海外4地域が映す、ロートの収益構造
ここからは、通期の増益見通しを支える収益構造に踏み込みたい。ロート製薬は業種区分こそ医薬品だが、その中身は目薬・スキンケア・OTC商品を軸とする生活消費財型の会社だ。
医薬品という区分には赤字の創薬ベンチャーも多く含まれ、業種中央値のROEは3%程度と低く出やすい。ロートの直近通期のROEは12.1%で、この区分の一般的なイメージとはかなり離れた場所にいる。
同じ「医薬品」でも、新薬開発型の会社と消費財型の会社では収益の姿が異なるということだ。
1Qのセグメント別業績を見ると、その特徴がよく表れている。会社は事業を日本・アメリカ・ヨーロッパ・アジアの4地域で開示している。日本の外部売上高は428億円(前年同期比+5.2%)と底堅い。一方で伸びをけん引したのは海外で、アジアは356億円(同+19.7%)、ヨーロッパは66億円(同+19.9%)と、いずれも大幅な増収となった。
利益面ではさらに海外の存在感が際立つ。アジアのセグメント利益は56億円(同+18.8%)と、日本の68億円に迫る規模まで育っている。会社によれば、ベトナムやマレーシアなど東南アジアが好調で、目薬や「肌ラボ」が増収に寄与したという。
ヨーロッパも、英国での消炎鎮痛剤の生産正常化による原価率改善などで利益が大きく伸びた。国内市場が成熟するなか、海外がもう一つの利益の柱として機能している構造が読み取れる。
このように地域分散が効いていると、どこか一地域が振るわなくても、他地域が補う形になりやすい。今回のように為替の追い風も乗れば、通期の上振れにつながる。
ロートの成長を追ううえでは、連結の一本値だけでなく、地域別の増減にも目を向けて観察していくことが有効だ。
筆者コメント
印象的なのは、1Qの「増益と減益の同居」が、そのまま株価の反応と逆を向いていた点だ。純利益は前年を下回ったのに、株価は急伸した。目先の最終利益の増減より、本業の伸びと通期の増益見通しを重く見る。
市場のこうした値付けの癖が、今回はきれいに表れたと言える。
私が着目したいのは、減益の中身が前年の一過性要因のはげ落ちだったという点だ。営業外の配当金という、本業の実力とは切り離せる部分での前年比マイナスであれば、通期を通せば均されていく。数字の見出しだけを追うと減益に見えるが、稼ぐ力そのものはむしろ厚みを増している。
「医薬品」という看板と、目薬やスキンケアで海外を伸ばす消費財としての実像。この二つのイメージのズレを意識しながら、地域別の売れ行きと為替の効き方をあわせて見ていくと、この会社の姿はより立体的に見えてくるはずだ。
参考資料
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石津 大希