好決算なのに、会社の通期見通しは弱気のまま。こんな組み合わせに出くわすと、どちらを信じればいいのかと戸惑う人もいるだろう。ゲオホールディングス(2681)が2026年8月6日に開示した2027年3月期1Qは、まさにその形だった。
1Qは大幅増益で着地し、翌7日の株価は急伸した。それでも通期予想は据え置かれ、しかも前期比では減益を見込む。この温度差をどう読むかを考えてみたい。
※本記事中の株価は、過去の株式分割の影響を調整した値を使用しています。
8月7日に急伸した株価と、直近1カ月の姿
はじめに株価の動きを押さえておきたい。ゲオホールディングスの株価は、7月を通じておおむね1,950円から2,100円の範囲でもみ合っていた。大きな方向感の出にくい、こう着した展開だったと言ってよい。
その膠着を破ったのが決算だった。開示翌営業日の8月7日、株価は2,319円で引けた。前日終値の2,052円から大きく水準を切り上げ、直近1カ月では最も高いところまで駆け上がった。1カ月のもみ合いを1日で上抜けた格好だ。
直近時点のバリュエーションは、PERが15.38倍、PBRが0.92倍となっている。PBRは1倍を下回る低い水準にある。
株価がここまで反応した背景には相場の地合いや需給もあり単一の要因に帰すことはできないが、大幅増益となった1Qの内容が意識された可能性は高い。
大幅増益で着地した2027年3月期1Q
その1Qの中身を見ていく。売上高は1250億円で前年同期比+19.7%、営業利益は53億円で同+32.8%、経常利益は55億円で同+30.1%、純利益は31億円で同+30.8%と、増収と大幅増益が揃った。
売上を上回るペースで利益が伸びており、採算改善を伴った増収だったと読み取れる。
会社の説明によると、けん引役はリユース(中古品)事業だ。物価高を背景にした節約志向に加え、一点物の魅力や環境負荷の低減という価値観の広がりが、リユース市場の成長を後押ししているという。
中古品というと薄利のイメージを持たれやすいが、ゲオにとってはむしろ利益成長のエンジンになっている。1Qの数字は、そのイメージと実態のズレを裏づけている。
好決算でも据え置かれた、減益の通期予想
ここで冒頭の疑問に戻ろう。1Qがこれだけ好調でも、会社は通期予想を動かさなかった。2027年3月期通期予想は、売上高5100億円(前期比+6.0%)、営業利益130億円(同▲8.7%)、純利益60億円(同▲31.3%)で、いずれも前期比では減益を見込む内容だ。
1Qの進捗を当てはめてみると、その保守性がよく分かる。営業利益は通期予想130億円に対し1Qで53億円を積み、進捗率はおよそ41%に達する。四半期の均等ペースなら25%が目安だから、開始早々に大きく先行していることになる。純利益に至っては通期60億円に対し1Qで31億円と、半分を超えた。それでも据え置きだ。
この慎重さの背景には、前期の特殊事情がありそうだ。前期は新型ゲーム機の発売による特需で純利益が大きく膨らんだ。会社はその反動減を今期に見込んでいる。ただ1Qを見ると、新品の売上高は255億円(前年同期比▲3.4%)と、想定された反動減にしては下げ幅が小さい。
会社によれば、ゲーム機の値上げ前の駆け込み需要が下落を和らげたという。1Qの実力と通期の慎重な見通しのどちらに軸足を置くか。ここが評価の分かれ目になる。
