決算の翌日に株価が大きく動く。よくある光景だが、中身をのぞくと、増益と減益が同じ決算に同居していることは意外と少なくない。ロート製薬(4527)が2026年8月6日に開示した2027年3月期1Qは、まさにそのタイプだった。

売上高と営業利益は伸びる一方、経常利益と純利益は前年を下回る。翌7日の株価は急伸した。この一見ちぐはぐな決算を、順に読み解いていきたい。

※本記事中の株価は、過去の株式分割の影響を調整した値を使用しています。

8月7日に急伸した株価と、直近1カ月の姿

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出所:各種資料をもとに筆者作成

出所:各種資料をもとに筆者作成

まず株価の動きから確認したい。ロート製薬の株価は、7月上旬は2,400円台から2,500円近辺で推移していた。その後は7月末にかけて2,300円台まで軟化し、方向感の乏しい展開が続いた。

流れが変わったのは8月に入ってからだ。決算を開示した翌営業日の8月7日、株価は2,863円で引けた。前日終値の2,363円から一気に切り上がり、直近1カ月では最も高い水準に届いた。1日での上げ幅としてはかなり大きい。

直近時点のバリュエーションは、PERが18.38倍、PBRが2.09倍となっている。急伸を織り込んだ後の水準であり、市場が今回の決算をポジティブに受け止めたことがうかがえる。

もっとも、株価がなぜここまで反応したかは相場の地合いや需給も絡むため、単一の要因で断定はできない。1Qの内容と、同時に開示された通期予想の上方修正が意識された可能性は高いとみている。

増収・営業増益の一方で、経常・純利益は減益となった1Q

肝心の1Qを見ていく。売上高は916億円で前年同期比+11.8%、営業利益は136億円で同+16.8%と、増収・営業増益で着地した。営業利益率はおよそ15%と、本業の稼ぐ力はしっかり伸びている。

ところが経常利益は144億円で前年同期比▲10.1%、親会社株主に帰属する四半期純利益は106億円で同▲9.5%と、いずれも減益だった。本業が伸びているのに、その下の利益が縮む。ここが今回の決算の読みどころだ。

なぜこうなったのか。会社の説明によると、前年同期に一過性の受取配当金があり、その反動で営業外収益が大きく減ったことが主因だという。つまり営業利益より下の段階で、前年に嵩上げされていた分がはげ落ちた形だ。

本業そのものの失速ではない、という整理ができる。増収・営業増益と、経常・純利益の減益は、矛盾ではなく別々の要因で同時に起きていると読み取れる。

通期予想の上方修正が映す、今期の見通し

ロート製薬は1Qと同時に、通期予想も引き上げた。修正後の2027年3月期通期予想は、売上高3723億円(前期比+8.3%)、営業利益450億円(同+9.4%)、純利益352億円(同+2.8%)である。売上高・営業利益・経常利益・純利益のすべてで前回予想を上回る内容だ。

会社は上方修正の理由として、想定為替レートの見直しに加え、アジア・日本・ヨーロッパの各地域が想定を上回って好調に推移したことを挙げている。

1Qの経常・純利益の減益は前年の反動という一過性の色彩が濃く、通期では増収増益を見込む姿だ。目薬やスキンケアを主力とする生活消費財の会社として、足元の商品の売れ行きは堅調と言ってよいだろう。

1Qの数字の凸凹よりも、通期の増益見通しと上方修正のほうを、市場は素直に評価したのではないだろうか。