考にしてください。

3. ライフステージ別に解説!住民税非課税世帯が受けられる公的な優遇制度

住民税非課税世帯に該当すると、一時的な現金給付だけでなく、医療や教育、介護といった幅広い分野で、家計の負担を継続的に軽くする制度を利用できます。

3.1 その1:全世代が対象:年金・医療・障害福祉の支援内容

  • 国民年金・国民健康保険料の減免:保険料の支払いが困難な場合、申請することで減免措置を受けられます。国民年金は全額免除となっても、将来受け取る年金額の半分(国庫負担分)は保障されるため、未納のままにしないことが大切です。
  • 高額療養費制度による医療費軽減:手術や長期入院などで1カ月の医療費が高額になった際、自己負担の上限額が一般世帯より大幅に低く設定されます。病気やけがをしたときの経済的な備えになります。
  • 障害福祉サービスの無償化:障害福祉サービスを利用する際の自己負担が原則として無料になるほか、グループホームに入居する際の家賃助成なども受けられます。

3.2 その2:子育て世帯向け:保育料や高等教育費の負担軽減策

  • 保育料の完全無償化:3歳から5歳の子どもだけでなく、通常は費用がかかる0歳から2歳児クラスの保育料も無料になります。
  • 高等教育の修学支援新制度:大学や短期大学、専門学校へ進学する際に、授業料や入学金が大幅に減免されます。さらに、毎月の生活費として返済不要の「給付型奨学金」も支給され、進学に伴う経済的な負担を和らげることができます。

3.3 その3:シニア世代向け:介護保険や後期高齢者医療制度の優遇措置

  • 介護保険料や利用料の軽減:65歳以上の方が納める介護保険料が低く抑えられるほか、介護サービスを利用した際の月額自己負担上限額(高額介護サービス費)も優遇されます。
  • 施設入所時の補足給付:特別養護老人ホームやショートステイなどを利用する際、負担の大きい食費や居住費が軽減されます。
  • 後期高齢者医療制度の優遇:75歳以上の方が加入する医療制度において、医療費の自己負担限度額が低く設定されています。

4. 監修者のコメント

熊谷 良子

子育てや教育の支援(奨学金など)は、学校という窓口を通じてプリントなどで案内されることが多いですよね。

でも、介護や老後の優遇制度は状況が大きく異なります。

退職して社会や職場との接点が減り、ご近所づきあいも希薄になりがちな現代において、井戸端会議の口コミなど「誰かが日常の中で親切に教えてくれる」機会は劇的に少なくなっています。

特に、まだケアマネジャーがついていない介護の初期段階や、日々の年金生活の中では、自ら動いて調べなければ誰も助けてくれない「申請主義」の高い壁に直面します。

さらにシニア世代の前に立ちはだかるのが、情報の受け取りづらさです。

「役所から何やら封筒は届くけれど、文字が小さくて老眼にはきつい」「お役所言葉や専門用語ばかりで読むのが億劫になり、ついそのまま引き出しの奥にしまってしまう」という方も多いのではないでしょうか。

視力の低下や気力の衰えが原因で、せっかくの重要なお知らせを見落とし、制度を知らないまま経済的な負担を抱え込んでしまうご家庭は決して珍しくありません。

日々のデータ分析を通じて痛感するのは、「必要なその時に知っておきたい制度」を事前に少しでも把握しておくことが、いざという時の自分らしい暮らしを守る最大の防衛策になるということです。

もし細かい文字を読むのがつらい時は、無理に自分で解読しようとせず、離れて暮らすご家族に写真を撮って送って確認してもらったり、役所の窓口へ封筒をそのまま持参して「これは私に関係ありますか?」と直接尋ねたりする図太さを持つことも、立派な「家計防衛」の手段となるでしょう。