5. ハガキが届いたら検討したい「3つの選択肢」
更新通知が届いてパニックになる前に、家計を守るために考えておきたい具体的なアクションを整理します。
5.1 ① 他行への「借り換え」を本格検討する
通知ハガキに記載された金利をそのまま受け入れる必要はありません。まずは「他行への借り換え」を選択肢に入れてみましょう。
固定期間終了後に自行が提示する見直し金利は、新規顧客向けの優遇金利よりも高く設定されているケースが少なくありません。他行の変動金利(年0.4〜0.6%前後)や、より低い固定金利を提供する金融機関へ借り換えることで、返済額を大幅に抑えられる可能性があります。
ただし、借り換えには保証料や手数料などの諸費用がかかります(残債2600万円の場合、約60万〜80万円程度が目安)。諸費用を含めてもトータルでメリットが出るかを試算した上で判断することが必須です。
5.2 ② 「繰り上げ返済」で元金を減らす
手元に資金的な余裕がある場合、一部繰り上げ返済で元金を減らすことで、金利上昇による返済額の増加をある程度相殺できます。
毎月の負担増を抑えたい場合は、「期間短縮型」ではなく「返済額軽減型」の繰り上げ返済を選ぶのが有効です。ただし、貯蓄の大部分を繰り上げ返済に回すのは危険です。教育費や急な病気・災害への備えとして、生活費の半年〜1年分程度の生活防衛資金は必ず確保した上で検討しましょう。
5.3 ③ 変動金利への移行と「リスク耐性」の確認
同じ金融機関内で固定から変動金利へ変更することは、毎月の返済額急増を防ぐ手軽な選択肢の一つです。ただし、今後の日銀の金融政策によっては変動金利もじわじわと上昇していくリスクがあります。
「もし今後、変動金利が年1.5〜2.0%程度まで上がったとしても家計が破綻しないか」という耐性を事前に確認しておくことが大切です。家計に余力があり、金利の動きを定期的にチェックできる方であれば、変動金利への移行は十分に現実的な選択肢となるでしょう。
6. 通知ハガキは「見直しのタイミング」と捉えてみましょう
10年固定の特約終了通知は、一見するとピンチに思えますが、実は借り入れ条件を根本から見直す機会でもあります。「わかっていたけれど…」と落胆して放置してしまうのが、最もコストの重い選択です。
ハガキが届いたら、まず他行との比較や借り換えシミュレーションを行い、ご自身の家計にとって最も負担の少ない選択肢を早めに探っていきましょう。「何もしない」こともまた一つの選択ですが、選んでいるという自覚を持った上で判断することが大切です。住宅ローンは長期にわたる契約だからこそ、節目ごとに立ち止まって考えることが、家計防衛の第一歩になります。
7. 筆者コメント
「分かっていたつもりだったけれど、いざ数字を見るとどうすればいいか分からない」
そう戸惑うのはごく自然なことです。金利環境が大きく変わった今、10年前の選択をそのまま延長する必要はありません。
最も避けるべきは、「よく分からないから」とそのまま通知通りに更新してしまうことです。今はネットで簡単に複数社の借り換えシミュレーションができる時代です。提示された金利に納得がいかなければ、他社という選択肢を戦わせてもいい。一度立ち止まって数字を比較してみることが、長い目で見て大切な我が家と家計を守る確実なファーストステップになります。
参考資料
和田 直子
