AI相場の一角として、フジクラ(5803)への関心が高まっている。同社はいま、次の四半期決算の発表を目前に控える。直近で株価が大きく動いたのも、この決算を意識した動きとみることができる。
前期の実績を出発点に、読み解いていきたい。
※本記事中の株価は、過去の株式分割の影響を調整した値を使用しています。
次の決算発表を前に、神経質に動く株価
まず株価の動きから確認したい。フジクラの株価は直近1カ月で大きく振れた。7月中旬に5,000円台の高値を付けたあと、下旬には3,700円台まで急落し、8月に入って再び4,600円台へと戻している。直近では前日比で8%近く上昇する場面もあった。
こうした荒い値動きの先には、まもなく発表される2027年3月期1Qの決算がある。市場が決算の中身を先取りしようと、期待と警戒のあいだで揺れているとみることができる。
もっとも、株価は相場全体の地合いにも左右されるため、値動きの理由を一つに絞ることはできない。
注目すべきは、その評価水準だ。足元のPER(株価収益率)は33倍前後、PBR(株価純資産倍率)は13倍を超える。電線会社という語感からは考えにくい高さであり、この先の成長がかなり強く織り込まれている。
まもなく出る決算は、その期待を裏づけられるかを占う最初の関門になる。
出発点となる前期は当期利益+73%で最高益
では、決算の出発点となる前期の実績を押さえておこう。2026年3月期通期の売上高は1兆1,824億円と前期比+20.7%、営業利益は1,887億円と+39.2%、親会社株主に帰属する当期純利益は1,572億円と+72.5%で、過去最高益を更新した。
けん引役は明確だ。会社の説明によれば、情報通信事業部門がデータセンタ向け需要の伸長により売上高6,530億円、営業利益1,527億円と大きく貢献した。生成AIの普及がデータセンター投資を押し上げ、その通信を支える光ファイバの需要へとつながっている。
一方で、すべての事業が好調なわけではない。エレクトロニクス事業は競争激化などで減収減益となった。目前に控える四半期決算では、この光ファイバ需要の勢いがどこまで続いているかが、最大の焦点になると考えられる。
