4. 年金から引かれる5つ。介護保険料だけではない
では、何が引かれているのか。
日本年金機構によれば、年金から特別徴収されるのは、介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税および森林環境税です。5つあります。
同機構は、これらが市区町村からの依頼にもとづいて引かれるものだと説明しています。額を決めているのは市区町村、引いているのは年金、という二重構造です。年金の通知書を見ても、なぜその額なのかまでは書かれていません。
この5つがいつも全部引かれるわけではありません。加入している制度によって顔ぶれは変わります。同機構は金額の決まり方についても、市区町村の担当窓口に問い合わせるよう案内しています。
通知書に見慣れない名前が増えたと感じた方は、この5つのどれかです。何がいくら引かれているかは、通知書の内訳欄に印字されています。
もうひとつ、所得税は上の5つとは別に源泉徴収されます。額面から引かれるものを数えるときは、これも入れて見てください。
引かれる合計は、人によっても住む場所によっても違います。同じ月15万円を受け取っていても、手元に残る額はそろいません。生活費と比べるなら、平均の15万289円ではなく、通知書に印字されている振込額のほうです。
5. 【厚生年金】月15万円以上は49.8%。ただし男性68.8%・女性12.3%
額面の話に戻ります。平均15万289円と聞いても、自分がその近くにいるのかは分かりません。分布を見ます。
同じ概況には、年金月額を1万円刻みで31段階に分けた表があります。1608万5696人を並べたものです。この分布は、下記の記事でも扱っています。
月15万円以上を受け取っているのは801万5484人で、全体の49.8%。半分に少し届かない、という位置です。
ところが男女で分けると、まるで違う数字になります。男性は735万998人で68.8%、女性は66万4486人で12.3%。男性は約7割が15万円以上にいるのに対し、女性は8人に1人です。
いちばん人数が多い階級も分かれます。男性は18万円以上19万円未満(95万5327人)、女性は10万円以上11万円未満(81万3990人)。ボリュームゾーンが8万円ずれています。
平均の15万289円は、この2つの山のあいだにあります。全体の平均だけを見ると、どちらの実感からも離れた数字になるということです。
なお、20万円以上は302万7673人で18.8%、10万円以上まで広げると1303万1722人で81.0%でした。どこで区切るかで、見える景色がまるで変わります。
6. 10月15日までに、手元で確かめておくこと
では、10月の年金支給日までにしておくことをまとめましょう。
まず、6月に届いた「年金振込通知書」を出してください。ここに、そのときの振込額と、引かれているものの内訳が印字されています。10月の額と見比べる土台になります。
次に、10月の振込額が前と違っていたら、それが天引きの切り替えによるものかを考えます。10月・12月・2月は年間の確定額から前半分を差し引いて割り振られるので、増えることも減ることもあります。
心当たりがないときは、介護保険料の通知や住民税の納税通知書と突き合わせてください。額を決めているのは市区町村で、年金の側では決まりません。
なお、10月に関しても、振込額が変わる場合には年金振込通知書が原則届きます。
分からないことがあれば、ねんきんダイヤル(0570-05-1165)か、お近くの年金事務所へ。天引きされている保険料や税の額については、お住まいの市区町村の窓口が答えます。窓口が2つに分かれている制度なので、どちらに聞くかを先に決めてから電話すると早く済みます。
まだ受け取っていない方は、上の分布を自分の将来に重ねてみたり、自身の年金見込み額を調べて見たりしましょう。
7. 元銀行員の執筆者コメント:生活費に直結するのが「年金の手取り額」
やることは3つ。6月の年金振込通知書を出す。10月15日の額と見比べる。差があれば、天引きの切り替えかを確かめる。ただし、10月も原則は年金振込通知書が送られます。
注意点も3つ。10月・12月・2月は確定額から前半分を差し引いて割り振るので、増減どちらもあります。額を決めるのは市区町村で、年金の側ではありません。額面と手取りは別ものです。
中には通知書は届いているけど、読んでいないという方もいますが、生活費に直結するのが「年金の手取り額」です。天引き額や手取り額にも興味をもち、届いた書類は見るようにしてみましょう。
本記事では、公的年金の基本的な仕組みと実際の受給額について解説してきました。公的年金は老後資金を考えるうえで収入の軸となる資金です。
自分が将来受け取ることでのできる金額がいくらぐらいになりそうなのかはしっかり確認しておきましょう。
筆者も銀行員時代は、年金受給世代の方と接する機会が多かったですが、よくおうかがいしていたのは年金だけで生活していくのは難しいとのご不安でした。
特に国民年金のみの方は、毎月今までの資産を取り崩して生活しているようでした。
年金受給額は現役時代の働き方によって大きく異なります。ご自分の年金額に合わせた将来の備えを準備しておきましょう。

