ハムより食肉、そして高採算の球場事業
利益の中身をセグメント別に分けると、この会社の意外な素顔が見えてくる。売上の柱は食肉事業で、全体のおよそ7割を占める。前期は営業利益が+80.5%と大きく伸び、グループの利益を牽引した。
会社の看板であるハム・ソーセージを扱う加工事業は、売上こそ3割を占めるが営業利益率は1%台と薄く、直近では減益が続く。
そしてもう一つ、見逃せない稼ぎ手がある。プロ野球の球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」を運営する球場事業だ。売上構成では全体の2%に満たないが、営業利益率は19%台と際立って高い。第1四半期でも観客動員が堅調で、事業利益は+29.2%と伸びた。
ハムの会社というイメージと、実際に利益を稼ぐ事業の顔ぶれには、少なからぬ隔たりがある。看板商品が薄利で、食肉と球場が利益を支える。この構造は、連結の数字だけを見ていては掴みにくい。
低いバリュエーションと、続く増配
株主還元の姿勢も押さえておきたい。日本ハムは前期まで6期連続で増配を続けており、今期の年間配当も前期から引き上げる計画だ。
第1四半期には自己株式の取得も進めている。稼いだ利益を株主へ着実に配分する姿勢がうかがえる。
その一方で、株価の評価は控えめだ。PBRは1倍近辺にとどまり、自己資本利益率(ROE、株主資本に対する利益率)も直近通期で6%台と、食料品の業種中央値並みにある。
高採算の球場事業や食肉の稼ぐ力が、株価評価にどこまで映されているのか。ここは見方の分かれるところだろう。
筆者コメント
低いバリュエーションと分厚い還元を同時に見ると、この銘柄の性格が浮かび上がる。市場は日本ハムを、成長株ではなく安定した食品株として評価している。だが決算を分解すると、球場事業のように成長性と高採算を兼ね備えた顔も持っている。
意識したいのは、連結の平均値が中身のコントラストを覆い隠す点だ。今回の最終減益という見出しだけを見れば地味だが、事業利益は2割増えており、食肉と球場は伸びている。看板と稼ぎ頭がずれている企業ほど、平均だけでは実態を見誤りやすい。
だからこそ、この銘柄では最終利益の増減率だけを追わず、どの事業が利益を稼ぎ、どこが薄いのかというセグメントの内訳に着眼していきたい。看板のイメージと実際の収益源を切り分けて眺める姿勢が、日本ハムでは特に効いてくると考える。
参考資料
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石津 大希