身近な材料で手作りをしたり自宅を整理・補修したりするDIYの時間は、単なる節約や趣味を超えて「暮らしの質」を高める工夫でもあります。
実は、日々の小さな手入れで住まいを快適に整え保つことは、家計の土台を支える「資産管理」の第一歩でもあります。私たちが向き合っている「住まい」や「土地」は、統計的に見ても非常に大きな経済的価値を持っているからです。
今回は、国土交通省の「令和5年世帯土地統計」をもとに、日本の土地・住まいの保有実態や年収別の傾向、そして資産価値を守る視点について解説します。
1. 日本全体の土地資産額は約644兆7000億円!持ち家世帯は約47%
国土交通省が発表した「令和5年世帯土地統計 結果の概要」によると、日本における土地・住まいの所有状況と資産額は以下のようになっています。
- 土地所有世帯数: 全国の約半数にあたる 2747万世帯(49.3%)
- 現住居の敷地所有世帯数: 2634万世帯(47.3%)
- 世帯所有の土地資産総額: 約644兆7000億円
持ち家(現住居の敷地)を中心に、日本の世帯は膨大な土地資産を保有しています。資産額の内訳は以下の通りです。
1.1 【世帯の土地種類別 土地資産額の内訳】
- 現住居の敷地: 約421兆3000億円(全体の65.3%)
- 現住居以外の宅地など: 約170兆1000億円(26.4%)
- 農地: 約48兆2000億円
- 山林: 約5兆1000億円
日々の生活拠点で利用している「現住居の敷地」だけで全体の6割以上を占めており、住まいの状態を良好に保つことが、世帯全体の資産価値に直結していることがわかります。
2. 年収別で異なる持ち家率と「取得の背景」
年間収入によって、住まいの取得方法や所有率には明確な違いが表れています。
年間収入別「現住居の敷地」所有世帯数割合(令和5年)
- 200万円未満: 41.1%
- 200万〜300万円未満: 48.4%
- 300万〜400万円未満: 47.6%
- 400万〜500万円未満: 47.1%
- 500万〜700万円未満: 51.8%
- 700万〜1000万円未満: 58.5%
- 1000万〜1500万円未満: 64.1%
- 1500万〜2000万円未満: 69.8%
- 2000万円以上: 73.2%
年収500万円以上の層では収入が上がるにつれて所有率が高くなり、年収2000万円以上の世帯では73.2%に達します。
一方で、年収400万円未満の層であっても4割以上の世帯が持ち家を所有しています。高収入層では購入による取得が多いのに対し、年収400万円未満の世帯では「相続・贈与による取得」の割合が最も高くなっている点が特徴的です。
泉田 良輔
泉田 良輔
日本の場合は、バブル経済以降、長らく不動産価格は上昇しにくいマクロ環境でしたが、最近はデフレを脱却したこともあり、不動産価格は上昇してきています。
日本においては低金利もあり、不動産投資は海外投資家からも注目されてきましたが、今後は長期金利上昇や不動産価格の上昇に伴い、どのような比率になるのか注目です。
3. 地域ごとに大きな差!1世帯あたりの土地資産額
土地資産の価値は、住んでいる地域によっても大きく異なります。
3.1 【1世帯当たりの土地資産額(都道府県別抜粋)】
- 東京都: 5884万円
- 沖縄県: 3445万円
- 神奈川県: 3395万円
- 愛知県: 3228万円
- 京都府: 2869万円
(※全国平均:2347万円 / 秋田県:854万円、青森県:888万円など)
現住居以外の宅地では、取得理由の59.1%が「相続・贈与」となっています。都市部・地方を問わず、受け継いだ土地や自らの住まいの価値を正しく把握し、良好な状態に維持することは世代を超えた共通の課題です。
4. DIYによるメンテナンスで「資産防衛」をはじめよう
日々のお手入れやDIYで住まいを快適に整えることは、建物の劣化を防ぎ、将来的な修繕コストを抑える一助となります。
時には「住まいの健康診断」として不動産査定や現在の資産価値を確認しつつ、適切なメンテナンスを行っていく。そうした広い視点を持つことが、大切な住まいを守り、本当の意味での「賢い家計防衛」につながっていくのではないでしょうか。
5. 【監修者コメント】家は"減価する資産" ― 手入れは価値を守る「利回り」
5.1 土地資産644兆円、その65%は「自宅の土地」
私はアナリストとして資産の価値を評価してきましたが、住まいもまた立派な「資産」であり、その価値の増減を見ておく意味があります。国土交通省の令和5年世帯土地統計によれば、世帯が持つ土地資産の総額は約644兆7000億円。そのうち65.3%、421兆円あまりが「現住居の敷地」、つまり自宅の土地です。日本の家計の資産は、想像以上に「自宅」へ集中しているのです。
5.2 「減価」を抑える手入れと、立地で決まる資産性
ここで、投資の視点から二つ補足します。一つは、建物は時間とともに価値が下がる"減価する資産"だという点です。だからこそ、記事がいうDIYや日々のメンテナンスは、単なる節約ではなく「価値の目減りを抑える」行為――いわば資産を守るための小さな利回りを生む投資だと捉えられます。もう一つは、その資産価値が立地に大きく左右されることです。1世帯当たりの土地資産額は、全国平均2347万円に対し東京都は5884万円と、約2.5倍。同じ「持ち家」でも、資産としての性格は地域でまるで違います。さらに、年収が高い世帯ほど持ち家率も高く(2000万円以上で73.2%、200万円未満で41.1%)、住まいは資産形成の格差ともつながっています。
5.3 「住み心地」と「資産」の両面で点検する
とはいえ、住まいは株式などと違い、簡単には売れず、売買にも大きな費用がかかります。ですから、値上がり益をねらう対象というより、「日々の手入れで価値を下支えしながら、長く快適に住む」という姿勢が現実的です。ご自宅を"住む場所"であると同時に"家計で最大級の資産"としてときどき点検してみると、修繕の優先順位も見えてくるのではないでしょうか。
泉田良輔(CMA)
泉田 良輔
泉田 良輔
私の周りにもDIYやリフォームが得意な人がいますが、自分で手直しをすることで資産価格にレバレッジをかけることができるので、うらやましいなと思っています。
参考資料
LIMODIY部

