幼児以上になると親の目の届かないところで、子どもがケガをしたり、体調を崩したりすることもありますよね。とはいえ、多くの子どもは「痛い!ケガをした!」「お腹が痛い…」などと自ら訴えることができるので、保護者はその事態に気付くことができます。

しかし中には、本当に助けを必要とするときに限って痛みを訴えることができない、または訴えるのが苦手な子どももいます。このタイプの子どもが大きなケガなどをしてしまうと、保護者が近くにいるにも関わらず、すぐに対処できないという危険性があるのです。

子どもの「痛い!」は難しい…

子どもは言葉を上手に話せるようになってくると大人の気を引く目的で、ケガをしていないのに「痛い!」といったり、些細なケガを大げさに痛がったりすることがよくありますよね。「痛い」と子どもが訴えても、外傷がなければウソかな?と判断することはできますが、「お腹が痛い」「頭が痛い」など、外見だけでは判断ができないトラブルの場合、どのように対処すればよいのか頭を抱えることもあります。

かくいう筆者も、4歳になる長男の「痛い」に悩まされている親のひとり。例えば、息子は習い事に行きたくない、お風呂に入りたくないなどの理由で、「足が痛い」「お腹が痛い」などと訴えることがあり、困らされることもしばしば…。しかしこの息子について、悩んでいることがもうひとつあります。それは、冗談交じりに「痛い!」と訴えることは多々あるにもかかわらず、すぐに手当てが必要なほどのケガをしている、つまり本当に“痛い”ときに限って「痛い!」と訴えることができない質のようなのです。

肝心なときに「痛い!」と言わない息子

息子が痛みを訴えなかったため、すぐにケガに気付くことができず手当てが遅れてしまった例をあげると…

フライパンのふちで火傷

自宅にて、息子と一緒にざるそば作りをしていたときのこと。筆者が側でしっかりと見守りつつ、沸騰したお湯に乾麺の蕎麦を投入する工程を息子にやらせました。息子は持っていた蕎麦を素早くお湯に入れることができたので、「上手にできたね!」と褒めたのですが、なぜか浮かない顔…。それまで楽しそうにお手伝いをしていたのに、スッ…と去って行ったので、「飽きちゃったのかな?」くらいに思っていました。

そして、ざるそばが出来上がり息子を呼ぶと、なぜが右手を背中に回して隠しているのです。ヘンだな…と思い見てみると、二の腕の内側にフライパンのフチの形の火傷を負い、赤く腫れあがっていました。蕎麦を投入したはずみで、フライパンと腕が接触したのでしょう。本人に「熱かったでしょ?」と聞くと、「熱かったし、痛かった」というのです。しかし「なぜ、すぐに言わなかったの?」と聞くと、照れを隠すように、う~んと首をかしげるばかり。

保育園のお友達に引っかかれた傷

「今日も元気いっぱい遊びましたよ!」と保育園の先生から言われ、いつも通りに降園したある日。息子をお風呂に入れようと服を脱がすと、内ももに長さ20cmほどにわたって生々しいミミズ腫れのような傷ができていたのです。

息子に「このケガ、どうしたの?」と聞くと、「運動会の練習をしているときに、〇〇くんとぶつかって、血が出た」と言うのです。爪で深く引っかかれたような傷…きっと痛かったはずです。息子に「痛かったのに、なぜすぐ先生に言わなかったの?」と聞くと、「痛かったけど、我慢した」とのこと。

翌日、保育園の先生に傷を見せ、「運動会の練習をしている最中にケガをしたようです。」と伝えると、ネットをくぐって進む障害物競争の練習中にお友達と接触してケガをしたのだろうと言われました。先生も傷の深さと大きさに驚かれ、何度も謝罪されました。しかし、洋服で隠れる部分にケガをした場合、園児本人からの訴えがなければ、たくさんの園児を見ている先生が気付くことは難しいだろうと思います。やはり、ケガをした本人が先生に伝えるべきでしょう。

「痛い」「暑い」「熱い」などはちゃんと口に出すよう教える