10月15日は、年金の支給日です。

このとき振り込まれる額は、8月15日と同じとはかぎりません。年金額そのものが変わるわけではなく、そこから引かれるものが10月に切り替わるため、10月から金額が変わる人もいるからです。

厚生年金の平均年金月額は、令和6年度末現在で全体15万289円。ただしこれは額面で、手元に届くのはここから天引きされたあとの金額です。

今回は、10月に何が変わるのかを確かめます。そのうえで、この平均の内側が男女でどれだけ違うかも見ます。

なお、公的年金の制度や平均受給額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。

【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説

1. 公的年金は2階建て。厚生年金は上乗せ部分

本題に入る前に、土台と言葉をそろえておきます。

【1階部分】国民年金(基礎年金)の概要/加入対象:原則として日本国内に居住する20歳以上60歳未満のすべての人/保険料:国民年金保険料は所得にかかわらず一律ですが、年度ごとに見直されます(2026年度は月額1万7920円)/受給額:保険料を40年間(480カ月)すべて納付すると、満額を受け取ることができます(2026年度は月額7万608円)

【2階部分】厚生年金の概要/加入対象:会社員や公務員のほか、パートタイマーなどで特定適用事業所(※1)に勤務し、一定の要件を満たす人が国民年金に上乗せして加入/保険料:収入に応じて厚生年金保険料が変動します。ただし、保険料計算の基となる収入には上限が設けられています(※2)/受給額:加入していた期間や納付した保険料額によって個人差が生じます

※1 特定事業所:1年のうち6カ月以上、適用事業所における厚生年金保険の被保険者(短時間労働者を除く、共済組合員を含む)の総数が51人以上となる見込みの企業などを指します。

※2 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)と標準賞与額(上限150万円)に保険料率を乗じて算出されます。

出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説

ここで押さえておきたいのは、厚生年金を受け取っている方の額には、1階の基礎年金も含まれているということです。「厚生年金15万円」は、2階だけの額ではありません。

令和6年度末現在、厚生年金を受け取っているのは1608万5696人。うち男性が1067万9944人、女性が540万5752人です。厚生労働省年金局がまとめた「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」に載っています。

男女の比は、およそ2対1。会社や役所に勤めた期間があれば2階に加入しますから、この比はそのまま、厚生年金に入って働いてきた人の男女差にあたります。

1階の国民年金だけを受け取っている方は、これとは別に数えられています。同じ「年金」という言葉でも、1階だけの方と1階+2階の方では、届く額の桁が変わります。

そしてこの中では、2階に入っていた期間の長さが人によって大きく違います。定年まで勤め上げた方も、数年だけだった方も、同じ1608万5696人に含まれます。あとで分布を見るときは、この幅の広さを頭に置いてください。平均という1つの数字は、この幅をならしたものにすぎないからです。

2. 厚生年金の平均年金月額。男性16万9967円、女性11万1413円

平均額を見ておきます。

厚生年金の平均年金月額は〈全体〉15万289円、〈男性〉16万9967円、〈女性〉11万1413円(いずれも国民年金の金額を含む)。国民年金は〈全体〉5万9310円、〈男性〉6万1595円、〈女性〉5万7582円です。年金の受給額はこれまでの加入状況によって決まるため、人によって大きな差が生じる点には注意が必要です。

出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説

男女の差は5万8554円。年に直すと70万2648円になります。上の額はいずれも令和6年度末現在で、1階の基礎年金を含みます。引用の中の2026年度の1万7920円や7万608円は令和8年度の額なので、時点が違います。

厚生年金と国民年金の開きは9万979円。2階部分があるかどうかで、これだけ変わります。女性の11万1413円は、男性16万9967円の65.5%にとどまります。2階があっても、そこでも差がつきます。

国民年金のほうは男女差が小さく、男性6万1595円・女性5万7582円で4013円しかありません。1階は納めた月数だけで決まるためです。いっぽう厚生年金は現役時代の報酬と加入期間で額が動きます。男女差の5万8554円は、そのまま働き方の差が形になったものです。

もうひとつ、平均という数字の性格も断っておきます。1608万5696人を足して割った値なので、いちばん人数が多いところを指しているとはかぎりません。それは後半で確かめます。

ただし、この15万289円は額面です。振り込まれるときには、ここから保険料や税が引かれています。そして引かれる額は、1年のあいだ同じではありません。

3. 10月15日に入る額は、8月15日と違う

年金は偶数月の15日に、2か月分がまとめて振り込まれます。この振込額が10月に動きます。

理由は、天引きの決まり方にあります。介護保険法は、特別徴収(年金からの天引き)を1年で2つに区切っています。前半は第135条、後半は第136条が定めています。

年金からの天引きは、1年が2つに分かれている1/2

年金からの天引きは、1年が2つに分かれている

出所:e-Gov法令検索「介護保険法」第135条・第136条をもとにLIMO編集部作成

前半の4月・6月・8月は、その年度の保険料額がまだ確定していません。第135条第3項は、この期間について「支払回数割保険料額の見込額」を徴収すると定めています。つまり、いったん見込みの額で引きます。

後半は違います。第136条第2項が、10月1日から翌年3月31日までについて、年間の保険料額から前半で徴収した合計を差し引いた残りを割り振ると定めています。

そのため、10月15日の振込額は、8月15日と違う方もいます。

そしてこの差は翌年3月まで続きます。10月に「思ったより少ない」と感じた方は、その額が半年続きます。逆に前半で多めに引かれていた方は、10月から軽くなります。

保険料の額が年度の途中まで確定しないので、前半は見込みで走らせるほかありません。10月の切り替えは、毎年決まって起きることです。