「管理職になっても、思ったほど楽にならない」「管理職は罰ゲームでは」—近ごろ、そんな声を耳にすることが増えました。役職が上がれば収入は増えるとわかっていても、責任や業務の重さを思うと、素直に手を挙げにくいーそう感じている方もいるでしょう。
一方で、管理職ならではの魅力ややりがいもあるもの。キャリアを考える場合にはさまざまな視点で検討してみるとよいでしょう。
今回は、まず部長・課長・係長が実際にどのくらいの収入を得ているのかを一覧で確認し、そのうえで、株式会社IKUSAが全国の管理職を対象に行った意識調査から、数字の向こう側にある本音まで読み解いていきます。いっしょに見ていきましょう。
1. この記事を読むとわかる3つのポイント
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部長・課長・係長の給与と年収の目安を一覧で確認(賞与を含めた年収の目安は部長で約1017万円) -
管理職の約9割が実務も担う「プレイングマネージャー」。専念できるのは約1割で、最大のストレスは「言いにくいフィードバック」(50.3%) -
それでも約6割(63%)が後輩に管理職を「勧める」。最大のやりがいは「チーム一丸での目標突破」
2. 中間管理職はいくらもらっている?部長・課長・係長の給与と年収を一覧でみる
まずは、いちばん気になる収入から確認していきましょう。厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」の役職別データによると、残業代などを除いた月額の所定内給与(6月分・税引き前)は、役職ごとに次のようになっています(男女計)。
2.1 部長・課長・係長の平均給与一覧
- 部長:63万5800円(男性 64万2400円/女性 57万8300円)
- 課長:52万9200円(男性 54万1400円/女性 47万300円)
- 係長:39万9200円(男性 41万900円/女性 36万5700円)
- 非役職者:31万500円(男性 33万2100円/女性 28万100円)
ここに賞与を年4カ月分と仮定して加えると、以下の通りとなります。
2.2 部長・課長・係長の平均年収一覧表(賞与を年4カ月分と仮定)
- 部長:約1017万円
- 課長:約847万円
- 係長:約639万円
- 非役職者:約497万円
数字だけをみれば、役職に就くことは「割に合う」ように思えるかもしれません。ですが、その収入の裏側では、時間や心の余裕という、目に見えないコストも生じているようです。裏を返せば、「収入は増えたのに、暮らしはかえって忙しくなった」—そう感じる方がいる人もいるでしょう。ここからは、その裏側を、調査データからみていきましょう。
3. 管理職の約9割が「プレイングマネージャー」。専念できるのは1割
「管理職になったのに、現場の仕事も手放せない」——そう感じている方は、決して少なくないようです。株式会社IKUSAが全国のマネージャー層300名に行った意識調査(2026年2月・インターネット調査)によると、マネジメント(育成・管理)に専念できているのは全体の約1割にとどまり、約9割は実務を並行して担う「プレイングマネージャー」でした。
役職に就いても、自分の担当業務がそのまま残る。そのうえで、部下の育成やチームの管理も担う。「肩書きは変わったが、やることは増えている」—そう実感する方もいるでしょう。
裏を返せば、マネジメントだけに向き合える環境は、いまや例外的ともいえます。管理職が「思ったほど楽にならない」と語られる背景には、こうした構造も一つとしてあると考えられます。
4. 管理職が抱える最大のストレスとは?悩みは「負荷の偏り」
では、実務とマネジメントの板挟みのなかで、管理職はどんなことに負担を感じているのでしょうか。同じ調査では、最も強くストレスを感じる場面として「メンバーへの言いにくいフィードバック」(50.3%)が最多に挙がりました。次いで、「上層部の意図を現場に納得させるための『調整・翻訳』をするとき」(46.0%)が続きます。「厳しいことを伝えれば関係がぎくしゃくするかもしれない」「でも、伝えなければチームは動かない」—そのあいだで揺れる姿が浮かんでくるようです。
さらに、チーム運営で解決したい課題としては、「採用難」や「早期離職」をおさえて「特定のメンバーへの業務負荷の偏り」(50%)が最も多く選ばれました。人を増やすこと以上に、いまいるメンバーが自律的に動ける状態をつくりたいと考える方が多いようです。
5. それでも約6割が「後輩に勧めたい」。やりがいは「チーム一丸での突破」
ここまでは管理職の悩みにフォーカスしてきましたが、調査の結果には、もう一つの顔ものぞいています。
やりがいや喜びを感じる瞬間として最も多かったのは、「チーム一丸となって高い壁(目標)を突破したとき」(54.7%)となりました。ひとりでは届かない目標に、仲間とともにたどり着くーその手ごたえが、管理職の原動力になっているようです。ほかにも「メンバーが自分の想像を超える成長を見せたとき」(42.3%)など、部下の成長を喜びと感じています。
興味深いのは、信頼している後輩から「マネージャーになりたい」と相談されたとき、「勧める」と答えた人が約6割(63%)に達していることです。課題や不安を抱えながらも、多くの管理職が前向きな意味を見いだしていると読み取れるでしょう。
「罰ゲーム」という言葉だけが独り歩きしがちですが、裏を返せば、実際に経験した人の多くは、次の世代にその役割を託そうとしている—そんな一面も見えてきます。よく言われるイメージに振り回されず、ご自身の適性や希望と、じっくり向き合うことが大切ではないでしょうか。
6. まとめにかえて
参考資料
宮野 茉莉子

