5. 9月に届く年金生活者支援給付金請求書とは別の書類
日本年金機構から高齢期に届く書類のなかで、混同されやすいものが2種類あります。1つが今回とりあげた「年金請求書(事前送付用)」、もう1つが毎年9月ごろに届く「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」です。
5.1 9月ごろに届く給付金請求書(はがき型)
日本年金機構は、前年の所得や年金額が基準以下の年金受給者に対して、毎年9月ごろから「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」を順次送付しています。
日本年金機構によると「緑の封筒」に入って届く仕組みです。なお、65歳の年金請求書に給付金請求書が同封されているケース(今回とりあげている事前送付用の請求書とセットで届く場合など)は、そこで一緒に手続きができるため、翌9月に改めて請求書が届くことはありません。
9月に届くのは、その後に新たに支給要件を満たすようになった年金受給者などが中心です。
はがき型については、年度ごとに設定される期限内に提出すれば、当年10月分にさかのぼって支給される時限的な取り扱いがあります(例えば令和7年度分の期限は令和8年1月5日まででした)。期限を過ぎたり、そもそも請求手続きをしなかったりすれば、給付金は受け取れません。
5.2 65歳前に届く事前送付用の請求書は年金本体の請求書
一方、今回とりあげている事前送付用の請求書は、老齢年金そのものの請求書です。中身も、給付金請求書のはがきではなく、年金加入記録が印字された請求書一式です。
どちらも同じ日本年金機構から届きますが、制度・対象・提出しなかった場合の影響が異なります。
6. 届いたらまず何を確認する?
事前送付用の請求書が届いたら、封を開けて中身を落ち着いて確認しておきたいところです。ここでは、記入前にそろえておくと手続きがスムーズに進む項目を整理します。
6.1 年金加入記録の印字を確認
事前送付用の請求書には、これまでの年金加入記録があらかじめ印字されています。抜けや誤りがないか、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」の記録と照らし合わせて確認するとよいでしょう。
もし記録に不明な点があれば、記入を進める前に日本年金機構の「ねんきんダイヤル」や年金事務所に相談しておくと安心です。
6.2 振込口座と本人確認書類を手元に
請求書には振込先口座の記入欄があります。マイナンバーカードや公金受取口座の登録状況によって記入方法が変わる場合があるため、手元にそろえておくと記入がしやすくなります。
通帳やキャッシュカード、マイナンバーカードのコピーなど、添付書類の指定も同封の案内に書かれています。指定どおりに用意しておくと、後日の追加提出を防げます。
6.3 迷ったら年金事務所や街角の年金相談センターへ
繰下げの検討や加給年金・振替加算の要件確認など、判断に迷う項目もあります。自治体の窓口では年金の制度そのものについては対応できないこともあるため、専門の窓口に相談するのが確実です。
日本年金機構は「予約相談」の仕組みも用意しています。事前に予約しておくと待ち時間が短く、資料を準備したうえで面談を受けられます。
7. 筆者からのアドバイス3つのポイント
65歳直前に届く事前送付用の請求書は、老後の生活を左右する年金の入口になる書類です。自治体で公的な保険・年金にかかわる相談を受けてきた立場から見て、押さえておきたい視点を3つ整理しました。
7.1 郵便物の見落としを防ぐしくみを持つ
65歳前後は、引っ越しや長期入院、施設入所などが重なりやすい時期です。封筒が届いたのに気づかず、時効に近づいてしまうケースを防ぐには、家族や信頼できる人と郵便物の確認ルールを決めておくと安心です。
なお、日本年金機構にマイナンバーが収録されている人は、住民票の異動情報が住基ネットで連携されるため、住所変更届の提出は原則不要です。マイナンバーが未収録の場合や、住民票と異なる住所に住んでいる場合などは「住所変更届」の提出が必要になります。収録状況は年金事務所や「ねんきんネット」で確認できます。
7.2 家族と情報を共有しておく
請求書は本人あてに届きますが、記入や提出は家族に手伝ってもらうことも多い書類です。「どこに封筒があるか」「振込口座はどれにするか」を家族と共有しておくと、体調不良などで手が動きにくいときにも手続きが止まりません。
7.3 受給前から加入記録を確認しておく
請求書が届く前でも、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で自分の加入記録を見ておくと、抜けや誤りに早く気づけます。とくに転職が多かった方は、記録の統合漏れがないかを確認する意味でも、事前チェックが役に立ちます。
8. まとめ
令和8年度中に65歳を迎える昭和36年生まれの方、および特別支給の老齢厚生年金の対象になる昭和38年生まれ女性は、日本年金機構から「年金請求書(事前送付用)」を受け取ります。
年金は請求してはじめて振り込まれる仕組みで、放置していると時効により受け取れない分が発生する場合があります。9月ごろに届く年金生活者支援給付金の請求書(はがき型)とは別の書類なので、両方に該当する方は混同しないようにしたいところです。
届いたら中身を確認し、疑問があれば早めに年金事務所や「ねんきんダイヤル」に相談しておくと、受給の入口をつまずかずに進めます。
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参考資料
- 日本年金機構「老齢年金請求書の事前送付」
- 日本年金機構「『年金請求書(事前送付用)』は、いつ頃、どのような人に送付されるのですか。」
- 日本年金機構「令和8年度における年金請求書事前送付のスケジュール」
- 日本年金機構「老齢年金の請求手続きの流れ」
太田 彩子