4. 【遺族厚生年金】改正によって影響を受ける人・受けない人の違い

2028年4月1日以降に配偶者が死亡したときは改正後の遺族年金制度が適用されますが、配偶者死亡時の年齢や子ども(遺族基礎年金の対象となる子ども)の有無によってその影響が異なります。

4.1 影響を受ける人

改正の影響を受ける人、つまり終身給付から5年の有期給付となるのは、次の通りです。改正時に遺族年金を受給している人は対象外です。また、これまで受給権のなかった死別時55歳未満男性は5年有期給付の対象となります。

  • 配偶者死亡時の本人年齢が60歳未満
  • 遺族基礎年金の対象となる子ども(18歳年度末までの子どもなど)がいない
  • 2028年4月1日時点で40歳未満(1989年4月2日以後生まれ)の女性

ただし、遺族基礎年金の対象となる子どもがいる人も改正の影響を受けます。子どもが要件を満たしている間は遺族基礎年金と遺族厚生年金が支給されますが、遺族基礎年金終了後の遺族厚生年金の給付期間は5年となります。

給付期間が短縮される一方、有期給付加算により遺族厚生年金が現在よりも多くなります。また、死亡分割により将来の老齢厚生年金額が増える可能性があります。

5年の有期給付のイメージ2/2

遺族厚生年金の改正で何が変わる?

出所:厚生労働省:「遺族厚生年金の見直しについて」

4.2 影響を受けない人

改正の影響がなく終身給付が受けられる人は、次の通りです。

  • 配偶者死亡時の本人年齢が60歳以上
  • 2028年4月1日時点で40歳以上(1989年4月1日以前生まれ)の女性

死別時の本人年齢60歳以上が無期給付の原則ですが、急激な影響を避けるための経過措置として改正時40歳以上の女性は無期給付を受けられます。なお、無期給付の場合、有期給付加算や死亡分割は適用されません。

5. まとめにかえて

2028年4月の改正案では、遺族厚生年金は原則5年の有期給付に変わる方針です。ただし、死別時に60歳以上の人や、2028年4月1日時点で40歳以上(1989年4月1日以前生まれ)の女性は、経過措置としてこれまで通り終身給付が受けられる見通しです。

年金制度の変更ニュースを見ると不安になりがちですが、まずは「自分がどのケースに当てはまるのか」を正しく知ることが大きな安心につながると、日々の相談業務を通じて実感しています。今回の見直し案をひとつのきっかけとして、万が一の際の家計や、無理のない範囲でのご自身の働き方について、ご夫婦でじっくり話し合ってみてはいかがでしょうか。

遺族年金の制度変更案は生活に直結するため驚かれるかもしれませんが、慌てる必要はありません。まずは経過措置を含め、ご自身が新制度の影響を受けるのかどうかを冷静に確認することが大切です。その上で、万が一の際の生活費や保障について、ご家族で話し合う良い機会にしてみてください。
村岸理美

参考資料

西岡 秀泰