過去最高の決算を出せば、株価は上がる。そう考えたくなる。だがキオクシアホールディングス(285A)は、そうならなかった。
2027年3月期1Qは営業利益が1兆円を超える空前の水準だった。にもかかわらず、株価は直近1カ月で大きく下げている。この食い違いは何を示すのか、順に見ていきたい。
※本記事中の株価は、過去の株式分割の影響を調整した値を使用しています。
空前の好決算、しかし株価は1カ月で大きく下落
まず株価の動きを確認する。キオクシアの株価は8月6日、48,740円で引けた。前日から下落している。1カ月前の7月上旬には77,000円台をつけていたから、直近1カ月では大きく水準を切り下げた。
この間の値動きは荒い。7月下旬にいったん38,000円台まで急落し、その後54,000円台まで戻したうえで、足元で再び下げている。決算は7月末に開示されたが、株価はむしろ売られる場面が目立った。好材料の出尽くしが意識された可能性はあるが、断定はできない。
直近時点のPBR(株価純資産倍率)は11倍前後と高い。利益の急拡大で1株当たりの純資産が増えても、それを上回って買われてきた反動が、足元の調整に表れているとも読める。
1Qは営業利益1兆円超、生成AIが押し上げたメモリ単価
決算の中身は圧巻だった。2027年3月期1Qは、売上収益(IFRS)が1兆7,671億円で前年同期比+415.5%、営業利益は1兆2,700億円となった。
前年同期の営業利益は449億円だったから、文字どおり桁が変わっている。親会社の所有者に帰属する四半期利益は8,422億円である。
なぜここまで伸びたのか。会社によると、生成AI用途を中心としたデータセンター向けの需要が旺盛で、メモリの平均販売単価が大幅に上昇した。
出荷量の増加や円安も加わった。キオクシアはフラッシュメモリの単一事業で、用途別ではデータセンター向けを含むSSD&ストレージが1兆1,747億円と売上の柱になっている。
会社は続く2Qについても、データセンター向け需要が旺盛に推移するとして、増収増益を見込む。数字の勢いだけを見れば、絶好調そのものだ。
それでも株価が下げているのは、まさにここに理由がありそうだ。半導体メモリは、需要と価格が短期間で大きく振れる事業である。市場は目先の好決算よりも、この先の市況がどこで折り返すかを見ている。
好決算と株価下落がセットとなるのは、そうした先読みの表れと考えられる。
