再来月、10月は年金の定期支払日がある月にあたり、振込額をあらためて確かめる機会でもあります。

受け取る年金の額は人によって大きく異なりますが、老後の暮らしを左右するのは金額だけではありません。何年その暮らしが続くのか、そして判断力が保たれているかどうかも、同じくらい大きな要素になります。

横野 会由子
老後の備えというと年金額や貯蓄額に目が向きがちですが、そのお金を「自分で動かせる状態」が続くかどうかも同じくらい重要です。長寿化が進むほど、この視点は欠かせなくなります。

この記事では、厚生年金の受給額の分布と最新の平均寿命を確認したうえで、長い老後に向き合ううえで避けて通れない認知症のリスクについて解説します。

なお、厚生年金の受給額や老後の家計・資産管理に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。

【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
【70代の貯蓄・年金・家計のリアル】老後赤字を加速させないためには?投資に頼らない防衛策を徹底解説!
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ココがポイント
  • 厚生年金の受給額で最も人数が多い層は「10万円以上11万円未満」の111万2828人
  • 最新の平均寿命は男性81.35年・女性87.33年で、前年をいずれも上回った
  • 65歳以上の認知症・MCI該当者は合計約1002万人。約4人に1人にあたる

1. 厚生年金の受給額、最も人数が多いのは「10万円台前半」

まずは、実際にいくら受け取っている人が多いのかを確認しておきましょう。

厚生年金の平均月額と受給額の分布については、「【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説」から要点を引用して確認してみます。

厚生年金の平均年金月額は〈全体〉15万289円、〈男性〉16万9967円、〈女性〉11万1413円(国民年金の金額を含む)。1万円ごとの受給額分布をみると、10万円以上11万円未満が111万2828人と最も多く、次いで11万円以上12万円未満が107万1485人、15万円以上16万円未満が96万5035人と続きます。年金の受給額はこれまでの加入状況によって決まるため、人によって大きな差が生じます。

出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説

全体の平均は15万289円ですが、人数のボリュームゾーンは10万円台前半にあります。平均額と、実際に多くの人が受け取っている水準にはずれがあるということです。

2. 平均寿命は男性81.35年・女性87.33年に。長寿化で高まる認知症リスク

厚生労働省が公表する「令和7年簡易生命表の概況」によると、最新の平均寿命は男性が81.35年、女性が87.33年でした。前年と比べて男性は0.25年、女性は0.20年上回っており、長期的にも伸び続けています。

長い老後を安心して過ごすには、資産形成に加えて、公的年金や医療・介護のリスクを理解しておくことが欠かせません。なかでも長寿化と切り離せないのが、認知症への備えです。

2.1 《試算》65歳から平均寿命まで、年金の受取総額はいくらになる?

受け取る期間が延びれば、年金の総額も変わってきます。65歳から平均寿命まで受け取り続けた場合の総額を、厚生年金の男女別平均月額で試算してみましょう。

  • 男性(月16万9967円):受給期間16.35年 → 16万9967円×12カ月×16.35年=約3335万円
  • 女性(月11万1413円):受給期間22.33年 → 11万1413円×12カ月×22.33年=約2985万円

月額では約5万9000円の差がある一方、受給期間は女性のほうが約6年長くなります。その結果、総額の差は約350万円まで縮まる計算です。月額だけを見て判断すると、長生きという要素が抜け落ちてしまいます。

※受給期間は「平均寿命-65歳」で単純計算した目安です。実際には65歳時点の平均余命はこれより長くなります。年金額の改定や税・社会保険料の天引きは考慮していません。あくまで一定の前提を置いた試算です。

2.2 認知症とMCI、65歳以上の「約4人に1人」が該当

65歳以上の高齢者における認知症の現状(令和4年(2022年)時点の推計値)2/3

65歳以上の高齢者における認知症の現状(令和4年(2022年)時点の推計値)

出所:政府広報オンライン「知っておきたい認知症の基本」

65歳以上のシニア層3603万人を対象とした令和4年度(2022年度)の推計では、次のような結果が出ています。

  • 認知症: 約443万人(12.3%)
  • 軽度認知障害(MCI): 約559万人(15.5%)

認知症と、その前段階とされるMCI(軽度認知障害)を合わせると約1002万人。65歳以上の27.8%、およそ4人に1人が、認知機能について何らかのサポートや注意を必要とする状態にあると推計されています。

もはや遠い話ではなく、MCIの段階でどう対応するかが、その後の生活の質を大きく左右します。

横野 会由子
ここまでを整理すると、厚生年金のボリュームゾーンは10万円台前半、平均寿命は男性81.35年・女性87.33年、そして65歳以上の約4人に1人が認知機能に注意が必要な状態です。金額・期間・判断力の3つをセットで捉えておくことが、老後の設計では欠かせません。

認知症による資産凍結や成年後見制度のリスクについては、こちらの記事でもくわしく解説しています。あわせてご参考ください。
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