5年で見る利益の谷と回復
時間軸を広げると、今の最高益がどこから来たのかが見えてくる。
営業利益は2022年3月期に1,254億円、2023年3月期に1,164億円と続いたあと、2024年3月期には906億円まで落ち込んでいる。ゲームの端境期などが重なった時期だ。
そこから2025年3月期は1,802億円へ急回復し、2026年3月期は1,895億円とさらに伸ばした。谷を抜けてからの戻りは速い。
ROE(自己資本利益率)は17.0%で、その他製品の業種中央値である6.2%を大きく上回る。稼ぐ力そのものは厚い。
厚い自己資本と、慎重な今期計画
財務は堅い。自己資本比率は72.3%と業種の中央値を上回り、実質的に手元資金が借入を上回るネットキャッシュの状態にある。純資産に対する配当の比率であるDOEは5.5%で、業種中央値の2.2%を上回る。還元の余力は厚い。
もっとも、会社が示す2027年3月期の計画は営業利益1,850億円と、前期をわずかに下回る慎重な見立てだ。
連続最高益の後だけに、保守的に置いている面もあるだろう。厚い資本をどう成長や還元に振り向けるかは、引き続き見ておきたい論点になる。
筆者コメント
トイホビーの営業利益とデジタルの減益を並べて見ると、この会社の重心の移り方が見えてくる。かつてゲームが引っ張った利益を、今はガンダムを軸とした玩具や関連商品が支えている。
IP軸戦略という言葉の中身が、数字にはっきり表れている。
興味深いのは、同じIPが複数の事業をまたいで効く点だ。映像がヒットすれば玩具が売れ、話題がゲームやアミューズメントにも波及する。一つのヒットが横に広がる構造は、単一事業の会社にはない強みだろう。
ただし、IPの人気には波がある。ある年の大ヒットが翌年も続くとは限らない。会社が今期を慎重に見るのも、その振れを踏まえてのことと読める。個々のヒットの大きさより、IPの層の厚さと横展開の巧みさに目を向けたい。
参考資料
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石津 大希