4. 老後の生活費は平均で赤字に。生活のダウンサイジングは50歳代からはじめよう
同じくハルメク 生きかた上手研究所「お金に関する意識・実態調査2026」より、お金の使い方への満足度を見ると使い方に「満足している」と答えた人は52.1%。その理由を自由回答でみると「無駄をしない」節約の工夫をしていることと、「好きなように使える」余裕の両面が挙がっています。
一方で、満足していない方の理由としては、現役時代の習慣がなかなか抜けないという悩みも見られました。
現役時代と年金生活に入ってからでは、基本的に年金生活の方が収入が下がるため、生活費が赤字になるという家庭も珍しくありません。
総務省「家計調査報告〔家計収支編〕2025年(令和7年)平均結果の概要」によれば、65歳以上の夫婦のみ無職世帯の月の生活費は毎月およそ4万2434円の赤字、65歳以上の単身無職世帯の月の生活費は毎月およそ2万9980円の赤字です。
どちらの世帯も平均で赤字となっており、その赤字額も小さくありません。
現役時代は仕事に育児に趣味に…と何かとお金がかかり、外食や交際費、被服費などもかさみがちですが、同じ生活のまま老後を迎えてしまうと、想像以上に生活費が赤字となってしまったなんてことにもなりかねません。
現役時代から自身の年金見込み額を計算し、老後の生活費も計算した上で、赤字になるなら月いくらになるかを計算し、その補填を備えておくことはしたいもの。赤字額は少ないほど老後資金の負担が減りますから、50歳代のうちから光熱費や通信費、保険等といった固定費や外食費などを見直して、生活のダウンサイジングを徐々にしていくといいでしょう。
習慣となるまでには時間がかかるからこそ、早くから始めることが大切に。それは生活費もですが、貯蓄の仕方についても、早くからはじめてみて経験しておくことは大切です。
5. 元証券会社員からのアドバイス
60〜70歳代の貯蓄は、二人以上世帯で平均2416万〜2683万円・中央値1178万〜1400万円、単身世帯で平均1364万〜1489万円・中央値300万〜500万円でした。長い老後は、蓄えを守るだけでなく、納得して使う視点が大切になります。
証券会社で多くのシニアの資産のご相談を受けてきた立場から、60〜70歳代の方に、今日からできることを3つお伝えします。
ひとつめは、毎月「使えるお金」を把握することです。年金の手取りに、貯蓄から無理なく取り崩せる額を足すと、ひと月に使ってよいおおよその金額が見えてきます。これが、使うことへの不安をやわらげる出発点になります。ただし、使いすぎないよう、管理は行いましょう。
ふたつめは、蓄えを「使う・そなえる」に分けて考えることです。日々の暮らしに使うお金、医療や介護などに備えるお金など目的ごとに大まかに配分しておくと、使うときの迷いが減ります。
みっつめは、健康なうちに、やりたいことへ計画的に使うことです。旅行や趣味、人との時間など、今使いたいお金も考えておくとよいでしょう。使いすぎを防ぐ範囲で「使う予算」をあらかじめ決めておくと、後悔のない使い方にもつながります。
参考資料
- 金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」
- ハルメク 生きかた上手研究所「お金に関する意識・実態調査2026」
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」
宮野 茉莉子
