日経平均株価は前日比199円高の6万3,954円で取引を終えました。前日(8月3日)は好決算銘柄まで売られる全面安でしたが、この日は円安を支えに、下げの目立っていた半導体や機械、重工株が反発。もっとも、上げは値がさのハイテク株に偏り、銀行・保険・商社などは引き続き売られました。指数はかろうじてプラスでも、中身は物色の二極化が鮮明な一日でした。
- 日経0.31%高・TOPIX0.04%高と小幅反発
- 円安で半導体・機械が反発、三菱重工+7.69%
- 銀行・保険・商社などバリューは軟調
1. サマリー——日経は小反発、円安157円台がハイテク・機械を支える
日経平均は前日比0.31%高の6万3,954.49円、TOPIX(東証株価指数)は0.04%高の3,961.78ポイントで引けました。為替はドル円が157円台後半とやや円安(前日比+0.35%)に振れ、輸出・製造業の追い風となりました。
特徴は、日経平均がプラスを確保した一方で、TOPIXがほぼ横ばいにとどまったことです。値がさの半導体・機械株が上昇して日経平均を押し上げた半面、時価総額の大きい銀行・保険・商社が下げ、市場全体を映すTOPIXの重しとなりました。前日の全面安からの反発力は、円安の恩恵を受けやすい輸出・ハイテクに集中したといえます。
2. 大きく動いた主要銘柄——半導体・機械が反発、好決算の商社は逆に売られる
買われた側は、円安と前日の下げすぎの反動が重なった輸出・ハイテクが中心です。象徴的だったのが三菱重工業(7011)で7.69%高。防衛・発電など重工インフラ需要への期待が集まったとみられます。電線・光ファイバーのフジクラ(5803)も7.88%高と、生成AI・データセンター関連として買われました。半導体ではキオクシアホールディングス(285A、+5.96%)、東京エレクトロン(8035、+3.11%)が上昇。キーエンス(6861、+2.84%)、住友電気工業(5802、+4.80%)、コマツ(6301、+2.25%)、日立製作所(6501、+2.09%)、三菱電機(6503、+2.04%)も買われました。
対照的に売られたのが、金融・商社・内需株です。三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)が2.72%安、東京海上ホールディングス(8766)が2.23%安。前日8月3日に第1四半期決算を発表した大手商社は、増収増益の好内容ながらこの日は下げ、丸紅(8002)は営業利益54.7%増という好決算を出しながら3.80%安と急落しました。決算を織り込んだ後の材料出尽くしと利益確定が出た格好です。円安局面にもかかわらずトヨタ自動車(7203、▲1.52%)が下げ、JT(2914、▲2.49%)など内需・ディフェンシブも軟調でした。
3. この日の相場——円安が分けたグロースとバリューの明暗
この日を振り返ると、前日の全面安から反発したとはいえ、買いは円安の恩恵が大きい半導体・機械・重工といったグロース・輸出株に集中しました。一方、金利や国内景気に業績が左右されやすい銀行・保険・商社・内需といったバリュー株は総じて下げ、資金が一方向に偏りました。日経平均がプラス、TOPIXがほぼ横ばいという指数の差は、この「グロース優位・バリュー劣後」の物色をそのまま映しています。好決算を出した商社まで売られたことは、決算シーズン終盤特有の「良い数字より、期待との差」で株価が動く地合いが続いていることも示しています。
4. セクターの動き——電気機器・機械が主導、銀行・保険・卸売が重し
TOPIXの約4分の1(構成比23.7%)を占める電気機器が、この日の指数を押し上げる主役でした。半導体関連を中心に幅広く買われ、キーエンスや東京エレクトロンなど値がさ株の上昇が効いています。機械(構成比5.7%、コマツ・三菱重工など)も円安と設備投資関連の物色で堅調でした。
一方、構成比の大きい銀行業(9.8%、三菱UFJ・三井住友FG)、保険業(2.8%、東京海上・SOMPO・MS&AD)、卸売業(6.2%、丸紅・三菱商事・三井物産)がそろって下げ、指数の上値を抑えました。情報・通信(NTT・ソフトバンク・KDDI)や医薬品(武田)といったディフェンシブも軟調で、資金は金融・内需から輸出・ハイテクへと明確に移動しました。
5. NT倍率——16.14倍へ上昇、ハイテク優位の歴史的高水準が続く
NT倍率(日経平均÷TOPIX)は約16.14倍と、前日の約16.10倍から上昇しました。値がさの半導体・機械が買われて日経平均を押し上げる一方、金融・内需の下げでTOPIXが伸び悩んだためで、ハイテク・グロースが相対的に優位だったことを示します。16倍超は過去10年でみて歴史的に高い水準で、値がさハイテク優位の地合いが続いています。
6. 元機関投資家イズミダの視点:円安が主役の日、好決算の商社が売られた意味
私がこの日で最も示唆的だと感じたのは、営業利益5割増という好決算を出した丸紅が、逆に4%近く売られたことです。前日に決算を消化した後、良い数字が「もう株価に入っている」と受け取られ、利益確定に押される。決算シーズンの終盤で繰り返し見られる、「事実の良さより期待との差」で動く相場の典型です。株価は決算の絶対的な良し悪しではなく、期待とのギャップで動く——この原則を、商社株があらためて示しました。
もう一つの主役は円安でした。ドル円が157円台に乗り、輸出・ハイテクに追い風が吹く一方、金融・内需・商社からは資金が抜けました。NT倍率の上昇はその裏返しで、グロース優位の物色が続いていることを示しています。ただ、こうした一方向の資金移動は、為替が反転すれば逆回転しやすい点にも注意が要ります。円安という外部要因にどこまで依存した反発なのか。次に相場の主役が交代するとすれば、そのきっかけは為替の転換になる可能性が高い。ここが当面の注目ポイントです。

