1. この記事を読むとわかる3つのポイント
-
住友商事の2027年3月期第1四半期決算の内容(増収・増益の中身と通期予想への進捗率) -
決算発表を受けた31日の株価の反応 -
5月の急騰から株式分割を経た、直近1年間の株価の動き
2026年7月31日の東京株式市場は、半導体関連銘柄の業績期待から大きく反発しました。
五大総合商社の一角である住友商事(8053)は、同日の場中に発表した2027年3月期第1四半期決算を好感した買いが集まり、株価は前日比+78円(+4.90%)の1,670円で取引を終えました。
1株を4株に分割してから約1カ月、1,500円台後半から1,600円台前半のレンジで推移してきた同社株が、決算発表をきっかけに一気に水準を切り上げ、分割後では最も高い終値をつけた形です。
それでは、決算の中身など詳しく見ていきましょう。
2. 1Q決算は最終利益で11%増益
住友商事が発表した2027年3月期第1四半期(2026年4月1日~6月30日)の連結業績は、次のとおりです。
- 収益:1兆9,494億円(前年同期比+9.0%)
- 税引前四半期利益:1,523億円(同▲27.6%)
- 四半期利益:1,973億円(同+7.0%)
- 親会社の所有者に帰属する四半期利益:1,901億円(同+11.2%、192億円増)
- 基本的1株当たり四半期利益:39.95円(前年同期35.29円、株式分割後換算)
通期の連結業績予想(親会社の所有者に帰属する当期利益)は6,300億円(前期比+4.9%)に据え置かれており、今回の四半期利益1,901億円はこれに対して進捗率30%となりました。
第2四半期・第4四半期にのみ計上される持分利益があることに加え、下期に偏重するビジネスもあることを踏まえると、順調な滑り出しといえそうです。
税引前利益は前年同期比で減少している一方、四半期利益は増加しています。これは、マダガスカルのニッケル事業売却に伴うものです。売却に伴う損失計上で有価証券損益が悪化し税引前利益を押し下げた一方、同じ売却に伴う税効果で法人所得税がプラスに転じ、最終的な利益を押し上げる形になりました。一過性要因が大きい点には注意が必要です。
3. 住友商事のビジネスモデル
住友商事は、鉄鋼、自動車、輸送機・建機、都市総合開発、コミュニケーションサービス、デジタル・AI、ライフスタイル、資源、化学品・エレクトロニクス・農業、エネルギートランスフォーメーションという10のセグメントを持つ総合商社です。
資源ビジネスと非資源ビジネスの両輪で収益を積み上げつつ、近年は「Net D/E ratio」(ネット有利子負債/株主資本)などの財務健全性指標を意識しながら、ROEの向上と資本コストの低下を通じた企業価値向上を掲げているのが特徴です。
3.1 資産入替計画、1Qは900億円を実施済み
「資産入替」に注目すると、第1四半期の投資活動によるキャッシュ・フローは差し引きで4,231億円の支出となっています。支出の主な要因はSumisho Air Leaseの買収など(計4,500億円の投資)です。一方で、ベルギー洋上風力発電事業や国内外不動産の売却などを通じた資産入替(計900億円の収入)も進めています。
同社は2026年度から2028年度にかけて総額1.2兆円規模の資産入替を計画しており、第1四半期時点で900億円を実施済みということになります。Net D/E ratioは0.78倍に上昇しましたが、同社は利益の積み上げとあわせて年度末には0.6倍程度まで改善させる方針を示しています。
3.2 好調の要因(強み)をセグメント別に分解
セグメント別では、以下の通りです。
- 鉄鋼:201億円(前年同期比+13億円)→モノパイル製造事業が堅調
- コミュニケーションサービス:64億円(同+30億円)→エチオピア通信事業で為替評価損が縮小
- デジタル・AI:74億円(同+24億円)→SCSKの持分比率増加や国内IT投資需要の追い風
- 資源:254億円(同+148億円)→銅価格の上昇、アルミのマージン拡大、貴金属取引の好調が寄与
- エネルギートランスフォーメーション:326億円(同+86億円)→ベルギー洋上風力発電事業の資産入替に伴う増益
- 消去又は全社:280億円(同+233億円)→中間持株会社再編に伴う税効果や為替実現益
一方で、自動車が117億円(同▲280億円)、都市総合開発が279億円(同▲83億円)とそれぞれ減益になっていますが、これは前年同期にあった米国タイヤ販売事業会社の売却関連益や大口不動産案件の引き渡し益の反動によるもので、事業自体の失速を示すものではありません。
輸送機・建機セグメントでは、米国航空機リース会社Sumisho Air Leaseの買収が完了し、下期にかけて機体売却を加速する方針です。